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『A Girl Supernova』 PANICSMILE

2009年12月31日 03:35

とっくに発売されていることに気付いて、とっさに昨日(12月30日)買って、聴いて……
「……なん、だと……!?」と思ったので、急遽レビューします。
上のは、勿論いい意味です。しかし名前だけなら初期ナンバガの新譜でもいけそうだ……。
親愛なるパティ村さん(個人的な知り合い)の機嫌を伺うのも兼ねて。
ア・ガール・スーパーノヴァア・ガール・スーパーノヴァ
(2009/12/02)
PANICSMILE

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PANICSMILE メンバー(とりあえず、今作までは)
吉田肇(ギター/ボーカル)
保田憲一(ベース/ボーカル)
石橋英子(ドラム/ボーカル)
Jason Shalton(ギター)
1. INTRODUCTION
↑のようなタイトルになっているのですが、どうも私のiTunesでは『The Grinder In A House』と表示されるのですが……。仕様か!15秒のジャンクな演奏が、フィルター掛かった感じで、次第に大きな音になっていく。そして次の曲の一発目のシンバルとスネアによって叩き切られる。凝ってるな、今回。

2. NORTH OF BORDER
そんな前曲のジャンクを掻き消してドンと始まるのが、しかしやはりお馴染みのヘロヘロなギターリフとアマゾンが言うところの「ぎっくり腰ビート」。そして相変わらず妙にリズムを持った吉田さんの、ボーカル?シャウト?だがすぐにリズムが安定して、演奏もなんだか妙にどっしりしていて王道、とおもったらやはり唐突に疾走、そしてまた無茶苦茶なリズムへ。このチグハグ感、やはり相変わらずというか、流石である。突然リズムが無くなって歌い始めるとこは盟友・向井っぽい雰囲気もあるし。コロコロ変わる曲調は、案外ノれる。歌詞もどこか向井が歌い上げ、潜入していった冷凍都市に、ひたすら毒付いているようにも見える。

3. GIRLS ON FLOOR 1
前曲以上にびっくりするのがこの曲。何だこの優しげなヒップホップのような、リズムの強いエレクトロのような、「バックトラック」と言えそうな綺麗な演奏は!?柔らかいギターのアルペジオ、マリンバの音、怪しくうねるベース、ちょっとずらしてあるが、それでもブレイクビーツのようなドラム、そして吉田氏の「歌」。一切シャウトは無く、変な展開も無く、吉田氏が特に感情を込めることも無く、しかし結構メロディアスに歌う。解説ではニック・ケイヴと寺尾聡が引き合いに出されているが、私ははっぴいえんどの頃の細野さんを感じた。ああいう、無感情でもないけど熱くもない感じ。流石に段々リズムは崩れてくるが、それも楽曲そのもののリズムを変更させるものではないし、むしろドラムの崩壊を無視するように穏やかな演奏が続いていくのが何とも。そしてそうやって淡々と歌われる歌の内容、うわあ……皮肉っぽいなあ、毒々しいなあ。パルコ的商業主義とそれに踊らされる人々に対して、叫ぶのではなく淡々と問いかけるところが非常にタチが悪い。床の女って、床って、デパート?他アーティストの実名を出しちゃうか。アムロちゃんは許しておくれよとひっそり思ったりして。「別に否定していませんよ」って言われそうで、そのしたたかさというか、老獪さというか、本当にタチの悪い……。今回の歌詞のコンセプトの強烈に現れた歌詞。続編もあるでよ。

4. INTERLUDE 1
これも私のiTunesでは『Spooky toy』とか出る。相変わらずのふざけきった変拍子というかグチャグチャというかな演奏に、誰かの無きマネ(ジェイソンかな?)。これといったブレイクスルーも無く、不穏さを撒き散らして次曲へ。左右を音が出入りする終盤が特にキモい。一分ちょっと。

