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『LOST IN THE AIR』 ART-SCHOOL

2010年01月10日 19:23

(ミニアルバム『LOST IN THE AIR』は当時タワレコ限定・限定生産でのリリースだったため、
 現在入手は少し困難。
 曲自体はこれと前作の『スカーレット』をコンパイルした編集盤『Missing』で
 聴けるので、そのアマゾンのリンクを貼ります。
 限定にしたのは、やっぱリリースが自主レーベル、しかもその場凌ぎ的なところだったせいか?)
MissingMissing
(2006/09/06)
ART-SCHOOL

商品詳細を見る

ミニアルバムのジャケットも貼っときます。おしゃれダークやなあ。
artschool_lostintheair.jpg

1.LOST IN THE AIR
ピアノのシンプルなリフと機械的で変則的なドラムを中心に、美しく軽やかに展開する、6分近くある大曲。その軽やかさ(歌は虚ろげだが)が急に強引なブレイクによって打ち切られ、そして単純な繰り返しでキリキリと高揚するサビに繋がるという、アートにしてはかなり凝った展開になっていて、演奏が難しそう。曲自体は二つのパートをそれほどの変化も無く淡々と繰り返していくだけなのに、それでいて飽きないし緊張感に満ちているのが良い。全体を通したヒリヒリとするような感覚がサビの高揚感、そして最後の裏声も交えたリフレインに帰結するのが、上手いなあと。なんとも生活感のある頽廃具合の歌詞が最後の「でも生きたくて」に繋がっていくのは感動的。最後の最後にまた穏やかなパートに戻って終わるもの寂しげで良い。長尺のせいもあってか、なんか名曲然としすぎていてビビる。

2.FLOWERS
このミニアルバムでは唯一の、溌剌としたメロディが心地良いポップな曲。歪んでいるのに瑞々しさも感じさせる(アーミングによる揺れが効果的)ギターや変なフィルを入れるドラムが、パワフルでかつとても可愛らしく響くのが素敵。サビの突き抜けていくメロディから展開してさらに突き抜けていく感じなどにソングライティングの妙を感じる。歌詞もどうしようもなさを受け入れながらどうにか歌わないとな、という木下らしいどん詰まりだからこそのポジティブさを感じられる。「そのままの 君のままで」というシャウトが、訴えかける感じで良い。

3.羽根
グランジライクな無骨なリフで疾走する場面と、柔らかで陶酔的なギターの音色が印象的な場面とを交互に繰り返す、このバンドらしいタイプのグランジ(甘美な「静」と切迫感の「動」)。この曲は特にそういう側面が良くも悪くもシンプルで極端に出ている。……それよりも、この曲で重要なのは、何度も繰り返される「小3で終わった」という歌詞。その単純明快かつ衝撃的な物言いに、ある人は驚愕しある人は失笑し、彼等の周りの人は「小3に何があったんですか!?」となり、そして遂には木下自身まで「あの頃(このミニアルバムのレコーディング時)は本当にキツかった。「小3で終わった」とか、今読み返しても意味が分からない(笑)」とか言い出す始末(笑)まあ、この愚直な具合が良くも悪くもアートなのかなと。

4.刺青
『LOST IN~』と同じく、機械的で変則的なドラムを基調に展開する広がりを持ったミドルテンポの楽曲。ディレイを利かせた瑞々しいギターの使い方が非常に美しい。単調な反復による停滞と、サビで一気に世界が広がっていく感じを巧妙に切り替える。静と動を破滅的なサビの高揚感のあるメロディで一気に表現出来るソングライティングも冴えている。とりわけ間奏からの展開、一旦演奏が収束し、U2風味のブリッヂミュートの利いたアルペジオと不穏なドラムから段々せり上がっていくように盛り上がってサビに繋がる具合は非常にエモーショナル。映像喚起力に長けた名曲。

5.I CAN'T TOUCH YOU
このミニアルバム中でも最も第一期っぽい雰囲気の、静と動のはっきりしたナンバー。っていうか『OUT OF THE BLUE』の焼き直しのようにも。瑞々しい音によるadd9thのアルペジオが本当に好きなんだなあ、と。叩き付けるようなサビからの突き抜け方は良いけれど、なんか終盤がえらく長い。終盤のコーラスもちょっと既聴感が。珍しくフェードアウト。

6.PERFECT
お得意の映画のセリフのサンプリングを交えながら、シンプルなピアノのリフとギターが穏やかに絡む緩やかなスローテンポの楽曲。途中から入って来るドラムのシンプルな重さ、そしてそこからサビで盛り上がる、浮かび上がるような感じが壮大でいい。基調となるリフのシンプルさを思うと、よくこれだけのメロディを引き出せるなあと嘆息する。どことなく次のフルアルバムにも繋がっていくような綺麗な雰囲気があって、そこに当時本当に辛かったらしい木下の、後悔のような祈りのようなフレーズが乗る。


第二期ART-SCHOOLの二作目も、前作『スカーレット』と同じ販売方法のミニアルバム。限定生産のせいで「ミッシング」しかけたのを編集版『Missing』で救出された。『SWAN SONG』や初期のシングルなんかも救出してくれえとは、思うけど、色々難しいんだろうなあ。
本人たちの言う通り、この作品は前作と地続きというか、続編的な内容がある。新体制における試行錯誤と方向性の模索、いわゆる過渡期的な傾向は、しかし前作から半年後のこのミニアルバムでは更に押し進められたイメージがある。個人的には前作から一気にステップアップした感があって、機械的なリズムやニューウェーブ~ポストロック的アプローチの導入の成功が印象的。そこにはgt戸高とdr櫻井のステップアップ、そしてそれに呼応する木下のソングライティングの変化と充実が感じられる。特にギターサウンドはここに来てかなり第一期から変化したようにも(『I CAN'T~』はともかく)。どことなく、全体的にも生々しいダークな雰囲気があって、それが最後の『PERFECT』の壮大さに行き着くという流れも含めて、彼等のミニアルバム中でも一枚としての完成度はかなりのものだと思う。年末から正月に掛けてずっと作業を続け地獄のようだったらしいが、それだけの作品になっていると。
そんなサウンド面での進化もあってか、当時本当に辛かった、そのキャリア中でも本当にドン底だったという木下の歌詞は、前作の「猿」路線を継承しながらも、祈りと諦観が何度も何度も交錯し、エロとノスタルジーの間で際どいバランスを取っているように思える。「小3で終わった」なんてフレーズまで飛び出して、その現実的な危機一髪感が愛しくも気の毒でなんとも(笑)まあその後のキャリアがあるから笑えるんですけど。

『LOST IN THE AIR』PV。元旦の新宿を木下がひたすら歩くという。
新宿でもこんなに人が少ないことがあるんですねっていう。流れていく電車やシャッターの降りた通りや公園や、綺麗な絵の数々。そして木下もまた絵になるなあ。


『FLOWERS』ライブ。単純にバンドとして凄くいいバランスだと思う。

ここで当時のインタビューが読めます。木下の言う「人生で最もヘル」な感じが垣間見えるようなそうでもないような。
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