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『Requiem For Innocence』 ART-SCHOOL

2009年12月25日 16:32

しかしこのアルバムタイトル、素晴らしく中二ですな。それがよい。
Requiem for InnocenceRequiem for Innocence
(2002/11/27)
ART-SCHOOL

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1. BOY MEETS GIRL
「何この一本調子!?」って突っ込むのも野暮なくらい一直線な疾走ナンバーで彼等の一枚目のフルアルバムは幕を開ける。初期アートの疾走曲はフロアタムを多用した重量感のある疾走がポイントだと思う。エッヂの鋭いギター、特に木下の方はそれだけかよ!というシンプルさ。これに上手くメロディを乗せることが出来るから彼は強い。サビでリズムにアクセントを付けるのもこの時期のお約束。突き抜けていくシャウトも何もかも、ひたすら勢い重視。

2. リグレット
再び疾走。どこか爽やかさを感じる心地良い軽快な疾走感から、サビでどっしりメロディを舞い上がらせるパターン。サビの崩壊寸前なボーカルが疾走に戻ってまた爽やかになる感じが初期アート。間奏のチャージも迫力十分。この曲に限らないけど、もうダウンピッキングしかしてなさそうな歌メロ裏のギターが勢いと爽やかさとポップさ全開で非常に良いです。演奏気持ち良さそう。最後のサビの後を伸ばすのも良い感じ。この1,2曲目の連続した爽やかな疾走感がアルバムのカラーを強烈に印象づけていると思う。

3. DIVA
そしてここでデビューシングル。詳しいレビューはシングル『DIVA』の方を参照。どっしりとしたイントロで落ち着いたかと思えば、やっぱりサビで疾走。このアルバム、前半の勢いは異常。この勢いは次曲まで続く。

4. 車輪の下
シングル『MISS WORLD』に収録されたもののリメイクというか、ちゃんとしたバージョンというか。クオリティはこちらの方が断然上。ダウンピッキングしている姿が目に浮かぶベースの疾走から入り、拍子足らずのメロディを緊張感とポップさで進行し、サビで弾ける。コーラスの掛かったニューウェーブチックなギターがサビで攻撃的になるのもアートの基本パターン。終盤のギターソロが勢い任せでポップでいい感じ。詩的というか、雰囲気全開な描写を連ねた歌詞も良い感じ。この感じで疾走するってのが、やっぱ内気な文学少年的音楽好きの一部のツボを突くのはまあそりゃそうだろな。「アイソーレーション↑レーション↓」という木下的な変なフックもバッチリ収録!

5. メルトダウン
これもシングルからの収録。流石にこの辺で疾走が止む。曲自体はシングル『DIVA』参照。正直この曲でアルバムの流れが止まっている感じはしなくもない。『車輪の下』からいきなり『サッドマシーン』でも良かったような。悪い曲じゃないけども。

6. サッドマシーン
アルバム曲中でも一番強烈なフックを持つ、シリアスな楽曲。初期アートのシリアスなイメージそのものな曲調は、緊張感溢れる冷たいアルペジオと重たいリズムから、サビで愚直なリフレインを伴って崩壊寸前まで追い込まれるのを繰り返す。サビの音の混雑具合が痛々しくも心地良い。リードギターの音のクリップな具合が何とも愚直な感じに溢れていて、初期アートの勢いを感じさせる。そして間奏のシャウトが強烈。「助けて!」と叫ぶなんて、あざとい!歌詞もアートスクールの中二的魅力全開!タイトルのスマパンからの引用(『Here Is No Why』の一節)からも分かる、勝手な断定と必死の懇願。

7. 欲望の翼
イントロの攻撃的なフレーズがそのままサビに使われるパターンの曲。グランジ色の強いナンバー。呟くようなボーカルが一気に舞い上がる。最後に現れるリフレインも殆どシャウトの連続。シンプルな重厚さが印象的。正直筆者はこの曲苦手。

8. アイリス
またまた疾走!でもこの曲はアルバム前半の疾走曲とは違って陽性抑えめの焦燥高めな感じ。イントロのギターの勢いそのまま終始疾走しっ放し、リズムが入って、訳の分からんサビの英語(ババスアイナーって何だよ!?)、途中の木下謎のフック「ヘッヘーイ!」を越えて、最後のバイバイ連呼までひたすら冷淡愚直に突き進む。この一直線感にそっと絡む繊細なアルペジオが印象的。

