--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『Magical Mystery Tour』The Beatles

2008年07月15日 17:46

Magical Mystery TourMagical Mystery Tour
(1990/10/25)
The Beatles

商品詳細を見る

1.Magical Mystery Tour
世代によってはポンキッキーでお馴染の、同名の映画のテーマソング。突き抜けていくような軽快陽気なポップさが持ち味。メインボーカルにはかなりエフェクトが掛かっていて、楽しげなピアノやホーンと相まって、おもちゃ箱サイケを地で行ってる感じ。単純な繰り返しでここまで飽きさせないのは流石です。チープトリックのやつはなんかダサいのに(なんかあの時代独特のリバーブ感ってあるよね)。
2.The Fool On The Hill
リコーダーが印象的なゆったりとした曲。ピアノ中心で、ハーモニカやらマラカスやらも入っていて、ドラムがハイハット以外入って無くて、完全に普通のロックンロールから離れまくっている感じが良い。ポールの歌も熱がこもり過ぎていなくて優しい。そしてメロディ自体の素朴さと、ちょっと薄めで寂しげな伴奏が良くマッチしている。
3.Flying
おそらくビートルズの公式音源中では(『Revolution 9』を除いて)唯一のインストナンバー。なぜかメンバー四人ともが作曲クレジットに載っている。これは……どうなんだろな。まあサイケで不思議な感じだけど。良く聞くと曲自体はロックンロール的トライアドなコード進行だったりする。
4.Blue Jay Way
ジョージ作の、宗教的ないかがわしさがすごく漂っている曲。こっちの方が却ってインド全開なやつよりもヤバいかも。逆回転なオルガンやら、フランジャーなボーカル、ドラム。アシッドなメロディ。確かにジョンはサイケのせいで色々駄目駄目になったけど、一番サイケ的にヤバかったメンバーはジョージだよなあと、これを聴いて思うのです。微妙に聞こえてくるチェロも不気味。そしてこういう曲でもドラムがトコトコと入っていくのが、意外とサイケさにマッチしていて不思議。まあ確かに暗すぎて、『sgt,Pepper~』のカラーには合わないか。
5.Your Mother Should Know
ポールが狙ってちょっと古めのマイナー調ポップスを書いてみた曲。出だしのコーラスの憂い具合がいかにもって感じでクスッとくる。昔の社交場か何かで掛かっていそうな。そしてそこでメンバーの親の世代の奴等が手をとり躍っているイメージ、だそうな。サウンドはシンプルだが、それでもピアノとオルガンなので、全然ロックバンドではない。
6.I Am The Walrus
ジョンのサイケデリック的大曲構築への挑戦の、一つのピーク、というか、行き詰まり。そのメロディ・サウンド・歌詞に至る全編に行きわたったナンセンスさは、非常に薄暗く退廃的な倦怠感に満ちている。ジョンのボーカルもフィルターがかった感じで聞こえる。圧巻なのは突然変な効果音が挿入されてから曲全体が浮かび上がってミドルエイトへ向かう展開。ボーカルの効果はきつくなり、ストリングスがより前面に出てきて(しかしなんて退廃的なストリングスだろう)、そしてエンディングで次第に壊れていく。無意味な効果音が飛び交い、変なコーラスや、ラジオから流れる『リア王』が混沌を作り出していく。
圧倒的な混乱具合が陰惨さに繋がっている。そういう点で僕はこの曲とM8が対極的なものに感じる。
7.Hello, Goodbye
まさに「ビートルズってこんな感じ」を体現する、見事な陽性ポップソング。おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドが楽しい。実はかなり良く働くドラムが曲の骨組みそのものをがっしり作っている。本当にこういうドラムいいなあ。ベースもスケール上をコロコロと転げまわったり、メロディの上昇に逆らって下降したりする。曲自体は非常に分かりやすい展開をしていくが、そのメロディの可愛らしいこと可愛らしいこと。もうここまでのメロディが出てきたらそれだけで「勝ち」みたいな。そんな曲に更に弦楽器やらギターやらオルガンやら、そして『Help!』と双璧を成す最高のコーラスを肉付けして、更にはネバーエンディングな仕掛けを作って、この幸福感がどこまでも続いていくような、まさにポールサイケの極北と言っていい出来。前曲が暗いからな。次も暗いけど。
8.Strawberry Fields Forever
ジョンのサイケデリック的挑戦が成し遂げた偉大な成果の一つ。サイケデリック的陶酔感を純粋な感情の表現に上手に利用できた稀有な例。これはサウンド面での実験(最早バクチの域)とそもそものソングライティングの成熟が相互作用している。
アンソロジーⅡにはこの曲の他テイクが収められているが、それらを聴いて、確かにサウンドは右往左往しているが、そもそもの曲自体は、メロディ自体は初めからかなり完成している。この、頭やられてぼんやりしている感じと、どこか英雄的な旋律回し、そして迷子のようにふらふらと漂うジョンの歌が歌詞と相まって、虚無に飲み込まれる手前の純真を思わせてならない。そういう意味で、ひたすら退廃的で混沌としたM6とこれはどこか対極的な気がする。
そして、そんな最高のソングライティングをフルに生かすアレンジ、というよりも、その曲の持つ可能性を、「二つの別個のアレンジを、テープ操作によって『強引に』繋げる」という手法によって、逆説的だが、カラフルかつモノトーンに色付けしたアレンジが光る。前半のメロトロン中心の脆く崩れそうなサウンドから、途中でホーンセクション中心の力強い(にしては音の空白が大きく、やたら寂しくもあるのだが)パートに変化していく。そしてドラムがフェードアウトしていく、と思ったら帰ってくる、吹きすさぶ風のような音とともに。しかし、その全パートにおいて、そもそもの曲が持つ「孤独感」のような、うすら寒くなりそうな風景は変わらない。
サウンドの奥行きや、その歌の内容、ひたすら空虚さの漂うメロディなどから、強烈に聴く人にイメージを喚起させる曲。ジョンの境遇と併せて考えれば、その風景はあまりに寂しい。PVみたいなやつもまた、曲にいい感じに合ってる。やはりこの曲が、個人的な刹那的な好みを排除すればジョンの最高傑作か。個人的にはビートルズのベストサイケ曲は、これかジョージの『It's All Too Much』。
9.Penny Lane
街中で流れると歩く足取りが軽くなりそうな感じの、ポールのおしゃれポップ。前曲の寂しさを一蹴してしまう陽性ポップさに「ああ、ポールはやっぱりポールだなあ」と思ってしまう。ピアノとホーンがひたすらちょっと陽気でお洒落な昼下がりの街の光景みたいな感じで広がっていく。最後の転調は「立場的に、どんなポップソングにでもどうしてもヒネリを加えたい」ポールの面目躍如といったところか。
10.Baby You're A Rich Man
ジョンとポールの合作らしい、ラーガロック調(ラーガロックって何だ?)の曲。ホワイトストライプスの最新作なんかでも聴ける、いかにもケルトとかその辺って感じのビブラフォンか何かの音が印象的。こう、空中に音で線を引くような音がしますよね。曲自体はまあ、メロディとかしっかりサイケしてるんだけど、ちょっと精彩を欠くか。
11.All You Need Is Love
この時期のジョンにしては割としっかりと地に足ついた感じのするポップソング。イントロの派手なホーンから楽しげな曲のエンディングに至るまで、「昔から今までをすべて包み込むような」多幸感に溢れる。ちょっとホーンやギターがムーディー。ストリングスもゆったりとした大人っぽさがある。しかしジョン独特の雰囲気もあって、ヴァースが微妙に拍子足らずだったりする。サビやアウトロの異様な幸福感、M8で見せた「孤独感」とは全く逆の雰囲気から、あと適度に崩したメロディなどから、そして何より曲自体の放つメッセージから、どことなくソロ以降のジョンレノン作品に繋がる要素を見つけ出すこともできる。


