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『僕の小規模な生活』2巻

2008年11月16日 06:29

僕の小規模な生活 2 (2) (モーニングKCDX)僕の小規模な生活 2 (2) (モーニングKCDX)
(2008/10)
福満 しげゆき

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いつの間にか出てたんですね。という訳で購入。
そういえば、『うちの妻ってどうでしょう』はまだ買ってないや。
立ち読みできたから読んだけどやっぱり面白い。
っていうか四コマになってないのかよ。


一巻でモーニングの連載が安定し出した話ぐらいから引き続き、安定しているような不安げなようなそんな生活がだらだらと、半ば垂れ流すかのように綴られています。パーティに呼ばれて、いい具合にチヤホヤされて、ああ、成功したんだなあ、って。そんな中でスルーされるスヌーザーの連載ワロス。時期が違うだけかもしれないけど。結局なんだったんだろうあの連載?

色々接待を受けたりして、iPodもPS3も手に入れて、人生の充実期に入ったようである作者自身のエッセイ漫画が、それでも十分に面白いのは、根本的な作者や妻のキャラがそんなに変わってなくて、むしろ状況の変化に巧く合わさって変な感じに転がっているからだと思います。自分のちょっとした思惑をすぐ「策略」として半ばもてはやしては、その後それに酷く後悔するのを繰り返す作者、そしてやっぱり可愛くて短気な妻。書き方が巧いのも有るが、安定してきた日常のちょっとした出来事も非常に面白く感じます。


世間に日記を書いている人は山ほどいて、それこそその中には福満しげゆき氏みたいに劣等感に満ちあふれた書き手もたくさんいると思います(恥ずかしながら私だってその中に加わりたいのです!)。彼らの日常にもきっと描写次第では色々と面白くなることがあるとは思うんです。基本的に彼らは自分視点からの、自分と状況の間の不条理気味に感じられる不一致感を持っている訳で、そういうのが有るから彼らは状況に飲み込まれまい、あくまで状況を描写することで「別の位置」に立とうとしているのです。

福満氏とそういった人たちを決定的に分けるのが、その描写能力なのです。なんと言っても、福満氏は漫画家なのです。世のひねくれた日記書きのどれほどの人が、「この状況、文章だけよりも絵にして表した方が面白いよな。ってか表してえ。」って思っていることか。福満氏はその「絵による表現」を、妙に緩くしかしサブカル過ぎない具合にデフォルメすることに長けているのです。

また、福満氏は「ガロ的精神」も持ち合わせているのですが、それが行き過ぎていないというか、いい具合にヌルいのも、エッセイ漫画を書くのに向いているのです。世の中のサブカルマンガには、半ば落書きのように描線のズレまくった過激さと勢いに満ちた(下手すればそれだけの)漫画を讃える向きも有れば、ひたすら駄目な生活を描写して読者に非常な不条理さと不快感を与える(そして読者は「こんな不条理こそが社会の現実なんだ!辛い現実から目を背けない自分って賢者!」って思ったり)漫画も有り、また岡崎京子をはじめとするような「明日なき青春の日々の美しさと破綻」を書き続ける作家もいます。こういった「鋭さ」「アウトローさ」「惨めさ」が溢れるサブカル漫画界において、福満氏は圧倒的に「ヌル」くて、それゆえに「ポップ」なのです。実は結構過激な話が多い初期の短編等でも、やっぱり線は緩いし主人公たちの駄目さはどこか可愛らしく書いてあるし。多分この辺のバランス感覚は天然だろうし、それゆえに彼は劣等感人間たちからの「ゆるーい共感」を得ることが出来るのです。

というか、漫画界に限らず、サブカルにはトゥーマッチな表現が多すぎる。極端であることがサブカルだというのなら、私はそんなサブカル要らないです。世間のメジャーとマイナーの間でバランスとって、「私ってカシコイでしょ?社会派でかつ詩的でしょ?」ってするのこそ「いい」(またはずるい)サブカルだと私は信じているのです。そういう意味でいえば、福満氏の立ち位置は、その自虐的・卑屈的視点も含めて、絶妙で「圧倒的にズルい」立場にあると思います。

というか、最早サブカルでもないかな。

私がいいたいのは、極端なサブカルが極端すぎて徹底し過ぎて省いてしまうような、小さな感情の揺れや日常の出来事の中にもユニークでどうしようもないことはたくさん有るという。これからも福満氏がそういうものを書き続けるのなら、私もずっと支持しようと思います。


ちなみに、彼と同じ類の「ヌルさ」でバランスをとれる作家としては、一番代表的なところでは『かってに改蔵』以降の久米田康治が挙げられると思うのです。
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