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『Past Masters Vol.2』 The Beatles

2008年12月30日 18:12

Past Masters, Vol. 2Past Masters, Vol. 2
(1991/07/20)
The Beatles

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1. Day Tripper
1と2は『Rubber Soul』期のシングル。両A面シングルである。この曲は世界中でもとりわけ有名なリフを主体に進行するポップソング。この時期にしては割とストレートな作りか。ジョンとポールがずっと二人で歌い続けるのが印象的。リフといっても同時期のキンクスみたいにダーティな感じではなく、もっとヘナヘナした感じになってるのがビートルズらしい。
2. We Can Work It Out
これ、何気に名曲。軽やかでポップなポールと、この頃からヘヴィな作風を取り入れ出すジョンの二つの作風が自然に噛み合った良曲。フォークっぽく跳ねるように歌うポールからボーカルがジョンに移った瞬間、急に曲調がシリアスになる。ワルツ調になったりもして(ジョージのアイディアらしい)、そこから強引にまたポップに戻るのを繰り返す。ビートルズのいびつさが上手く融合した数少ない例か。二人がこうやって歌い継ぐパターンの曲って意外と多くない。
3. Paperback Writer
3と4は『Revolver』期のシングル。この曲、曲自体はこの時期にしてはストレートな作風に思えるが、実際にやっていることはかなり凄い。まず、冒頭の複雑なコーラスワークはビーチボーイズにインスパイアされたものだが、ポールのベースもまたブライアンウィルソンに影響を受けたものらしい。ルートをあえて外れてリフを引き続けるベース。そしてギターのリフがまた非常にかっこいい。これらのリフと歌に付随するコーラスが合わさって強力なドライブ感を生み出している。歌詞もまた、B級作家(「ペーパ-バックしか出してもらえない」ライター)が出版社に自分の作品を宣伝するという内容。なんだそりゃ。
4. Rain
まさにこの時期を代表する名曲。ロックバンドとしてのグルーブ感とサイケデリックなメロディ・アレンジがシンプルな形で結合した見事な楽曲。ジョンの書いたメロディは独特のうねりを見せながら上昇と下降を繰り返す。地を這ったかと思うと次の瞬間には舞い上がるようなメロディ。そこにドライブ感を残したディストーション気味なギターがサイケさを加味し、リフ気味なベースが曲をかき混ぜ、そしてリンゴ自身がベストに挙げるドラム、ミドルテンポでフィルインの連発とブレイクを繰り返しまくるドラムが饒舌に歌っている。ブレイク時は宗教気味な浮遊感に苛まれ、それを突き破って入ってくるドラムに激しく興奮する。ともかくドラムのフィルが格好良過ぎる。単なる連打ではなく抜くところを抜いているのが非常にクール。コーラスワークがまた絶妙な音程を狙ってくるため非常にサイケ。そしていったん終わったかと思ったらまたドラムが沈黙を破って再開、逆再生されるボーカルで曲が倒錯しながらフェードアウト。サイケ感とドライブ感、そして王道然としたロックさが非常に高水準で融合した、本当に奇跡のような一曲。
5. Lady Madonna
5と6はサイケ期からその後に移行する際、マハシリの教えを求めてインドに旅行
に行くのだけれど、その前に作られたシングル。ピアノを主体としてホーンなんかも鳴り響く、また特別変な展開をすることも無くシンプルに愛嬌を振りまくこの曲がビートルズのサイケからの離脱を宣言する。大人っぽいポップさはロックというよりはやはりポップ、それも後に「捻くれポップ」といわれるようなそれである。ポールも太い声でがっちり歌っている。パパパパ、パパパパと入るコーラスが魅力的。これ以降のポールが非ロック的なポップソングを連発するが、この曲はその始まりか。ちょっと軽過ぎる気はする。
6. Inner Light
こちらはB面。折角「脱サイケ宣言」したのにこっちはもろインドサイケ。もちろんジョージ作。でもジョージのインド系作品の中では一番聴き易いか。歌のメロディは後のソロなんかにも出てきそうな旋律で、そこを中東とインドが混じったようなサウンドやリズムが出たり入ったりする。やはりワンコードか。曲の尺がそれほど長くなく、適度に曲展開もあるため意外と聴き易い。なんか旅行している気分になるが、歌詞は「ドアを開けずとも世界とコネクトできるんだ」というもの。バンド内で冷遇され続けるジョージにとって、救いは現実世界には無く、逃避先を求めて曲の世界にのめり込み、そして『Lord』に至る。この曲のあとインドに行ってマハリシに幻滅するのがなんとも皮肉だが、そこからジョージの更なる「救い」への上昇が始まる。
7. Hey Jude
7と8は『White Album』期のシングル。これがA面。ポール作曲の、ビートルズを
代表する名曲。ゆったりとしたピアノに導かれるメロディはどこまでも気高く、ささやかなコーラスとともにじわじわと盛り上がっていく。サビに移る際のドラムの入りがいかにもビートルズ的。そして、ひたすら高揚が続いていく大合唱が始まる。ストリングスが入り曲のクラシカルさが増大していく中を、アドリブ全開のソウルフルなポールのボーカルが響く、響く。転がり始めるピアノ、永遠に続く手拍子、小節の合間に入る緩急のついたドラムのフィルイン。そして高揚がゆっくりと通り過ぎていく。メロディの素晴らしさについては言うことは無いが、4分くらい続く大合唱の間、様々なアイディアや小技によって飽きがこなくて高揚が維持され続けるのが凄い。そこには本当に幸福感・祝福感しか無く、それがずっと続くのだ。
