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『The Beatles(White Album)』The Beatles(2)

2008年07月30日 00:51

The Beatles (The White Album)The Beatles (The White Album)
(1990/10/25)
The Beatles

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Disk2
1.Birthday
なんだっけー確かビールのCMになってたはず、そんなキャッチーなリフに導かれたロックンロール。しかしリフ一辺倒かと思えばそうではなく、結構コロコロと展開が変わるワンコードで押し込むジョンのパートからコーラスも賑やかな『Magical Mystery Tour』的ポップなポールパートをはさんでまたリフに戻る。メンバー全員にきちんと見せ場があり、そういう意味ではあまりこのアルバムっぽくはないかも。良くも悪くも、よく纏まり過ぎているかも。
2.Yer Blues
前曲と同じようなコード展開のはずなのに、急に凶暴で鈍重な雰囲気に変わる。ロックンロールの両極端を見せ付ける曲順にまずは乾杯。いくらか迷いながらも、今作におけるジョンの曲の中でも最高レベル。当時流行のブリティッシュブルースをパロったとされるが、その攻撃性はパロディ元を優に凌駕する。切れ切れに剃刀のように引っ掻き回すギターと、それよりさらに剃刀度の高いジョンの攻撃性全開のボーカル、重心の低いベース、それらが止まったり刺さったりする空間で鳴り続けるオープンハイハット。ビートルズ全曲の中でも最も重たい部類に入るであろう。ブレイクが来るたびにジョンの激しさが鼓膜を揺らす。途中のリズムチェンジからのグダグダ具合もまた、グダグダなのに恐ろしく混沌としていて皮肉っぽい。そして元のリズムに戻りフェードアウトだが、その間もジョンはオフマイクで歌い続ける。
このように、ジョンのキャリア中でも最も攻撃的ではないかと思えるこの曲。ジョン自身もお気に入りらしく、ストーンズのロックンロールサーカスにて、クラプトンなどを従えた新バンドで演奏している。そちらも強烈。
3.Mother Nature's Son
前曲の激しさが嘘のような穏やかさ・優しさ。ポールのこういう方向の曲の中でも、牧羊チックな感じと宗教的サイケ感とトラディッショナルフォークさが見事なバランスで融合したこの曲は本当に、本当に最高の部類に入る。アコギのアルペジオがやりすぎてない感じで切なく、バックのホルンが効果的に使われ、ボーカルにもリバーブがいい具合にかかり、童話の世界のような、不思議な浮遊感を演出している。メロディもポップ過ぎず、しかししっかりと優しさと軽やかさを保っている。メロディやアレンジの全体的に浮遊感漂う雰囲気が、どことなくジョージチックな感じもする。少し引っ込んだところでハミングするポールの歌が、少ない楽器と空間で作られるイメージの中を漂う。風景のイメージやら香りやらが感じられる名曲。
4.Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey
多分ビートルズ中最も長いタイトルだろう。元気よく疾走するジョン作のシンプルなロックンロール。終始テンションの高いジョンのボーカルや、所々に入る合いの手シャウト、やかましいギターやらドラムやらからは、バンドとしてまだ全然問題なくかっこいいビートルズが感じられる。アウトロに向かう展開にきちんと一仕掛け作るところは流石ビートルズ。そのシンプルで荒々しい暴れ具合から、元祖パンクの一曲として挙げられることもある(個人的には「そうか?」と思わないこともない)。
5.Sexy Sadie
前曲とは打って変わって、気高さを強く感じるジョンのバラッド。その気品溢れるコード進行は後にRadioheadが『Karma Police』でパクリもとい強くオマージュしている。リリカルで憂いとポップさを程よく含んだピアノが素晴らしい。ジョンのボーカルも優しさと攻撃力を併せ持ち、そしてこのアルバムには数少ない他メンバーのコーラスが上手く曲に調和する。しかし、途切れることなく歌を紡いでいくジョンがあまりにかっこ良過ぎる。ギターソロも美しく、リズム隊も無駄なく非常に効果的な活躍で曲自体の持つ魅力を最大限に補強する。このアルバムの曲の中でも、最もアレンジが上手く行っている曲だと思われる。全体を通して孤高な雰囲気をかもし出していて、切ないような、力強いような、そんな気持ちになる。
6.Helter Skelter
突如別のCDみたいな曲が始まる。初期メタルがブルースからの特異な派生であることはそれなりに知られているが、まさにその走りであるこの曲。優しさに溢れた曲を量産しつつ、こんなおバカで過剰なブルースを逸脱したロックを作ってしまうこの時期のポールはまさに絶頂。メタル的なルート引きベースから、とてもビートルズとは思えないメタルなギターまでポール製である。かなりもっさりと重たいリンゴのドラムが実にそれっぽい。最後のリンゴの叫びは更にそれっぽい。そしてこんな曲を20分も演奏(実際は編集で4分に抑えられているが)してしまうテンションの高さ・おバカさ・素晴らしさに感動とは別の賞賛の気持ちが止まらない。
