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『14SOULS』 ART-SCHOOL

2009年09月05日 02:33

間が空いたけど、できるだけ全曲レビュー。KARENの新譜はまだ買ってないです。
14SOULS14SOULS
(2009/08/05)
ART-SCHOOL

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1. 14souls
第二期以降現れた爽やかギターロック路線(スピッツみたいな?)の、その最新系。早歩き程度のテンポの疾走感と、それを全く邪魔しないシンプルで心地良いメロディ、アレンジ。中間の短いリズムチェンジ以外はずっと展開を反復するシンプルさが、一見地味だが慣れるとなんか気持ちいい。歌の間も意外と細かくリフを作っていくギターが可愛らしい。先行配信曲だったので、今回はこういうのが多いのかと期待したら全然そうでもなかった(笑)木下の歌もなんか若作りで良い。あとベースが圧倒的(笑)
2. STAY BEAUTIFUL
前曲の爽やかさをぶち折るハード気味なリフ。ていうかブロックパーティー……。鋭いマイナー調の曲がこのアルバムは多い。美しさよりも毒々しい官能っぽさを重視したアレンジ・メロディ。驚きなのは間奏。急にビッグビート風、っていうかこれスワルティカアイズじゃねえか!ホーンまで入って、その狂乱具合がなんとも意外というか新境地というか。ダークに踊らせるぜ!っていう具合の気合いを感じる。
3. ローラーコースター
ポップなリフを中心とした、ミドルテンポのどっしりロック。つってもアートのどっしりロックはどっしり感が無いけれど。『Seagull』なんかに近い。良く跳ねるドラムや粘り気のあるギターはどこか初期スマパンのよう。ブリッジでのコーラスの掛け合いなんかがいい具合。今回一番分かり易くオルタナしている曲かと。そういうツボを抑えたギターの陽性具合や伸びが格好いい。
4. マイブルーセバスチャン
スミスみたいなイントロからまたマイナー調の狂乱具合。この曲は特にホーンが大きくて、その様はまさかのエロ路線のサザン風(笑)コーラスの掛かったギターのマイナーアルペジオ具合はまさにUKニューウェーブ。スミスやキュアーって感じ。密かにサビの流れるように最小限に舞い上がるメロディが素敵だと思う。
5. HEAVEN’S SIGN
三連符のミドルテンポナンバー。たゆたうようなギターフレーズが印象的なこの曲は、なんとなくKARENからのフィードバックを感じる。間奏のじわじわ盛り上がっていきそこから一気に引く感じが素敵だと思う。戸高が手を替え品を替え頑張っている感じ。こんな曲調は初期に無かったはずなのに、なんか初期っぽく感じる。メロディか?
6. LOST CONTROL
もう分かり易いくらいリフがブロックパーティーな、ダーク疾走系ナンバー。しかし木下が歌えば立派にアートになるもんだなあと。こっそりシンセも入っている。サビ入る前の切迫はThe Novembersぽくもある。そして最後のサビ前の毒々しくも幻惑的な展開が良い。最後のタイトル連呼もいい具合。何故か映画『ロボゲイシャ』の主題歌。映画の映像と一緒にこれが流れるとなんか、それなりに真面目な曲だろうに、笑える。
7. tonight is the night
トランス風味なシーケンスが反復する、今回のダンス路線の中でも最も振り切れた曲か。夜っぽい透明感のヴァースから(特にリズムが)狂乱って感じのサビに入る具合は心地良い。今回のアルバムでも最も新ドラマーの個性が出ている曲か。ギターポップなキラキラさとはまた違った輝き。この曲もサビのコーラスが重要だなあ。
8. wish you were here
『クロエ』『その指で』系統のアート流へなちょこファンクナンバー。これはしかしまた随分シンプルな。簡素な打ち込みのリズム上を簡素なメロディの反復がなぞる。ちょこちょこと鳴るギターとマイナーアルペジオの対比が、ギターロックとファンクを適当なところで上手く繋ぎ合わせているのか。繰り返しもいつもより一回少ないし、なんか地味だけどその小回り感が素敵だと思う。
9. don’t i hold you
これはなんかブロックパーティー風っていうよりもThe Novembers風か?リフがちょっと臭過ぎるかも。というかM6と曲調がかなり被っているよなあ。サビの繰り返しがいかにも木下っぽいのと、間奏からの盛り上がりがアートチックなツボを抑えていて良いけれど、これは無くてもいい曲かも。
10. CATHOLIC BOY
なんか不思議な、アートっぽく無いイントロから始まる、えらく落ち着いたポップソング。サビ以外はちょっとピロウズっぽくないかい?戸高らしい水っぽいギターはあるが。でもサビのシンプルで、盛り上がりが抑えてあって、そして若干クドい繰り返しがなんか良い。ギターポップしてるなあって感じ。間奏前に出てくる新しいメロディの盛り上げ方と、そこで鳴るギター、そして間奏からサビに入る具合も奥行きがあっていい。戸高のギターは本当に奥行きのために努力してるなあ。
11. KILLING ME SOFTLY
メインリフがモロパクリ疑惑出ているけど(笑)今回最もブッ飛んでいる暗黒狂乱ソングか?まさかの二人ボーカル。二人の木下が別の歌を歌うよ。サビの急な不浄感も含めて、何ともカオス。さらにカオスに拍車を掛けるような、急なリズムチェンジと新しいメロディの挿入、そしてそこから無理矢理元のサビに戻る強引さ。いいかどうかは別としても、こうやって曲調の冒険をしているんだなあと。
12. 君は天使だった
地味に今回のアルバムの中でも最もびっくりした曲。何だこの軽快に跳ねたリズムは。冬っぽい雰囲気のギターといい、それこそまるでピロウズの『レッサーハムスターの憂鬱』みたいな雰囲気。っていうかこれ地味に凄くいいんだよなあ。シンプルな反復からサビでいい具合に舞い上がるメロディが好き。しかしここでまた急にリズムチェンジして、なんか哀愁のサーカスみたいになって、しかも今回はサビにも戻らずそのまま終わる。なんじゃこりゃ!?なんかもう、今のアートって自由自在だなあとか思った。全編に漂う冬具合が良い。こういう曲調もっとやって欲しい。
13. Grace note
最後は前作に続いて戸高曲で締め。もしかしてこのアルバムで一番凝ってる曲かも。デスキャブのようなちょっと変則的なリズムやリフで切ない。前曲の冬の気配を上手く引き継いでいる。エイトビートの拍子足らずから三連符に持ち込む展開とか、アートにしては文化的過ぎる(笑)終盤の為に別の展開とメロディを用意するところとか、急に水を得たように細かく転がり回るドラムとか、本当にアートか!?って具合だけどでも良い。戸高の歌う少し抜け切らないメロディもまた幻想的でいい具合。しっとりと寂しい余韻を残してアルバムは終わる。


