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『AURORA』 SHERBETS

2009年06月30日 23:31

ここでなんかインタビューを受けさせてもらったので(28, Jun, 2009)、
その補足と言うか、言い訳と言うか。解説と言うか。
AURORAAURORA
(2004/10/06)
SHERBETS

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1. 愛はいらない
グランジ的な攻撃的なナンバー。だが、ブランキーのそれよりもシャーベッツのこういう系統の曲は鋭さと神経質さが強調されていて、個人的にはこっちの方が好き。この曲も、単純な繰り返しによる強弱の極端さや病的さがいい具合に響く。途中の止まったり始まったりの応酬がややクドいが、クドいのはシャーベッツではよくあること(笑)ギターの切れは良い。最後のアコギもいい味出している。

2. Merry Lou
ベンジーはキュアーやポーティスヘッドなどが好きという側面を持つが、シャーベッツではそういう側面が特に強調される。この曲なんか、ベンジーの歌が無ければかなりキュアーしている。静寂からブリザードのようなサウンドに突入するのは、ベンジーのギターもあるが、やはりキーボードによるところが大きい。強烈な冷気のうねりを思わせる曲。アルバムに先駆けて発売された『38 Special』にも収録されていた。

3. グレープジュース
イントロからキュアーチックな香り全開の引きこもった繊細さを感じさせるアルペジオが美しい。細く切ないギターソロも、やたら繰り返すのはともかく良い。そしてサビで重力的に力強く陽性に向かったかと思うと、また陰鬱なアルペジオに戻る。この温度的な落差が気持ちよい。特にサビでのフレーズ連呼で上がってから一気に落とす展開は素敵。ともかく、メインとなるアルペジオパートの雰囲気を気に入るかどうかな曲。気に入ってしまえば、妙に長めのアウトロも永遠に続いて欲しいと思えるくらいに美しく感じる。ベンジーは微妙な歌い回しで静寂の中で囁き、寂しく吠える。シャーベッツの多分、ベンジーの求めるシャーベッツらしさという点においての代表曲。流石に二曲連続6分越えはどうかと思うが、気に入ればかなり浸れる。

4. BAR Mie Boo
ジャジーで落ち着いた感じのロカビリー。細いギターの音色と水を打つようなキーボード、そしてベンジーの囁きの対比で曲は進む。ベースがかなりいい仕事をしていると思う。気持ちのよいウネウネ具合。そしてゆっくりと爆発し、歌もギターもどんどん自由になるベンジー。でもどう見てもこれは長過ぎ。

5. トカゲの赤ちゃん
キーボードに導かれて、やはり冷えきった音色のギターとともに冷たい世界観が広がっていく。コーラスたっぷりなギターと重厚なキーボードの中で、神経質に調子を上げ下げするベンジー。ソロのギターも非常に雰囲気に合ったサウンドで好き。歌は同一のメロディを囁き、サビで張り上げるパターンだが、盛り上げ方がはっきりしている。まあ長いが。最後の唐突に崩れる感じが怖い。

6. 勝手にしやがれ
陽性で繊細なアコギの音から、ベンジーのハミングが入る。メロディが繊細でかつ流れるように美しい、「SHERBET」時代を思わせる爽やかさの曲。歌が途切れるところのアコギのフレーズとシンバルワークが素敵。うねるキーボードも静かに曲の世界観を膨らませている。ブランキー時代なら『15才』や『Sweet Days』なんかと同系統か。それらよりももっと牧歌的に繊細で美しい。終盤のドラムのフィルからの展開は本当に爽快感に満ちていて聴いてて気持ちがいい。急に風景が明るく開けていくような、そんな素敵な曲。

7. エスカレーターと彼女の水彩画
割と重厚なリフと繊細なアコギの対比が印象的なインスト。やはり盛り上がる部分では寒冷なサウンドを展開させる。かき鳴らすギターと遠くで神経質なフレーズを鳴らすギターの左右の対比も面白い。だがやはり長過ぎがも。

8. タクシードライバー
M1以上にシンプルで単調なリフに乗って歌う、やはりグランジな曲。結構真剣に単調な中で、不穏なフレーズを弾いたり弦楽器風になったり様々に表情を変えるキーボードがアクセントになっている。「(セックスを)したいぜ!」の連呼はちょっとどうかと思うが、ベンジーらしいヒステリックさ全開である。あと最後の方のギターのうねるリフと絶叫は流石ベンジー。もっと短ければいいのに。