5. A GIRL SUPERNOVA
パニックスマイルとしか言いようの無いぐちゃぐちゃの演奏にタイトルコールの後、突如ビヨビヨと壊れたファミコンみたいな音がサンプリングされた、やっぱり変な曲。ただリズムがまともになるところはやっぱり変な音を鳴らしながらも、どこか心地の良い感じがあるのが不思議。後半のリズム自体をリフにしたような展開など、そのリフのジャンクだけどなんかちょっとテレヴィジョンっぽくもあってポップな感じとか、とても心地良くて、なんか、不思議。

6. THE ELECTRIC SEA
単調な、そしてふざけているようで意外と安定した、うねるような演奏の中を、また吉田氏が朗々と歌い上げる。この歌い方、社会に対する薄らとした嫌悪を見せながら、「今の気分も悪くない」と歌うスタンス、どこか童謡じみた感じさえあるメロディ、非常に歌心があっていい。そしてタイトルコール部は石橋さんの声も入って、まるでスーパーカーのような雰囲気、演奏もなんか、普通にいい具合のブレイクスルーがあって、何か、普通に、いい。これ、ちょっとロッキンオン系が好きな人達ならすぐに気に入れそうな、そのくらいのポップさが、そして変則的だけどそれがとても気持ち良いリズム・ツボを抑えたミニマルなループ感がある。前作の『Sun Goes Down』の「普通に気持ちいいやんこのループ感」を更に押し進めたような、いい曲。ハードコアなのを望む人は嫌な顔をするかもしれないが、筆者はこれマジで好き。

7. INTERLUDE 2
筆者のiTunesでは『Kitten War』と出ます。13秒しか無い。ジャンクながらどこか寂れたメロディがある演奏は、ちょっとゆら帝っぽくもある。

8. SIREN
フィルインから、なんとキーボードの透明感ある音をバックに、変拍子とヘロヘロと荒っぽいカッティング二本のギターのぶつかり合い・混じり合い、しかしそれもえらく爽やかというか、緊張感はあるけどしっかり構築されているように聴こえる。キーボードの奥行きもあって、普通に綺麗なアルペジオなどが聴こえると「あれ、レディへかSYの曲が何でパニスマのCDに?」とか思ってしまう。しかし突如崩れて、いつもの酔いどれて調子に乗っているような、いつもの吉田氏的な歌が始まる。そしてまたファミコン音、そして疾走、そしてリズムが消えて綺麗なような混沌としているような、と思ったらまたジャンク、という、綺麗さと不穏さをアホみたいに往復する。大人しくしていればバトルズみたいになるだろうに、所々入ってくる悪意としか言いようの無いアレンジがやはり、どうしようもなくパニスマだなあと思うばかり。9分近くという大作だが、その目まぐるしい曲調の変化と、その美しさ。ダレる部分が無く、そしてしっかりとオルタナティブで、なのに爽やかで綺麗で、でもちゃんとパニスマで……。とてもとても不思議だが、名曲と言わざるを得ないだろ普通に。最後の雑踏な感じと、そこに流れる何かの「J-POP」がまた、皮肉たっぷりですな。

9. INTERLUDE 3
『Slipperly Couple』。4カウント(ベースは無視(笑))の後、リズムは普通ながら相変わらずふざけ切った演奏の中、安田さんがなんか歌っている、というか、なんか言葉になっていないことを歌っぽくわめいているような、調子外れのような。

10. SURFER GIRL
恐ろしく「普通にポップ」なベースラインから、びっくりするほどにポップな吉田氏と石橋さんのコーラス、変な演奏ながらどこかポップな雰囲気の中を、なんと安田さんが、酔ったおっさんみたいな調子で歌う。タイトルコールの調子外れな上昇に二人のコーラス。しかしこれまた、ジェイソンの間奏などのギターにはディレイが掛かり、普通に心地良い、海っぽい感じが。安田さんの声に変な子供のコーラスが掛かったかと思ったら、今度は安田さんが歌いながら二人のイントロのコーラスが重なったり、そしてタイトルコールはどんどんオートチューンみたいな弄られ方をして。まるで「普通にポップな曲をとことんヘンテコに手を加えた」ような感じで、その奇妙なポップ感と、これを演奏しているバンドがパニスマであるという事実とのギャップが、なんとも気持ち悪いようなむしろいいような、なんとも。しかも歌詞を読むとサーフしているのは情報の海だし、やっぱり皮肉だし。

