--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『左ききのキキ』 ART-SCHOOL

2010年02月01日 01:37

左ききのキキ左ききのキキ
(2007/09/19)
ART-SCHOOL

商品詳細を見る
1. SHEILA
イントロのアルペジオからして不穏さ全開、そこから叩き付けるような演奏が展開される。ナンバガの『I don't know』を彷彿とさせるそれ、重心が低く特にドラムは重戦車的サウンド。ブレイクの素っ気なさと全開時のシンバル音の洪水っぷりが凄い。ギターもNW的神経質さとガレージ風のガリガリを繰り返す。二度目のブレイク以降の間奏など、ある種のヤケクソ感すら漂う。木下も歌に間奏のワーミープレイにと吹っ切れ気味。

2. 左ききのキキ
不穏な煌めきからディストーションギターで疾走する、初期のアートの雰囲気が帰って来た。『MISS WORLD』あたりに近い静と動な雰囲気で、しかし第二期としての経験を経た演奏が展開される。静パートのブリッジミュートと繊細なフレーズの対比などは聴いてて懐かしくなった。シンプルなフレーズでしっかり奥行きを出している。ドラムの重くドシャドシャとしているのにそれでも力強く疾走するのは迫力がある。フィルインが不思議なタイミングで入ってくる。ヤケクソというよりはむしろ、バンドが一丸となって小さく重く纏まって突進していくような力強さがある。しかしミニアルバムのタイトル曲なのに二曲目なのね。歌詞に左利きは出て来ない!生まれ変わりを選択しない木下、この先の混濁と冷笑気味の方向性をそれとなく示唆している。

3. Ghost of a beautiful view
アート式のシューゲイザーが穏やかに展開される曲。音の重ね方は第二期以降といった感じだが、曲自体は初期の『1965』とか『LOVERS』とかに近いものがある。アコギの音も目立つクリアで柔らかい轟音が淡々とした曲を穏やかに包む。その轟音に心地良く埋もれる木下の歌もシンプルに枯れた美しいメロディラインを持っている。Bメロで少し轟音を解除する辺りがこの楽曲ならではの工夫と思われる。間奏以降のファルセットコーラスも美しい。様々なモチーフを繰り出す幻想的な歌詞も血の表現などの生々しさが現れ、この混濁具合が次のアルバムのスタンスに近い具合に、自然と歌われている。

4. Candles
この曲をして「戸高さんいい曲書きますね」と言うのは嫌がらせだろうと思うほどに、モロにNIRVANAのアレをやっちゃったなあ、って具合のグランジソング。ギターのコーラスだけでなく、サビ後の「イエー!」までやっちゃった。これは確信犯。しかしやはりドラムが水を得た魚のように重く低く転がり回るのは、単純にそういうものとして気持ちいい。戸高の声が細いとか、生々しさが今ひとつ足りない雰囲気だけっぽい歌詞とか、そういうことを言うのも野暮か。

5. real love/slow dawn
いわゆるBloc Party風のリフがアートの楽曲に初めて登場した、ファンキーでかつ鋭角的な楽曲。直線的に様々に変化していくドラムや削り取るようなギター、無愛想なコード感がサビでポップに持ち上がる具合などなど、とてもそれっぽい。間奏のボヤーッとなるところなんか特にそれっぽい。しかしドラムは櫻井氏的な重々しさも所々にはっきりと観られる。サビの重みやタム回し。裏打ちダンスリズムが殺伐とした具合に響くのは単純に心地良い。ダークな躁状態、的な。歌詞の方も荒みきった自身をゲラゲラ笑いながらもやっぱ苦しい、的な滑稽さで飛ばしている。木下自慢のフレーズ「ゴムくらい ちゃんとしろよ」。

6. 雨の日の為に
ミニアルバムの締めのためと思われる二分程度の小作品。スローなコーラスの掛かったアルペジオに乗って木下が朗々と歌う。大した曲じゃないし木下の歌も上手くはないが、間奏のアコギのフレーズは綺麗だし、サビの「どんな時にも此処にいるから 漂い浮かんで 消えてくものの為」というのは『左ききのキキ』の冒頭のフレーズと対応している。つまるところ『Flora』以上にポップにはならねえよ、と。