ART-SCHOOL、実に2年半ぶりのフルアルバム。実際はミニアルバム二枚とベスト盤、別働隊KARENのアルバム(こちらも新譜が立て続けにリリース!)、そしてライブと、結構精力的に活動していた。勿論、盟友Sryup16gの解散などのシーンの移り変わりやメンバーチェンジなど様々な状況の変化は大きいが。

サウンド的にはまた大きく変化した。特にUKインディシーンに対するシンパシー(特にフロア的な局面)や、ドラムの交替(木下以外唯一のオリジナルメンバー・櫻井氏を失ったが)によるリズムセクションの再構築など、こういった影響がバンドのサウンドを大胆に改造するためにアルバムの多くの場面で見え隠れする。具体的には初期のグランジ路線とも、第二期以降のギターポップ路線とも一線を画するような、非常にニューウェーブ的で攻撃的で冷ややかなサウンドがかなり増えた。従来持っていたギターロック・ギターポップ的要素も、ちゃんとそういう曲を何曲か入れたり、そういうテイストをダンスチューンに落とし込んだりして処理している。

結構やりたいことを節操無くやっている感じもするが、そこは安定感と相変わらずな木下節が光るソングライティングがカバー。ややダークさが目立つが、相変わらずのポップで簡潔なメロディと、緊張感と不器用な青さを保った歌が光る。そして木下らしさ全開のどうしようもない詞世界も、今回はサウンドの攻撃性と相俟ってやさぐれ気味で良し。

長く続いてきたバンドの変化作として、十分以上のクオリティと彼等固有の美意識や個性を持った作品。私個人としてはダンス路線よりもギターポップをやってもらった方が嬉しいけれど、これはこれでアートの曲調を無理なく広げた感じがあって、中々良いと思う。このソングライティングと歌の妙な安定感を失わないなら、もうどんな曲調だってやれてしまう気がする。

ある雑誌のインタビューによると13曲入りのアルバム『14の魂』の最後のひとつは脱退した櫻井氏とのことだが、その決別を振り切るがごとき力強い変化と変わらぬ鋭さが輝く。次作も期待。出来れば今度はもっと早く(笑)

動画がねえー。試聴はmyspaceの公式ページで。
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