11. INTERLUDE 4
『In_Out』。下線がなんとも情報化社会的(笑)怪しく蠢く左側の演奏と、右側の誰かの嘘泣きっぽい泣き声。31秒間、やっぱり不穏。気味悪い真夜中みたい。タイトルから、どことなく『時計仕掛けのオレンジ』が浮かんだが、果たして。

12. KISS AND TELL
曲自体は割といつもの「ギッグリビートに酔いどれ吉田氏」な曲だけど、やはりこれも、普通にギターロックなイントロにわざとらしくキャッチーな「フワッフワッ」というコーラス付き。グチャグチャリズムもところどころで曲自体はぐちゃぐちゃのままなのに、知らん顔して普通の16ビートになったりして、なんとも。まともにするのがひねくれて聴こえるというのはなんともパニスマらしいが、そういうフックが所々に配置されている。とぼけまくった感じながら、やはり辛辣な皮肉っぽい歌詞。ファミレスに居座りまくり。そして最後、40秒ほどジェイソンのギター「だけ」ソロ、というかロックっぽいけどやっぱり微妙に外しているような、とぼけているような、っていうかこれライブでも長々とやっていて、何だろうと思っていたけど、まさか曲の一部だったとは……。

13. INTERLUDE 5
『Investigation 09』。いつものパニスマなミニマル変拍子ジャムを、さまざまな手段で加工したような感じ。各楽器の音が上下したり、リバーブやらディレイやらかかったり、シンバルの逆再生だったり。一分間の妙な雰囲気。

14. GIRLS ON FLOOR 2
まさかのリプライズ!『1』よりもドラムがより前面に出ているが、やはり演奏も歌も穏やか極まりなくて、かえって非常に不穏。しかもこっちは何と、突然ジェイソンの歌が挿入される。片言な日本語の発音と「ウェイトリフティング」の対比が可笑しくて非常にいい味を出している。二回目のジェイソンパートのリズムがズレるところとか、この違和感の出し方は凄いなあ。より包括的に「現代社会」を撃とうとする歌詞。「誰かが背中を押す そっから先は保証付き」というフレーズが、強烈に皮肉で印象的。そして最後は、リズムの足りないギターのハーモニクス音のループ、でチャンネルが切れるように、おしまい。なんか化かされたような、騙されたような、しかしやはりらしいような、圧倒的な冷めた感じ。