9. フラジャイル
フラジャイルなのはバンドの方だろ!って感じの、崩れ落ちそうな雰囲気が魅力の曲。ポロポロと滴るようなギターフレーズ、太いベースが無かったら崩壊してしまいそうな変則リズム、そして神経質なメロディを割とヘタクソに繰り返すボーカル、このギリギリ加減がなんともアートスクール的で魅力的。冬っぽい切なさも大いに感じられる。

10. foolish
ここから二曲、ミニアルバム『シャーロットe.p』からの収録。曲自体のレビューはそちらを参照。7,8,9と割と暗めなメロディだったのが、ここでまた一気に陽性になるところは良い感じ。まあこの次が一番暗いのですが。

11. シャーロット
やはりミニアルバム『シャーロットe.p』より。しかしミニアルバムで聴くよりもこのアルバムの流れで聴く方が何故かぐっと来る。勢い任せなアルバムの、そのディープサイドをこの曲が一手に担う。まるでこれまでの疾走が全てこの曲に吸い寄せられていたかのような、圧倒的な引力・暗黒具合。イントロが始まって、ファルセットが聴こえた瞬間の緊張感が堪らない。間違いなくアルバムのハイライト。

12. 乾いた花
混沌とした前曲が映画でいう山場で、そうすればこの曲はやはりエンドロール的な、そういう曲。短いヴァース、乾いたギター、そこから攻撃的だけどどこかヤケクソ気味で陽性なメロディが気持ち良い。最後に「生き残っていたいよ今日は」なんてちょっと前向きなフレーズを持ってきているところは、シャーロットの破滅的な印象からアルバムを上手いこと解放していて、まあ、上手いもんだなあと思ったり。


ART-SCHOOLの1stフルアルバム。「新世代のグランジ」としてもてはやされたこの頃のアートだけど、別にそんなにグランジでもないよなあと思ったり。冒頭から四曲目まではギターのエッヂの利いたパワーポップって感じで、やはりこの疾走感がアルバムのカラーを強烈に印象づけていて「勢い任せ過ぎて嫌い」とか「この勢い任せ感こそアート!」とか賛否両論な感じか。全部で40分を切る収録時間というのもそんな印象を強める。ある種単調な曲作り、ある視点からすれば酷いとしか言いようの無い歌詞やボーカルなど、そのスタンス的な面がむしろグランジであり、そしてパンクだったのかもしれない。アルバムタイトルが「この時期の青春パンクに対する当てつけ」も多分に含んでいるというのがパンクというか適当っぽいというか。結局この「バカっぽいほどに破滅を求める志向」を好ましく思うかどうかが好きになれるかどうかなんだろうなと。そういう意味ではこのアルバムはアートスクールというバンドのそういったキャラクターを一番シンプルに、直接的に表現しているとも言えそう。まあでも、どんなにバカっぽくても最後の『シャーロット』で全部取り返しちゃうところは一筋縄でいかない感じで良い。
中二っぽさに関してもおそらくこのアルバムが一番ポップにそれが出ているかと。ニールヤングなジャケット、大山による数々のイラスト、スマパンの『Siamese Dream』へのオマージュを感じさせるブックレットの書きなぐられた文字列。洋楽ファンの中二的な欲求にここまで忠実に成されたデザインはなかなか無かろう。『Love / Hate』まで行くとちょっと可哀想な感じになるし、第二期以降は大分世界観の趣向が変わってくる(段々シロップっぽさが入る感じだと個人的に思う)。そういう意味では、「美しい破綻の場面を何が何でも追求する木下理樹」な側面、インディ時代からのそういった志向が一番よく出たこのアルバムは、なんだかんだでこの時期のバンドの魅力的な側面を上手く切り取った一枚だと思う。

『サッドマシーン』PV。邦楽界の名男優・櫻井雄一。その勇姿。木下もギター担いで楽しそう。
散々シリアスにしといて、結局抜歯オチ?痛々しいしちょいグロい。

ライブにおける『アイリス』。歌詞の忘れも訳の分からない英語の発音も何のその。神経質な疾走感。

同じく『車輪の下』。シンプルでいいぜ!ロックなんてこういうので十分だって、本当に思わせる勢いがある。
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