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omoide series 第三回:ナンバーガール編

2009年10月07日 03:27

なんとなくスーパーカーについて書いたら、この企画の方向性が掴めたので、どんどん書けるうちに書きたいと思います。結局97年世代の四つについては全部書くのか……。

書くのが一番しんどそうなのは一番最後に残しておきたいので(笑)、今回はナンバーガールについてでひとつ。いや、この序列はあくまで筆者の現在の思い入れによるもので、そうなると中村一義が四つの中では一番「重く」なるので。あしからず。最新のスヌーザーを読むとどうも。ビートルズ特集良かったよタナソウ!やっぱりホワイトは満点だよねそしてことあるごとにリンゴのドラミングに中村一義を引き合いに出してくるタナソーの偏り具合がわたしは好きです。

という訳でナンバーガール。まあこれもまた一筋縄でいかないバンドな訳で。それにわたし、同郷だし。彼等が福岡時代に練習やライブをやっていた場所が近くにあるというだけで、この街に来た時は色々と興奮したものです。福岡はいい街。ただ音楽文化的には最近あまり勢い無い?最近あまりライブに行かないので分かりませんが。

ナンバーガールの誕生秘話などは多分その辺に転がっているだろうしそもそも向井自身がマンガに書いているのでそちらを参照(笑)ナンバーガールは他の三者(くるりスパカ一義)と比べると、一番出自がまともと言うか、非大学生でアングラ上がりという、そういう部分がまず他の三者と大きく異なるところだと思うし、彼等自身もその出自を隠したりせず、むしろ非常に大事にしていたように思う。そういう意味でこのバンドおよびその後の向井秀徳がアングラ的要素を多分に抱えたままメジャー的な立ち位置にいることは非常に納得のいくことである。むしろ福岡時代の方がポップ(笑)

ラストライブの最後に演奏された曲が初期のポップな名曲なんて、粋だ。センチメンタルだ。

初期のギターポップ路線はしかしUK的な流麗非力系のそれではないことが特徴で、やはりピクシーズなどを意図していたのだろうヘタウマ感と直線的などっしり感が備わっていた。まだ青春的な切なさを歌うに留める歌詞はしかし既に酩酊や街のことなどを扱っていた。そして妙に勢いがあって転がりまくるアヒトのドラム。そういえば向井のギターの音って初めから最後までずっとジャキジャキのままなんだな。

98年に上京。だから実は彼等はちっとも「97年世代」じゃない気もするが、まあ後付けの定義であって、それに確かにあの辺のバンドと一緒に扱うとしっくり来るし、これはこれでいいのだろう。

上京の後、何故か急に諸行無常を感じ始める向井の作詞。メジャーデビューしてから、曲に急に都会的な猥雑さの影が現れ始める。

向井手書きのマンガをベースにしたPVという、何ともインディチックなつくり。こういうマンガやらあとライブやメディアに置ける自己のキャラ付けやらにおいてもナンバーガール、というか向井は革新的な、というかキワモノ的な行動を示し、バンドを強く印象づけた。しかし曲の爽やかさとそこに潜む都会の影、そしてそれに屈しない若々しさ全開のビジュアル。これはこれでいい感じだったメジャー1st。結局福岡で録音したってのも爽やかさが多分に残っている理由なのかしら。

