『Love / Hate』Nine Black Alps
2008-06-07
なんとなく聴き返したらやっぱり素晴らしくて、そしてそんな素晴らしいアルバムなのにアマゾンにレビューが無いことに憤慨して、書いてみた。以下はその転載。![]() | Love/Hate (2007/11/06) Nine Black Alps 商品詳細を見る |
遂にUKには根付かなかったNIRVANA的グランジを敢えて2000年代のUKでやるという、UKロック界の「醜いアヒルの子」Nine Black Alpsの2ndアルバム。
前作で見せた重心の低いハードでエッジの利いたサウンドは幾らか健在だが、今回は「引きの美学」と「ポップさとマイナーコードの使い分け」を重視したソングライティングにより、サウンドの殺傷力は幾らか減ったかもしれないが、その分奥行きが広がったように感じる。それは、前作ではアコースティックな二曲に集中していた彼らのElliott Smith信仰が、ハードな楽曲の中にも良く行きわたったことを表す。アコギなども使って、憂鬱さ・気だるさも増し、彼らなりのローファイ・ノイズポップを上手く表現している。
しかし、相変わらずしっかりと良い曲を書いて来るバンドだ。アレンジでお茶を濁すのではなく、しっかりと歌を聴かせられる曲作りをしているのが頼もしい。一曲目の時点で、彼らの以前のハードなサウンドが好きだった人々は面食らうかもしれないが、USインディ好きな人ならば、このガリガリしながらもポップな感じは気に入るだろう。
ハイライトは最後の『Under The Sun』。Elliott Smith的な憂鬱な静寂から、次第に奥行きが深まっていき、ついには絶望的な浮遊感の中に落とし込まれるこの楽曲は、このアルバムにRadioheadの『The Bends』を求めた人々の期待にも幾らか応え得る、出色の出来だと思う。
残念なのは、このアルバムが本国イギリスであまり評価されておらず、日本でもそれほど知名度が無いことだ。UKロックにおいてここまでしっかりと曲を書いているバンドはそうはいないのに、残念な限りである。バンドが挫けずに続くことを祈る。
あとアルバムタイトルが、日本のArt-Schoolの同名のアルバムと完全に被っているが、直接の関係性は無いにしても、二つのアルバムが提示する世界観は近しいものがある。ああいった日本のオルタナバンド好きにも、このアルバムは聴かれるべきであろう。
ここから先はレビューに書いてないこと。
まず、(ボートラを除けば)40分未満というアルバムのコンパクトさが素晴らしい。やはりこういう音楽はそのくらいの尺がちょうど良い。一曲も三分ぐらいの曲ばかりで、しかもどれもポップでエッジが立ってて良いんだな。なんでUSインディ好きの人たちが騒いでないのか分らない。かなりの出来なのに。
で、結局そのソングライティングの性質が、今作ではかなりART-SCHOOL木下と被っちゃった感じはする。このアルバムの幾らかの曲は、ボーカルをこっそり入れ替えて「アートの新曲です」って言ってもあんまり違和感が湧かない感じはする。まあ、そういうのが私は好きなので、このアルバムは最高なんですが。
もしアジカン後藤がAshじゃなくてこっちを自分のフェスに呼んでくれたらもう無条件でアジカンの信者になったのに。まあAshいいけど。
あと、初期オアシスっぽいメロディの曲もあったりして、ソングライティングのレベルで色々なタイプのメロディが揃ってるから、聴いててお得感があるし。もっと売れればいいのに。








