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『ILLMATIC BABY』 ART-SCHOOL

2010年02月01日 19:49

ILLMATIC BABYILLMATIC BABY
(2008/10/15)
ART-SCHOOL

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1. ILLMATIC BABY
ニューレイヴ!2008年にもなって、まさかのニューレイヴ。シンセとベースが暗躍し、いかがわしいリフが飛び交う。ドラムが割と落ち着いている分そういうニューレイブの「いかがわしさ」だけ抜き出して来たようなどこか冷めた感じもするが、単純に木下のソングライティングのシンプル具合のせいかも。サビのコーラスはちょっとサッカーみたい。間奏で無駄に三連符になるところとかもなんかおかしい。歌詞に関してはもう、おバカ、ここまで露骨にエロな比喩を連発すると、むしろ笑えるし、多分本人もそれを狙っているのでは。ドーパンのスタープロデュース。レコーディングに苦労したらしく、ニューレイヴの「ノリ」がなかなか出なかったとか。ダークさがギャグみたいで面白い。

2. 夜の子供たち
曲自体は割と馴染みの「疾走系木下曲」な感じがするが、これもまた大分アレンジがいつもと違う感じがする。ギターが凄くこう、張り切っている。沢山リフを用いて局所局所で使い分けているイメージ。そのフレーズも「引っ掻く」ようなものが多い。前作のBloc Party志向の発展系。全体的に音圧高めな感じもする。間奏の音の壁っぷりとか。木琴の音やらシンセやらが入っているからか。サビの叫ばずに繰り返す歌と畳み掛けるドラムフィルの対比が意外と新鮮な感じ。

3. 君はいま光の中に
本人曰く「合唱系」な、壮大なバラード。冷えたトーンのギターやシンセの音がいかにも冬っぽいが、音の質感はつるっとして水滴系。透明感のあるメロディが魅力。Bメロを受けて伸びていくサビのメロディはOasisの『Wonderwall』なんか思い浮かべたり。つまりある種の王道。一般的なJ-popにも参入出来そうなところがある。戸高のソロも珍しく泣きが入っている感じ。が、Cメロから間奏、特にブレイク以降のせつせつとした感じはアートスクール的。「絶望や希望を歌うほど若くない」というフレーズに今作の変化を思わせる。

4. BROKEN WHITE
いきなりスネアの連打から突入する音の隙間多めの直線的な疾走曲。っていうかこれ、かなりBloc Partyだよなあ。リズムギターとか。歌詞英語にしてオケレケが同じメロディ歌ったらもう完全に。ただ、サビの繰り返しでやはり叫びきらずに淡々と歌っている様は『夜の~』と共に木下の新しいサビのやり方なのかも。こういうのはガレージ風NWとでも言うのか。2分半に間奏と三回目のサビまで纏める技量は流石。

5. エミール
軽快でポップでノスタルジックなミドルテンポ。ある意味今作では一番これまでのアートの楽曲、『Butterfly Kiss』や『1995』なんかの延長線上にあるような感じ。それゆえそのメロディの簡潔かつ流麗な仕上がりは良好、スピッツレベル。特に「TONIGHT」と言って高揚するリフレインは同系統のロマンチック。特に最後のそれはファルセットまで入って来て、まるでスマパンの同系統の楽曲のように美麗。アレンジに打ち込みが使われていて、ニューオーダー方式のエレポップ風味が不思議な軽快さとデジタルな浮遊感を生んでいる。それに呼応するエレクトロ風味なギターもとても綺麗で良い。『Flora』である程度極めたポップな手法を更にミニマル気味に利用している感じか。しかし歌詞はまた、ぼんやりと救いが無い方にシフトしてるな。凄くポップにやさぐれている。感傷と諦観と、エレポップ。