東京でライブをこなし、徐々に都市の病の虜になっていくナンバーガール。ここでちょっと福岡在住の人間として言わせて。福岡の街は基本的に天神と博多駅周辺の二つが中心部なんだけれど、この辺りには飲み屋などはあっても風俗店は無いわけ。あってもラブホ程度。風俗関係の店はほぼ中州に集約されていて(親不孝とかも性的にいかがわしい店ってあんまり無いし。まあ雑餉隈なんかもあるにはあるけど)、こう、風俗店は中州に行かないと見れない、って具合なんです。意外と福岡って性商売的に潔癖な街なんです(笑)ところがどうだい、東京の街に行ったら、とりあえず大きな街に行けばその一角に必ず風俗街がある。新宿も渋谷も池袋も上野も、どこにも歓楽街があって客引きなんかをしている。就職活動で初めて東京に行った筆者は正直幾らか面食らいました。ネカフェを探そうとしたら風俗街の中にいたりして。まあ多分全国的には繁華街と歓楽街がくっついているのは普通なんだろうけど、でも福岡にずっといるとそうは考えないんです。だから初めて東京のそういう街を見たとき筆者は思いました「ああ、これが向井が見た冷凍都市の姿か」と。これは筆者が勝手に考えていることなのですが、この福岡と東京の街のギャップが向井の詩的イメージに与えた影響も幾らかはあると思うのです。もしかしたらメジャー1stを福岡で録音したのも、まだ東京のそういう街に耐性が無かったからかもしれないし。まあただのファンの妄想ですけど。

アングラ上がりのナンバガにとっては、ライブこそが主戦場。よってライブパフォーマンスも熱狂的で、この辺はスーパーカーとはまさに対極的である。

『シブヤROCKTRANSFORMED状態』に至るまでのライブまでで、ナンバーガールの歴史に一旦ピリオドを打つことが出来る。ここから先は都市の暗黒にどっぷり染まり始める向井とそれに合わせて異形の変化を遂げ始めるバンドの時代に。
デイヴ・フリッドマンプロデュースで音造りが急変する。US録音!ボーカルやドラムに厚くリヴァーブをかけたりして、音のひとつひとつの存在感・緊張感がぐっと増し、それに伴って曲調も緊張感を帯び始める。そして都市の生み出す病的で狂ったあのカンジが向井のブレインに侵入。都市というのはまあアメリカのそれではあるまい。日本の中枢にして日本最大のカオス地帯、東京。岸田も困惑したこの街に、向井はそれ以上に翻弄され、また自らもその踏み込む足をぐっと加速させた。

でもマンガは使う。この辺のユーモアのバランスは絶妙。
マンガと言えば、ここで読める向井直筆のマンガシリーズはより深くナンバガを知るには必見である。向井のものの見方や考え方、そしてユーモアセンスやセンチメンタルの欠片などが垣間見える。ビートまんがの第二十回は必見。なんか象徴的。

引き続きメジャー2ndもUS録音!この『DESTRUCTION BABY』から『SAPPUKEI』にかけての辺りで、パブリックイメージなナンバガのイメージが出来上がる。冷凍都市の緊張と焦燥と軋轢を、シューゲイザーやパワーポップの方法論ではなく、ガリッガリの音でヒステリックに表現するサウンド。そして間の取り方と曲展開の歪な変化を得ていよいよサウンドの真ん中で自在に暴れ始めるアヒトイナザワ。

冷凍都市に潜入。そして見る。ヤバイ、バリヤバと叫ぶ。いくらかとぼけながらも、都市のどうしようもない部分に惹かれて、没入していく。スーパーカーがどんどん観念的・イメージ的な方向に進化していくのとまた対照的で、ナンバガはどんどん都市の薄暗い現実を吸収して自分のサウンドを狂的にチューンアップしていく。


でもやっぱりまだ独特のユーモアセンスを持ったまま、どこかユニークに活動を展開していた。同じ圧倒的な存在でも、その辺が今のZAZEN BOYS的な孤立感ともまた違った、妙な親しみ易さを有していた。何だかんだでナンバガの方がメンバー的に花があるし、ザゼンの方がずっとマジっぽいもの。この違いはまあどっちが優れているってものでもないだろうけど。

ライブにつぐライブで研ぎすまされていくサウンド。あと向井の語り口調。そして可愛いひさ子。

様々な曲を作る中にはライブでやっただけで結局レコーディングされない曲も多く、しかもそれらの中にもこのような圧倒的な曲があったりして侮れない。やはりナンバガはレコーディング音源よりもライブなバンドだった。ドラムの無い部分でもドラムフレーズをイメージし続けるアヒトの存在感が異様。