ところで、この曲のタイトルは「ポール家の近所の滑り台の名前」らしいが、このタイトルは後に不吉でおぞましい何かを示す言葉として使われるようになる。チャールズマンソンがこのタイトルを「最終戦争」と訳したのは有名。岡崎京子の攻撃性の極限としての作品『へルター・スケルター』はもっと有名、多分……。HiGEも『Goo』でこのタイトルを引用していた。確かになんか雰囲気のある単語ではあります。
7.Long, Long, Long
このアルバム、激しい曲の次は必ず静かな曲が来るよな……。この曲はジョージによる、宗教的な気高さに溢れたミニバラード。ジョージのこういう曖昧な雰囲気の曲といえばそう、オルガンがやはり重要な位置を占める。アコギと絡み変な浮遊感を作り出す。そして、ところどころで意外と動き回るドラムも印象的。優しくも憂い漂うジョージのボーカルは弱弱しく、今にも楽曲の彼方に吹き飛んでしまいそう。終盤の天に吸い込まれるような展開は、まあ宗教。Radioheadの(またか!?)『Motion Picture Soundtrack』の最後の天に召される音はやはりこれを参考にしたのだろうか。
8.Revolution 1
多分世間的にはこれよりもテンポの速い『Revolution』のほうが有名。ただ、このゆったり加減や、ホーンが入っていることや、ドゥーワップ調コーラスや、イントロのトチリなど、全編和やかなムードに溢れているこのバージョンも悪くない。後半の喘ぐようなコーラスもなんだか奇妙。どことなく『All You Need Is Love』と同じようなピースフルさが漂っているが、でも歌詞はタイトル通り革命についての皮肉だしなあ。
9.Honey Pie
どう考えても第二次大戦前って感じの雰囲気全開の、おしゃれジャズ風ポップソング。ポールのおしゃれ趣味が全開な良曲。いかにもな感じすぎる演奏がなんか面白い。メロディも見事に昔なつかしな雰囲気をかもし出しまくり、大人の余裕を見せつけまくるポールの歌も楽しい。ある意味これもバカ曲だよなあ「そこまでやるか!?」って意味で。60年代的にはこれはレトロスペクティブにあたるのだろうか。そう考えるとポピュラー音楽の歴史にちょっと興味深い気持ちになる。
10.Savoy Truffle
このアルバム中ならジョージの一番いい曲はこれか。『Taxman』以来の、タイトなリズムの上で非サイケな演奏をするタイプの曲。歌にしてもリズムにしてもとてもファンキー。ポール的暑苦しいファンキーさではなく、やたらと洗練されながらもユーモアたっぷりって感じのファンキーさ。ジョージのボーカルも嫌味ったらしく捻くれたり掠れたりしてもう大変かっこいい。豊穣なブラスにしっかりと対抗できる、細く尖ったギターを弾いており、それに呼応してか関係ないのかやはり水を得た魚のように動き回るポールのベースも非常にポイント高し。歌詞で甘党のクラプトンをからかってたり、ジョージがその持てるだけの大人っぽいユーモアとジョークと嫌味っぽさを濃縮した、非常に濃い一曲だと思う。賑やかさがやはり『Sgt.~』的な気がしたり。
11.Cry Baby Cry
ジョンの弾き語りっぽいものをベースとした、『Sexy Sedie』に次いでこのアルバム中で誇り高いメロディを奏でる曲。やはり切れ目なく歌い続けるジョンの歌が中心となり、力強く演奏が続いていく。やはり全パートが曲を際立たせるためにそれぞれ上手く機能している。
アウトロにはポール製の、謎の弾き語りが付属する。何なんだろうこれ。これと最後の会話のせいで書きたてられた不安が、次の曲で全開になること請け合い。
12.Revolution 9
ジョンとヨーコによる、愛と混沌の間に写る世界、60年代末という革命とそれによる混乱に満ちた世界を表現したサウンドコラージュ8分超え。まあ長すぎ。「ナンバーナイィン……」と呟く声、挿入される革命の群集のざわめき、いたずらと悪意に満ちたさまざまな音楽の挿入。ただ、意外と激しいところと静かなところがはっきりとしていて(いい具合に支離滅裂的な感じ)、実はこういう音楽としては聴きやすいのではないかしら。
ところで、下のこの曲の動画は素晴らしい。見事に恐怖・不安を煽る。作った人はすごくいいセンスを持ってる。
13.Good Night
あの混沌を潜り抜けたら、最後は「ディズニー映画のエンディングみたいな」優しいストリングスに導かれた子守唄風のジョン曲。もっさりしたリンゴの声が思いのほか曲の雰囲気に合っていて面白い。ストリングスなどのサウンドは本当にディズニーみたいな派手でドリーミーで優しげなもの。長い映画を見終わったような感じ……というよりは前曲のせいで、まるで「恐怖映画を見終わったら突如ディズニーなエンディングが……?」っていう感じ。なんだろう狙ってんのかなあそれとも暗にケンカ売ってんのかなあアレに。ともかく二枚組みの長旅の終わりはこんないかにもエンディング然とした曲なわけです。クセえぜとってつけたような感じがプンプンするぜェェェッ!狙ってやってるんなら嫌な奴等だなあビートルズってのは。