ART-SCHOOLが『Flora』のライブツアー中に録音したというミニアルバム。ツアーのDVDと同時に発売された。
『Flora』で光り輝く系統のポップや幻想風味を散々やった後の反動なのか、原点回帰と本人が言い出すほどに重めで乱暴な作りになっている。『Flora』的な楽曲は皆無で、タイトル曲を始めグランジ臭が立ちこめるというかモロパクリもあるし。過去の焼き直しとも取れるが、経験を積んだ演奏はやはり初期のそれとは微妙に異なる。特にドラムの重心の低さ・重々しさがこのミニアルバムでは前面に出ている感じがして、獣系のドラマー(失礼)櫻井雄一氏の野性味が、彼等の音源の中でもとりわけフューチャーされていると言える。
原点回帰ばかりでなく、第一期的楽曲と第二期的アレンジの融合(『Ghost of~』)や、この先の重要な方向性になってくるBloc Partyサウンドの導入(『real love~』)なども同時に行っている。どことなく、『Flora』までで「なんでもあり」になった自分たちの出来ることを一旦整理したような雰囲気か。
歌詞においては、『Flora』で見せた救いのような視線はほぼ消滅(笑)して、また焦燥と自嘲が全開になっている。いきなり「死んでんの」とは痛々しい。ただ、そういった要素が悪く言えば自己パロディ的、良く言えば自虐ギャグ的に繰り出されているような、そういう余裕も感じる。何よりもタイトル曲にある「それならば僕はここにいるよ」というフレーズが、そのクズな世界観に自分は留まり続ける、一生クソ野郎のままこっち側にいてやる、といった意思を示している。『Flora』以上にはポジティブにならないし、むしろまた落っこちてみる、という。実際この後はそんな感じ。そういうスタンスの表明に、荒々しいグランジサウンドは丁度良かったんだろう。



『左ききのキキ』PV。木下理樹監督作品。いやあ、ヒドい(笑)曲、関係無し。
映画『家族ゲーム』の最後の食事シーンのパロディ。何気にコピー度が高いのが笑える。
相変わらず櫻井氏の名演・怪演っぷりが光る。木下の頭にマヨネーズ(笑)
こういうことが出来るだけの余裕が、何だかんだであるんだなあと。

インタビュー。ジョジョ二部の猛烈プッシュぶりの適当さがなんか、凄い(笑)
シーザーのくだりを読めば言わんとすることは一目瞭然、って、なんてヒドいインタビューだ!
セレブ飲み会で「凄く薄い」とか、なんかすげえ。色んな意味でドキドキする。
最後「ジョジョを読め」って何だよ。戸高まで「石仮面被る」とか言い出すし。
いいスタンスだ。
スポンサーサイト


コメント

  1. たびけん | URL | 0hxr4hYM

    激しいけどなんだかんだ2期の音だなあと思いましたね、聴いたとき。
    ダークなグランジが疾走していく1期には戻れないんだなと笑
    「自己パロディ」ってのは、確かにそうだなと、見事な表現ですね。

    でも今思うとこのミニアルバム好きですね。キャンドルズはメイヨに回せばよかったのにって思います。ま、俺はもはや信者なので「にやり」としかしませんが。

  2. よしとも | URL | -

    そう、音自体は第一期とは全然違いますよね。大体『Flora』作っといてまたローファイな音に戻れませんし。逆に言えば「自己パロディ」しながら新しい味付けを行っていく、新しいサウンドを模索する、これが「偉大なるマンネリ」っていうのに必要なことなのかもしれないです。

    『Candles』はある意味一定以上のファン向け(笑)アートって本当に自由なバンドですよねえ。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://okazaki5.blog95.fc2.com/tb.php/541-f6ea88de
この記事へのトラックバック



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。