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『Fifth Dimension』 The Byrds

2009年05月06日 00:23

Fifth DimensionFifth Dimension
(2008/02/01)
The Byrds

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イギリスではロックンロールから次第にサイケへ移行していく、そんな兆候が見られたが、それはアメリカの幾つかのバンドも刺激した。とりわけ影響が目立つのは、先に紹介したビーチボーイズと、そして今回紹介するThe Byrdsというバンドであった。この二つのバンドは当時の西海岸を代表するバンドで、彼等がいわゆるその後70年代に全盛を迎える「ウェストコースト」のシーン作りに結果的に大きな役割を果たした。

バーズは元々、ディランの名曲『Mr. Tambourine Man』を12弦ギターを用いた繊細なアレンジでカバーしたことで有名になったバンドである。アメリカのバンドながら、その曲調やコーラスなどにおいてビートルズなどのイギリス勢から強い影響を受け、曲中にアメリカっぽさとイギリスっぽさが同居していることが特徴だった。その繊細でかつキャッチーでポップな12弦ギターの音色や牧歌的で爽やかで広がりを持った曲想から、彼等を今日まで続くギターポップの系譜の先頭に置く向きもある。

で、今回のこの作品はそんなバーズがサイケデリックの影響を受け、流行に乗って(ここ重要!)、初期の作風から変化していこうとしたが、まだ以前の路線もかなり色濃く残っており、過渡期的な作品となっている。っていうかサイケっぽい曲のほうが少ねえ。事実この時期はそれまでの中心メンバーだったジーン・クラークが脱退したりして、色々とゴタゴタしていた時期だったようだ。

かくしてこのアルバムはそれまでのバーズっぽい爽やかジェントルギターポップ(M1やM2、M10)にサイケなアレンジ(M4にM5、M6、そしてM7)、そして何故かそれ以外の要素(後のカントリー路線が垣間見えるM3、後に脱退するデイヴィット・クロスビーがその非バーズ的なパワフルなボーカルを披露するM8、ソウルフルなインストM9にジェット機の音を片チャンネルにそのまま突っ込んだ実験作っていうかお遊びなM11)などが混在し、いかにも過渡期な雰囲気を醸し出していて楽しい。

元々アルペジオ自体、サイケデリックとの相性が良いのであるが、ここでバーズが何曲かで見せるのは、12弦ギターを用いてフリーキーというか効果音的というか、そういったギターを配置する方法である。この線が細いが神経質でイメージに満ちた音はインド音楽やジョン・コルトレーンのインプロなどから影響を受けたものらしい。

とりわけこの手法が活かされている曲こそ、ジーン・クラーク脱退前最期の録音であったM7『Eight Miles High』である。この曲は怪しいコードの上を自在に細い12弦ギターが荒し回るサウンド(リズムも変則的で不穏)とジェントルながらどこか不安で吹き飛ばされてしまいそうなコーラスを繰り返す曲で、彼等の曲の中でも飛び抜けて前衛的な曲。全体の緊張感のせいか、不思議な浮遊感と同時に、テンポの割に結構な疾走感を感じる。むしろなんでこんな曲を作ったのか分からないくらい。これ一曲だけはビートルズの歴代サイケ曲やピンクフロイトの1stにも匹敵する不可思議具合である。本当になんで?

なにはともあれ、時はまだ66年、本格的なサイケデリック時代の幕開けを前にして、時代が大きく変わり始めた時期であり、彼等はそれをキャッチすることが出来たということである。バーズもこの後色々と変化し、最終的にカントリーロックの申し子になる。彼等の作風の変化などもあって、本格的にウエストコーストサウンドが形成されていく。しかしこれはまたしばらく後の話だ。

正直、このアルバムにおいては他の曲は結局この曲のおまけくらいの存在かもしれない。
これ以前の彼等にもこれ以降の彼等にもこういう曲調の曲はない。

このアルバムの『E.M.H.』以外の曲をユーチューブで探したらこれが最初にあったので。
バックのストリングスアレンジは結構サイケ的かもしれないが、それよりも耽美。


おまけ

ハスカー・ドゥによるカバー。オルタナ的。叫びがカッコいい。これはこれで。
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