パニックスマイルの、これはしっかりしたアルバムとしては七枚目らしい。長年続いた上記のメンバー四人でのラストアルバムでもあり、しかしだから集大成的な作品かと言うと全然そんなことは無く、むしろどんどん新しい扉開いていて、しかも広げた風呂敷はテキトーに広げっぱなしなような、いやでも『GIRLS ON FLOOR 2』で纏めたような、いややっぱりただ散らかして帰っただけのような、そんな何とも言い表し難い、というか言い表されるのを拒絶するかのような、そういう独自のスタンスは、やはりこの作品にもしっかりあると思う。キャリアが違うのだ。ある種の圧倒的な安定感と、だからこそ極端に振り切れる変化。伊達に17年やってねえよ、と。
しかし本当に、随分ポップだ(笑)この人達の場合、ポップであること自体が強烈な皮肉として働くので、なんとも可笑しいところではあるが、もろにぐちゃぐちゃに捻くれたハードコアな演奏をするよりも、ポップさを挟み込みつつ、いやむしろ元々ポップなのをバンドの圧倒的な演奏力(笑)によって所々凄くヘンにした方が、かえって捻くれて見える、というか。その辺のこのバンドにおける「ひねくれ」の定義が、また一歩不思議なポジションに到達したと言うのが、やや正確だろうか。所々で見せる、あわやレディヘやソニックユースかと思わせる演奏が、前作で『Pop Song(We can write)』と歌ったところをまあ、証明しているというか、その上で相変わらずの吉田節もあってふざけ回るからよりタチが悪いというか。ともかく、このアルバム上でのバンドの「捻くれ方」については、筆者は支持します。もはやハードコアでもないなあ、ここまでしたら(笑)なんだろこれ。
今回の歌詞、というか皮肉が向かう先は、そんな中で割と整理されていて、これは確かに社会、パルコなどでオシャレに買い物を楽しみ、ケータイやパソコンで連絡を取り合う人達、ファミレスで延々とだべり、ゲーセンでランデブーな人達、要するに「都市の享楽を快活にエンジョイする若者たち」に対する皮肉、っていうか、おっさんのグチ吐きだよな殆ど(笑)いやそこはまあ毒気十分ですけど。アルバム全編を通して歌詞のテーマが同じ方向を向いているため、そういう意味ではこれまでのアルバム以上にメッセージ性も強いと言えそう。何ともオシャレ(笑)でケバケバしい、わざとらしいピンク色が映えるジャケットもまた、何と言うか、露悪的だなあ。
長年のメンバーの最終作として、このようにポップでメッセージフルなアルバムをつくった吉田氏、これから果たしてどうするのやら。何もしないことは無いだろうけど、この後どういう方向にサウンドの舵を切るのやら。新メンバーは誰なのか、ちゃんとあのグダグダな演奏が出来るのか。そもそも現行メンバーの誰が変わるのか?今の四人、凄く見栄えが良くて好きなんですけどね。その奇妙なバランスっぷりはちょっとスマパンっぽくもありますよね。っていうかスマパンの四人の要素を色々入れ替えた感じっていうか(別人種のバランスとか、女性とマッチョ(?安田さんのつもりだけど、マッチョ?)の配置とか、スキンヘッドとか、そもそもパニスマとスマパンの文字的被りとか。多分どれも偶然なんだろうけど)。
最近はMUSICAでの年長者ご意見番的なCDレビューも行う吉田氏。この確かにパニスマだけどしかしめっちゃポップなCDは、MUSICAを読むような層の人間にもしっかりとアピール出来ると思うんですけど。っていうか、こんな上質でポップで、そのくせ人を舐め切ったような(笑)音楽は、もっと多くの人に好かれるべきだよなあと。まあアンチ商業主義・徹底的アングラ主義の吉田氏だから、向井程度に売れるのも十分に問題なんだろうけれど、でもこのアルバムは少なくとも向井程度には売れていいんじゃないの、とは思います。向井も日本アカデミー賞とやらを受賞したりで、ああ、チェルシーQは遠くなりにけり(筆者は全然リアルタイマーじゃないし、何も知りませんけど)。


こんな感じでいいっすか、パティ村さん。



ライブ『NORTH OF BORDER』。いつものジャンク感と、なんか王道ロック感の不思議な折衷。
どことなく極東最前線2の『WESTERN DEVELOPMENT』と似たような、奇妙なキャッチーさと不穏さがある。
ザゼンが好きな連中やらはみんな買えや、とか書いたら、吉田氏的にはやっぱ嫌なのかなあ。
しかしこうして見ると、クールであると同時に、実は相当熱い。いいなこういうスタンス。

タワレコで買ったら付いてきたおまけDVDも嬉しい。『A GIRL SUPERNOVA』『WESTERN DEVELOPMENT』『BE TWISTED』の三曲入り。防府でライブしてたんだ。ステージ前に立っている学生らしい連中(正直DVDで観る分にはジャマ(笑))が、なんか知り合いに似ていた。でも防府だから、多分関係無い。おわり。


そういえば、福岡にも出来ますねパルコ。天神の渡辺通と明治通りの衝突するところ、下半分はまだカバー掛かってますが、上の方にはシックなパルコのロゴが。天神もすっかりガールスーパーノヴァ。元からか。別にとりたててパルコに敵対心は抱いておりません(本当です!)。ただ、これで福岡市民も安心して『シャロン』(ROSSO)を大声で、自分たちのもののように歌えるなあ、と。今度こそおわり。
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コメント

  1. osa | URL | -

    やべえ今知ったちょっと会に意ってkるああわわあ

  2. よしとも | URL | -

    ライブで実際にあの人達を間近で見てみると、「ああ、この人達にお貢ぎするんだなあ」と思えて、CD買うのもなんかいいもんです。

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