シングル『鉄風 鋭くなって』リリース。この辺りまででこういう鋭い疾走方向性でのサウンドの進化は完了した。そして更なる変化を求めて、ここからナンバガは最後の進化を遂げるべく尽力、結果バンドとしての寿命を擦り減らしながらも、完成した幾つかの更に歪な曲を持って三たびレコーディングの為に渡米、プロデュースするフリッドマンもどんな気持ちでこの辺りのレコーディングの様子を見ていたんだろうか。

大胆なラップ導入・リズム機能の特化。後のZAZEN BOYSに繋がる要素が色濃く現れるもしかし、どうも向井の制御を越えて多方面に広がる演奏が非常に熱い。今のザゼンのストイックさとはまた大きく違う崩壊寸前の断末魔的サウンドの数々、それが向井のバンドを制御しようとする意思と大きくぶつかり合う。バンドの最後にして最大の軋轢。それでもとぼけ続ける向井と疲弊していく他メンバー。でも演奏は最後の最後まで進化し続けたと思う。

そして端から見ると上昇気流の中にあったように見えたバンドはあっけなく解散。向井はそれでもまるで何事も無かったかのようにZAZEN BOYSを結成し、着実かつ攻撃的な活動によって、今や完全に第二の成功を収めている。しかしナンバーガールの頃のあの青春めいた感じというのはやはりナンバーガール特有のものであって、もう今となっては遠い昔の記憶でしかない。スーパーカーとはまた違った意味で「あの四人」というのが非常に重要だったバンドだと思う。

東芝EMI(もう無いんでしたっけ。また諸行無常な……)による解散後のリリースもあらかた終わってしまった現在、ナンバーガールは完全に昔の記憶となりつつある。彼等の場合特にザゼンが非常に現在進行形的であるから、その活躍の分昔の記憶も感傷も薄れるというもので、それはある種健全だと思うし、でもどこか切ないもんで。やっぱり初めから「冷凍都市!」って叫びまくってるザゼンと、青春ギターポップから暗黒ポストパンクまで走り抜けたナンバガでは情緒的な変化の量が違い過ぎるという。アヒトも今ではバンドのフロントマンだし、ひさ子はブッチャーズはいいとしてToddleはどうなってるのかよく分からないし、中尾氏に関してもよく分からない。筆者に分かるのは、かつてこの四人が一緒にバンドやってて、それは結構いい時代だったんだよということくらい。あの弦がいつ切れてもおかしく無い緊張感と高まり、緊張しながらもどこかとぼけた雰囲気、オーディエンスとともに盛り上がっていくあの感じ。

「イナザワ君、今日もまた、ビールを飲もうじゃないか」
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コメント

  1. osa | URL | -

    これは見事にまとめたなあ。そして良い締め。
    中尾はLuminous Orangeの2007年の作品(個人的にイマイチだった)に一曲だけ参加してたけどそれ以降は全然わかんねえや。SPIRAL CHORDもSLOTH LOVE CHUNKSも活動停止中。後者に至ってはボーカルが抜けた。今何してるのかしら。

  2. よしとも | URL | -

    個人的にはけっこう不完全燃焼気味なんですけど(笑)何しろ、これを書こうと思ってやっと聴き返し始めたくらいですから。最近本当に激しいのを聴かなくなってしまったし、結構大変でした。

    中尾さん、社交的な人みたいだから上手くやっていけると思うんですけどね。なんかウィキによるとこんなのもやっているそうです↓。
    現在は女性ロックバンド、MASS OF THE FERMENTING DREGSのプロデュース及びサポートベーシストも行っている。
    これアレですよね、最近有名になって来たやつ。頑張ってるみたい。良かった良かった。

    コーダイ……。

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