歌詞について。ポールが書いた詞はジョンの息子ジュリアンを励ますものだが、実はジョン自身を励ましているとも言われる。一時はポールが消そうとした「the movement you need is on your shoulder」という部分をジョンが「そこが一番いいのに。残しとけよ」といったというエピソードが有名。こういうタイプのポール曲が大体嫌いなジョンでも、この曲だけは常に賞賛を絶やさなかったことが印象深い。
8. Revolution
こちらはB面。A面が幸福感に満ちた名曲に対して、こちらは非常にものものしい
曲。ジョン作。イントロから非常に強烈に歪んだギターが鳴り響く。アンプを通さずにコンソールに直接ギターを繋ぐという反則技によって生み出されたサウンドはしかし、ジョンの要求を叶えるために様々な試行錯誤が繰り返され、エンジニアであったジェフエメリックを散々苦しめたとか。『White Album』収録の『Revolution 1』とこれはバージョン違いで、こっちはシングル向けにテンポが早くなり、そのついでに全編に攻撃的なファズギターとニッキー・ホプキンスのピアノが添えられた。こちらの方がよりロックンロールっぽい。ジョンの元々歪んでいるような声もこのサウンドと合わさって非常に攻撃的。しかしこの時期のジョンのロック曲はどれも非常に攻撃的で良い。
9. Get Back
9と10は『Get Back Session』の際に書かれた曲。こっちがA面。ポール作曲の軽
快なロックンロール。元の素材は同じだが、アルバム収録のものとは別にシングル用にジョージ・マーティンがプロデュースしたのがこのバージョン。前曲が激し過ぎるサウンドのため、この曲が流れ始めるとその音のしょぼさになんか拍子抜けする。このバージョンはいったん歌が終わったあとにもう一回ポールのアドリブから曲が再開、そしてフェードアウトする。こういう展開はもはやビートルズのお約束になっていた。これをポールはどこまで自覚していたのだろうか。
10. Don't Let Me Down
こちらはB面曲。ジョン作のスローなロックだが、『White Album』期の重さ・攻撃性は影を潜め、まろやかでダルになったサウンドの上をジョンが歌い、叫ぶ。独特の拍子回しからサビで一気に突き抜けていく曲調が特徴的。歌の内容はもちろんヨーコに向けたものである。ビリー・プレストンのエレピとトーンを抑えたギターのフレーズがこの曲のサウンド面の要。ジョンのボーカルは倦怠感とそこからの突抜をルーズに行き来する。アップル屋上ライブで演奏された曲。
11. Ballad of John and Yoko
11と12は『Abbey Road』セッションの前に突発的に発売されたシングル。こっち
がA面。僅か数時間でレコーディングされたこの曲はジョンとポールしか演奏に参加していない。はっきり言って特にこれといった特徴のない曲で、歌詞の占める割合の大きい曲。こういうタイプの曲がジョンのソロ作品の評価を妨げている。遂に曲名にまで登場したオノヨーコ。他のメンバーの誰がこんな曲を望んでいただろうか。当時のバンドのどうしようもない状況を背景に、ジョンとヨーコの二人の新婚生活がボサノバのような緩い曲の上で展開される。
12. Old Brown Shoe
こちらはB面。ジョージ曲。この曲は特にその後のジョージソロ的な色彩が強い。正当なロックンロールともポップとも、またはソウルなんかとも異なった独特のリズム運びやコード感がジョージ臭を強烈に放っている。やはり輪郭の曖昧なメロディが軽やかにドライブしていく。特にこれといった高揚も無くするりと展開していくのがジョージのクールさ。後にジョージが選曲したビートルズのベスト盤にこの曲が入っているが、ビートルズとしては全く異色なこの曲を入れちゃうジョージがなんか可愛い。
13. Across the Universe
これはシングルではなく、チャリティのオムニバスに収録された曲。ジョンのビートルズ後期におけるメロウサイドの名曲。『Let It Be』バージョンはフィルたんによって色々手が加えられていたが、こちらもこちらで、ファンの女の子によるコーラスやタンブーラの音色、そしてトリの羽ばたく音などが重ねられている。このアレンジがいいかと言われると、まあ別に悪くはないけどこれといって賞賛すべきものでもないというのが正直な感想。私は『Let It Be』のバージョンの方が好き。一番いいのはアンソロジーのやつだと思う。
14. Let It Be
12と15は『Let It Be』期のシングル。ビートルズのイギリスにおける最後のシン
グル。やはり『Get Back』と同じように、シングル向けにジョージ・マーティンがプロデュースしたバージョンがこれ。サビの伴奏が、アルバム版に比べて薄めでコーラス主体になっていて、また繰り返しも一回少ない。そしてギターソロが違う。個人的には音自体に荒い感情が入り込んでいるアルバムバージョンに軍配が上がる。サビのコーラスはなかなか良いのだが。こっちの方がゴスペル色が強いとも言える。
15. You Know My Name (Look Up the Number)
最後のシングルなのに、A面は感動的な名曲なのに、その裏にこんなふざけた曲を持ってくるなんて。誰がこうしたのかは知らないが(どうせポールだろうけど)、見事な選曲だと思う。ふざけておどけてバカしまくったナンバー。トラックはマジカルミステリーツアーのレコーディング時に作られ、歌入れは69年、M11あたりの時期に撮られた。ころころとコミカルに展開しまくる中に、こっそりブライアン・ジョーンズの演奏が入ってたりする。ボーカルの応酬はもう悪ふざけの極地としか言いようが無く、メンバーの仲が悪い時期に撮られたものとは思えない程楽しそうな雰囲気が伝わってくる。