恐怖の二枚組み。真っ白な二枚組み。とりあえず疲れた。

まず、サイケデリックにはまってスランプだったジョンが、ここでは見事に復活しています。キャリア中でもかなり重たい曲を連発したかと思うと、やたら気品高いメロディを紡いだり。私はジョンの最盛期はこのアルバムだと思っています。最後の盛期……。あとヨーコが邪魔なときも。でもこの好調はヨーコのおかげらしいし……。
ポール、ポールもポールらしい優しさと軽さで出来たポップソングに関しては相当に充実していて、これも彼のキャリア中でもとりわけ輝いている風に思える。小品だけ集めてアルバム作れちゃう。ただ、ロックンロールな曲は当たり外れが大きい。あと『Wild Honey Pie』は要らない。
ジョージ、なんかほとんど完成していた『Not Guilty』(ジョージらしい憂鬱なメロディが聞ける、ちょっとハネたリズムのおしゃれで小粋な曲)が収録されなかったのは本当に可愛そう。絶賛冷遇中といったところか。
リンゴ、よく考えたら本体叩くべきところをポールに取られた曲って二曲だけか。自作曲はまあ、次のやつがいい曲だしね。そういうこともある。

アルバム全体を通して、一般的には「様々な曲を詰め込んだせいで統一感はないが」と解説されるが、どうも私にはそうは思えない。また、確かにサイケからロックンロールに回帰した作品ではあるけど、そのロックに初期ビートルズの影はほとんど見当たらない。そして、あの白いジャケットのせいなのか全体的に、サイケ期のカラフルとは真逆なモノトーンさ、暗さ、寂しさといったものが、主に音から想起される。大体このアルバム、ハードな曲とアコースティックな曲が多い。それらが交互に並ぶように曲順は定めてあり、そのためテンションのアップダウンは激しく、聞く人は変な不安に苛まれてしまう。次の『Abbey Road』(『Let It Be』はまあ失敗作だし)がまたカラフルなサウンドに回帰するのに比べると、このアルバムのモノトーンさはかなり冷ややかで寂しい。
それがこのアルバムの特徴なのだ。つまり、曲調やアレンジの冷ややかさ・クールさに関して、アプローチは違うが『Revolver』と同種のものがあり、そこが現代においてこのアルバムが人気がある所以だと思う。また、シンプルになったアレンジは楽曲を生々しいものとし、インディチックなプロダクションによる作品作りのヒントがこのアルバムにたくさん詰め込まれている。

このアルバムでメンバーは仲違い、解散へGOGO!する訳ですが、その前にこれだけ立派に「好き勝手」やっているアルバムを残すことが出来て良かったと思うし、凄いと思う。まあカスな曲はカスだけど。二枚組みだし仕方ない。でも一枚に纏めるともったいない気もするし。



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