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『911 FANTASIA』 七尾旅人

2009年05月09日 20:54

人から借りて聴いた。ありがとうございます。凄く今更かもしれない。
911FANTASIA911FANTASIA
(2007/09/11)
七尾旅人

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七尾旅人が描くFS巨編。映像の無い壮大なSF大作。
この解説がたとえ本人の本当の意図からしたら的外れだとしても。

多くのSF作品が、広大な宇宙のロマンを描く一方で、
また、数知れぬ「世界の終わり」を描いてきた。
それぞれの手法で、趣向で、それぞれの思い描く「荒野」を作り上げた。
『電気羊』『渚にて』などの有名なSF小説。
日本が誇る漫画の神様・手塚治虫なら『火の鳥』の幾つかの話などなど。
(特に『未来編』なんかは、このレコードと関連してそう)
それこそこのレコードにも名前が登場するキューブリックだってそうだ。
あと、ゲームだけど『MOTHER2』なんかも、そうだった。

これらの連なりの中に、この作品も加えることが出来るだろう。

まあ、実際にわたしが一通り聴いて思い浮かべたのが、
物語的には『火の鳥未来編』、音楽的には『MOTHER2』だったっていう。

ネタバレ?

1969年の月面着陸(旅人は「うそ」と言い切っちゃうけど)から始まり、
そして世紀末の不安の増大が、遂に911で溢れ出し、
世界中に「幻」が満ち、そして世界中に「グラウンド・ゼロ」が訪れる。
素晴らしいソウル・ミュージック、そして「ぼくのお嫁さん」、
全ては失われてしまう。幻の下には荒野が残る。
わあ、わあ、わあ(驚きに満ちた小さな悲鳴)
語り部の夢と錯乱と孤独。そして絶望。

ネタバレ?おわり。

本当はネタバレしまくって感想を書き放題書きたいけど、
どうせ本人の意図からは外れてしまうだろう。
というか本人の意図に到達など、誰が出来ようか。
だが、受け手は精一杯努力して、話し手の意図を読み取る。

旅人はしかし、これを単なるB級SF作品にはしなかった。
多くの優れたSF作品がそうであったように、旅人もまた、そこに込めた。
主張。趣味。個人的感情。願望。悲観。
映像の無いことをいいことに、旅人はこの映像の無いサウンドトラックに、
何でもかんでも詰め込んだ。
従来からもそういったものを作品に詰め込んできたと本人は言うが。
(詳しくはここ参照。どんどん話が脱線。多分本人的にはそうじゃないんだろうが。)
沢山言いたいことがある人なんでしょう。圧倒的な情報量は昔からだが、
今作はその主張を物語になぞらえながら端的に、うたと演出で表している。
旅人の考えを知るためには、ある意味「いちばん分かり易い作品」が、
もしかしたらこれなんじゃなかろうか。
(かと言って本当の旅人初心者にこれを薦めるのは鬼畜だが)

音楽と「生命」に関する主張は、よく考えれば
『およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明』
の延長線上にある。ある意味、先行シングル的なものなのかもしれない。
およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明
(2004/09/15)
七尾旅人

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わたしはまだこれ聴いてない。

楽曲面的には、前作『ひきがたり・ものがたり』の延長線上にあるともいえる。
前作に引き続き、空気公団の山崎ゆかりも複数の曲で参加。
楽曲やアレンジの洗練よりも、「ことば」「うた」を伝えることに腐心した感じ。
っていっても、あくまで「語り」が中心であって、うたものはその合間に、
それも物語の備考的に登場するのだが。
そして、語りの後ろで流れる音楽、演出は風景を描く。
宇宙的だったり精神的だったりするそれに、わたしはマザーっぽさを感じた。
そして旅人はこの時期、国府達矢という音楽家に強い影響を受けたようで、
引用したりもしている。
その音楽、精神的で宇宙的な音楽と、
旅人の愛する数々のソウルミュージック(清志郎も登場)を、
旅人は自分なりの解釈で繋ぎ合わせ、そして主張する。
過剰で、興奮気味で、常軌を逸した、しかし本当に真摯な「主張」。

ひきがたりバージョン。旅人なりのソウルミュージック。
形式としての「ソウルミュージック」とは定義を異にする音楽。

これも弾き語り。しかも途中で切れちゃう。

ぐだぐだ長くなるので(ロッキンオンジャパンの巻末のたったあれだけのレビューで
語れるレコードじゃないんだ。別に情報量が多ければいいって訳でもないんだけど)
最後に本人のブログから、最もこの作品について深く言及している、
ような気がする記事を引用して終わる。これ。
「……なので、911FANTASIAは「過去の自分への戒め」として作った部分が大きい。
罰ゲーム。ペナルティのようなもの。」
こう言い切ってしまう程、彼は常に混乱していて、しかも真摯だ。
この作品を思想的に、または音楽的に批判することはできる。
しかし、そうではなく、この作品に溶けた音楽家七尾旅人の、
その魂の苦悩する様(実際凄く長い期間をかけて、苦しみながら作ったらしい)
を眺め、想うことが大切なんだと思った。
安易な「共有」ではない。それぞれが「自分なり」に「真摯」に「考える」こと。
その発端にこの三枚組の面倒臭いレコードがなったならば、
きっと彼は心からそれを祝福してくれるだろう。


なんか最高に中二で、しかも傲慢な結論になっちった。


どうでもいいけど、これ。
裸だったら何が悪い(旅人ブログ『人生おかわり』より)
なんか笑った。こんなことも意外と書くんだよなこの人。
基本この人もアホだ。真摯なアホだ。真摯な人は常にアホだ。
勢いで言ってしまった。

もうひとつ、旅人ブログから引用。
これ。
聴いてみたい。

そして七尾旅人本人は現在レコーディング中。
人生初のバンド録音だとか。凄く楽しそう。
よい作品が出来るといいですね。
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