6. INSIDE OF YOU
ポストレディへ風味な陰鬱停滞なイントロで不穏さを振りまいた、と思ったら急に変拍子で攻撃的なNWに変質する。色々と展開に凝った曲で、二度目のサビの後にどこかまた深刻さを気取ったロマンチックさを見せて、またガリガリに変質して終わるが、それぞれの構成がシンプルなので、良くも悪くも、とてもプログレ的には聴こえない。メロディは相当簡略化されて、繰り返しの尖ったフレーズをギターと共に何度も叩き込むような構図。特に普通のリズムに戻ったサビのタイトルコールは発狂したポリスみたいで格好良い。拷問機械的なアートサウンドも悪くない。


ART-SCHOOL、実に八枚目のミニアルバム。本当に好きだよなあ。確か前作『左ききのキキ』から一年ぐらい間隔が空いたリリース。何故か他のミニアルバムよりちょっと高いよな。
前作で目立ったグランジ復権櫻井重戦車サウンドは何故かあれ一枚でまたすぐに封印、その代わり『real love / slow down』で露骨に現れたBloc Party的サウンドを、今作ではより露骨に、サウンドの軸に置いている。攻撃的なNWサウンドのひとつの21世紀的形態をBloc Partyに見出したのは、何気に「ああ、そうだよなあ」とか思ったりして、というのもそう思わせるくらいの楽曲にちゃんと仕上げている点がある。特に戸高のギターはかなり影響を受けながらも丸パクリにならないよう執心するような、ある意味でちょこざいな、しかし良く言えばバンドのサウンドとして消化吸収するための試行錯誤を行っているように思える。
そういうこともあって、サウンド的にはもう完全にNWバンドである。曲自体も簡略化が進み、特にメロディについては短いフレーズの鋭角的な繰り返しが頻繁に現れ、しかも昔のように叫ばず淡々と行う。こういった部分も感情抑制・捨象、というか抑制とシンプルな変化によって抑揚を付ける、NW的手法が垣間見える。
もうひとつ大きな変化として、サウンド自体のプロダクションがかなり変わった感じがする。全体的につるっとした質感が、洗練、またはオルタナ・グランジ的ジャリジャリな生々しさの捨象を導いている。大体、木下のボーカルからしてエフェクト処理が多用され、彼等の音源の中では最も歌の生々しさが削り取られている。それはNW的な抑制の中にあって、また声もひとつの楽器、といった具合に聴こえる。
NW的抑制とダークさ。「不器用にディストーション」なサウンド、芳醇な00年代USインディ的ハイファイサウンドと来て、また新しいフェイズに入った感じか。ただレコーディングは難航したらしく、そしてこの後ドラムの櫻井雄一が脱退。そういえばこの頃のアーティスト写真でも櫻井氏のポジションが微妙だったが、今思えばやっぱり伏線だったのか。その思い切りの良さ、そして第一期の時とは異なる後腐れのなさが、良くも悪くも、大人になったというか。しかし思い切ってサウンド変質させることが出来るのはまあ、よくやるよなあ、本当。ソングライティングの根本的安定による自信なのか。実際もうパンク以降の大概のサウンドはアートスクールで出来るよなあ。


インタビュー
。ベスト盤とこのミニアルバムの同時発売、その心。そして衝撃の大山純音楽界復帰についてまで(笑)今思うと本当に凄いタイミングだ。
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コメント

  1. たびけん | URL | 0hxr4hYM

    ギターもそうだけど、ドラムがすげえ頑張ってるなって。今までの勢いのある櫻井さんのドラムじゃないもんなあ。。。テクニカルで計算してる感じが。脱退しちゃったのはなんかわかる気がしましたね。残念だったけど。このレコーディングも壮絶だったんだんだろうなあと。

  2. よしとも | URL | -

    このミニアルバムのリズムは本当、こう、神経使わされてますよね櫻井さん。やっぱりラフにフロアタムとか連打しながら突っ走るイメージの方が圧倒的に強いですよ。サウンドだけならもう、あの頃とは全然違うバンドですもん。

    新しいドラムになって、テクニカル系のリズムの曲をライブで演奏することが増えるとまた楽しそうですけどね。

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