ビートルズのアルバム未収録シングルを集めたシリーズの第二弾。こちらは中期以降のものだが、『Sgt.pepper's~』期のシングルは『Magical Mystery Tour』に収録されているのでその部分が丸々飛ばされている。

はっきり言って後期ビートルズのシングルのクオリティは20世紀中でもかなり飛び抜けたものがあり、その多くは執拗なレコーディング努力の上に存在している。初期とは作り込みの度合いが全く異なる。私は「ここまでやるか!?」って感じの後期が好き。

ビートルズの最高のシングルは『Paperback Writer』か『Strawberry Fields~』か、それとも『Hey Jude』か。このアルバムはそのうちの二つが収録されている。『Rain』を聴かずにビートルズファンを名乗るべからず。

『Get Back』以降、サウンドが次第に洗練されていく中で、同時に勢いみたいなものも失われていってしまうのが、バンドの終焉を物語っている。そう言う意味でも必聴の編集盤である。ともかくクオリティ高過ぎ!

リンゴに萌えろ!

ポール「MTVなんてまるで僕らが作ったようなものさ」



あと二曲でやっと終わる……。
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コメント

  1. かえ | URL | -

    >必聴の編集盤である。ともかくクオリティ高過ぎ!

    私おいしいとこどりでbeatles聴いてたのか。ラッキー。
    次に聴くならば何が良いと思う?

  2. よしとも | URL | -

    普通に今日的な出来の名盤リボルバー
    アングラ色・手作り色の強いホワイト
    『Past.2』未収録のシングル曲が聴けるマジカルミステリー
    好きなものをどうぞ。ってか全部借りて聴けばいいのに。

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