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向井シュートクの孤独――Zazen Boys4――

2008年09月17日 01:15

これは……来た!
ZAZEN BOYS4ZAZEN BOYS4
(2008/09/17)
ZAZEN BOYS

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打ち込み全開の曲が三曲と、残りがバンドサウンド曲。だけど、後者の中でも多くは前作の空中分解寸前ビートではなく、ファンクネスに満ちたかっちりビートである。

1.Ashobi
いきなり打ち込み全開。この打ち込みが幸福的な方向でも技巧的な方向でもなく、あくまで孤独を描く方向で作用しているところが今作の色を強く表している。冒頭、また出てくる「繰り返される諸行は無情 それでもやっぱりよみがえる性的本能」だが、今回ほどこの言葉が重く意味をなすことはこれまで無かった。向井の素っ頓狂なファルセットやシャウトが打ち込みの熱くも冷たくも無い、ひたすら無情な音の中に消えていく様は寂しい。
2.Honnouji
バンドサウンドの曲だが、これもまた非情なグルーヴミュージックである。変拍子ではあるが、それが案外スムーズで、疾走感すら感じさせる。向井本人が「この曲の歌詞を内省と考える奴は流石に病院に行った方がいい」とまで言っちゃうほど、どこまでが冗談なのかよく分からない歌詞とは裏腹に、ひたすら同じモーションで楔を打ち込むようなサウンドはかなりかっこいい。今作ではけっこう以前のザゼンに近い方か。
3.Weekend
Zazenがプリンスをカバーしたらこういう感じになるのか、というソウルな曲。ねっとりとしたビートにファルセット全開な向井の歌と、プリンスの曲で時折現れる変な効果音をギターで再現するようなカシオギターが乗る。プリンスのエロさの過剰分は丁寧に除去されており、そこにここにきて完成を見せたような、音の隙間としての「諸行無常」を注入したような、そんな感じ。ギターが鳴りまくっていても拭えぬ空虚感。
4.Idiot Funk
冒頭のドラムの音がとてもデイヴ・フリッドマンな感じ。詰まったようなリズムだが、シンセっぽいベース音やシンセの音、そして向井のやはりファルセットな「歌」から、この曲もやはりソウルミュージックである。単調な繰り返しのなかの残響感がとても無情で良い。
5.Memories
ギターのイントロにZazen初期の香りがするが、その後のコーラスはやはりファンク的。そしてはっきりと「歌」している向井のボーカルが堪らなく懐かしい。歌の内容も妙にセンチメンタルで悲しげ。感触的にはまさにようやくナンバガ『NUM-HEAVYMETALLIC』の『次』な感じがする(初期ザゼンにはナムヘビと情緒的な面で繋がりが薄いように感じるのです)。
6.Fureai
これは初期ザゼンっぽいサウンドがファンク全開になった感じ。向井が叫びまくりギターも効果音的なリフを繰り返すが、ビートは堪らなくダンスミュージック的。ドラムの残響感がやはり気持ちよい。
7.Taratine
これは……無くても良かったかも。向井の掛け声と演奏とブレイクを繰り返し、間に演奏無しでラップ(詩の朗読)が挿入されるというもの。混乱と虚無感が入り混じった詩は良いが。
8.The Drifting/ I Don't Wanna Be With You
イントロの大変ハウス的で、メロウで、浮遊感漂う『The Drifting』部分。向井のボーカルがまたしっかり「歌」しているのが、この後との落差を作っていて良い。
『I Don't Wanna~』はかなりシングルとは別物。かなりガッツリハウスしている。シンセはどことなくニューオーダーチックな香り。そこにメロウなメロディと電子ボイスが反復する。向井の歌にもディレイが施され、原曲が元々持っていた「闇」がハウス風にアレンジされている。そしてアンビエントになる終盤、非情にハウス的なリピート感なのに、そこに響き続けるのはタイトルコールの電子ボイス。ベースが入ってからは強烈にファンクモードになり、反復を重ねて静かにせり上がっていく。そしてエンディングのシンセが入るところはこれ、やっぱりニューオーダーだろ。
アルバム収録でかなり印象が変わった。向井版『ワールズエンド・スーパーノヴァ』と言ってもいいくらいに世界観が広がっている。
9.Sabaku
イントロのメロウさはレイハラカミ的ですらある。そこから向井の、ザゼンの中でも最もセンチメンタルな「歌」が始まる。カモメの集団に都市のどうしようもなさを見、自分の存在を「砂漠のどっか真ん中にいるかんじ」として、そして遂に「割と……さびしい」と呟くに至る。向井が初めて大人っぽいメロウさを真正面から描いている。トラックの透き通った美しさや、そこに挿入される生ドラムなどが生み出す切なさは、開き直ったように空虚を歌う本作一曲目と対になっているように思われる。まさかこういうタイプの曲をザゼンが作るとは……。


名作です。確かに、バンド要素をもっと省いてもっと向井個人的な作品にしても良かったかもしれないが、これはこれで良い。
その「これはこれで良い」と言われるためなのか、バンド曲に関しても、今回はよく纏まった良曲・良アレンジとなっている。前作のようなやりたい放題感は無く、演奏陣が割と一つの終着点に向かってやっている感じがする。
そして打ち込み曲はもうこれ素晴らしい。これまでは都会の空虚感を表すのに鋭角サウンドを使っていたが、それを一転多少チープなシンセサウンドに置き換えることで、ここまで世界観がくっきりと浮かび上がるとは。確かに向井個人のパーソナリティがかなり大きな部分を占めていて、バンドとしてはどうなのか知らないが、『NUM-HEAVYMETALLIC』で探求していた都市の空虚を暴く精神が、ここで遂に本人が「さびしい」と言い出すまでに露出したことは確かだ。
そう、このアルバムがこれまでのザゼンと決定的に違うのは、非情に感情的で感覚的なことである。センチメンタルな感情を排して演奏技巧を極めんとしていたかつてのザゼンを通り越して、翻弄されながらも都市と格闘を続けたナンバガの精神性がここにはある。


あと、『MUSICA』に「46人のアーティストが『Zazen Boys 4』をレビューする」企画が載っているが、このメンツが凄い。アヒトやひさ子(ひさ子ザゼン聴いたの初めてって言ってたウソだろ確執か!?)、岸田や林檎(長えよ)やナカコーや吉村やブンブンサテライツ、そして盟友であるパニックスマイルの吉田代表などなど、ともかく錚々たるメンツ。あと木下(笑)とか。
読み応えがあって面白いです。おすすめ。『MUSICA』の、アーティストを批評に関わらせようとする姿勢は好きです。
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