イギリスでは二枚組EPやシングルだった曲たちを、アメリカの奴等が勝手に一緒にして出しちゃった、でも何でか気が付くとこれが公式盤化していたという、なんか不思議なアルバム。なのでそもそもからアルバム一枚としてのまとまりは無い。
アルバム前半が『Sgt.Pepper~』の余力、って感じ。まあ、程よく力が抜けて、いるのか?特にポール。
まあ普通に、後半のシングル群がこのアルバムにおいては重要な訳で。何故かは知らないが、アルバム『Sgt.Pepper~』を聴くよりも、これらのシングル曲の方がよっぽど分かりやすくサイケしているのがなんとも。っていうか、『Penny Lane』と『Strawberry Fields Forever』は『Sgt~』の先行シングルになったばかりに同アルバムから外されたと。もしこの二曲がアルバム入ってたら、絶対今の低評価は無いなあと思う。あとジョージの、『Yellow Submarine』に収録される没曲も入ってたら良かったのに。なんか、もったいないにゃあ。
という訳で、この時期のシングル曲は恐ろしく完成度が高い。間違い無くビートルズの歴史中最強。なのでこのアルバムは存在する。M6~M8の流れは、纏まりとかはともかく、その圧倒的なクオリティの前に跪いてしまう、聴いてると。
まあ、これだけの密度・クオリティの曲の放出がずっと続くわけねーよ、ってのが、次のあの真っ白な名盤の生まれる土壌となる訳ですが。……あれ、全曲レビューするのか。疲れそう。


スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://okazaki5.blog95.fc2.com/tb.php/357-ce3715d2
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。