9. チャームポイント
シンプルなエイトビートとパターン化されたベースラインにベンジーの短いフレーズと吸い込まれていくようなキーボードが出入りし、そしてサビでギターがかき鳴らされる。そういうかなりシンプルな構造の曲なのだが、このシンプルさがかえって気持ちが良い。終盤の逆再生やギターのフレーズなど、シンプルなアンサンブルで不思議な世界観の広がりを導く。サビのシンプルなフレーズの連呼も、ベンジーの微妙な抑揚のつけ方によってかなり突き抜けて聞こえる。不思議な疾走感のある一曲。

10. 魔王をぶっとばせ
M3みたいなアルペジオから始まって、徐々に広がりを見せていく。前半はほぼインストで、途中からキーボードが弦楽器風になり、アコギが入り、ピアノが入りギターの音が鋭くなり、半分くらい過ぎてからベンジーが同一のフレーズを連呼し始める。そしてまた冬の嵐みたいなサウンドに突入する。そして唐突にギターを残してブレイクしてからの展開が圧倒的。最後のギターの爆発はちょっとレディへ的。

11. ボーリングクラッシュ
グランジ風なリフを主体として、所々にキーボードがフレーズで絡み、そしてリズムの単調さを維持したまま爆発する曲。アルバムの締めといった感じの曲だが、やはりちょっと長過ぎか。ベンジーのギターが自由になればなるほどに曲が長くなる。そして最後は意外と唐突に終わる。


シャーベッツの2ndフルアルバムにして、シングル『38 Special』を挟んで、ブランキー解散後初のベンジー関連のアルバム。個人的にはこの作品がベンジーのキャリアの中でもベストかも。シャーベッツは元から寒さやそれに付随する孤独について重点的に取り組んでいたバンドだったけれど(1stが『シベリア』だし)、その頂点がこのアルバムだと思う(個人的には同じ寒そうなコンセプトの『ミラクル』は今ひとつだった)。

そのサウンドとしては、ベンジーが繊細で冷えきったアルペジオからブリザードのような激しいギターまでを弾き倒し、その世界観を福士さんのキーボードが更に広げるといったもの。やはりこの役割分担が、シャーベッツにあってブランキーに無い大きな魅力の一つだと思う。曲においても、ブランキーや後のユダ的な猥雑さやファニーさは徹底的に削ぎ落とされ、ひたすらに神経質さと表裏一体の繊細さを追求したものとなっている。その世界観にはベンジーが敬愛するキュアーなどのアーティストの影響を見いだすことが出来て、ああ、ベンジーもやっぱり他の音楽と繋がっているんだなあと思い、なんか良い。

ブランキー以外の浅井健一関連のバンドにおいてしばしば「緊張感が無い」と言われることがあるが、それはシャーベッツにおいては必ずしも当てはまるものではなく、少なくともこのアルバムにおいては完全に不適切だ。徹底的に突き詰められた緊張感もまた、サウンドの冷徹さの構築に欠かせないものだし、またそういったストイックさがあるからこそ、M6が非常に開放感を持って聞こえる。

ただ、ベンジーがあまりに自由過ぎるせいか、「オレが満足いくまでギター弾いて歌うまでが曲」という形式がシャーベッツではよく見られ、特にこのアルバムはそのパターンが多い。一曲一曲が冗長気味なので、アルバムの雰囲気に入っていけない人にとっては苦痛かもしれない。だけどその分、ベンジーはここで自信のこのアルバムのような繊細さ・寒冷性を思う存分追求していて、それはしっかり魅力的な音楽となっている。むしろ「ブランキーはよく分からない」とかそういう人が聴くと気に入るかもしれない、そんなアルバム。

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コメント

  1. | URL | -

    インタビューが意外に面白かった件。

  2. よしとも | URL | -

    あのブログは、書いてる人がめっさ頭いいからね。
    途中に入る(笑)なんかがインタビュー的なインチキ臭い知性を見せて面白い。

    実際、(笑)を普通に使うと知性ぶってるように見えて、若干悩ましい(笑)のだけど。
    でも(笑)は煽りにも使うしなあ。

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