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『Beatles For Sale』

2008年05月16日 02:45

Beatles for SaleBeatles for Sale
(1990/10/25)
The Beatles

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1.No Reply
いきなり入るジョンの歌からもうなんかおしとやかな感じが漂う。サビで爆発するも、後ろで鳴るギターはあくまでアコースティック。基本Aメロ,Bメロを繰り返す、ストーンズの『Paint It Black』とかニルヴァーナとかと同じような極力シンプルな曲構成は、何かむしろ好感を覚えてしまう。秋から冬の枯れ具合としっとりさをもったアコギが良い。全体的に抑揚の聴いたいい曲である。「穏やか」からギアチェンジして「激しく」なる曲展開はいつの時代だってかっこいい。
2.I'm A Loser
前曲の寂しい感じを受け継ぎ、エレキよりもアコギを重視したようなギターの音が侘しい。ベースが結構うねうねしているのが良く聴くと面白い。ハーモニカが登場するが、それは最初期の明るいメロディではなく、所謂ディランなんかにも通じる「枯れた」フレーズを聴かせてくれる。カントリーっぽいよね。
3.Baby's In Black
ジョンとポールのハモリでずっと進行していく三連ナンバー。やはり前作までの力強い勢いみたいなのはごっそり無くなって、それがいい具合に曲の侘しさを持ちあげている。まあ、曲の存在を聴き返すまで忘れていたんだけど。
4.Rock And Roll Music
ソコノケ、ソコノケ、ロックンローラージョン様のお通りだぞ~!しかも曲はチャック・ベリー。まさにロックンロールとしか言いようの無い一曲。荒々しいボーカル、軽快なピアノ、ロックンロール的様式美に溢れている。ただ、コーラスは入っていないのが少し寂しい。あと、この曲がアルバム中で飛びぬけて元気がいいため、浮いているとは言わないが、なんだか空元気みたいに聞こえてしまう。
5.I'll Follow The Sun
ポールの牧羊チックアコースティックソングのハシリ。モロカントリーな感じのギターの上にポールの「頑張っていない」感じの、優しいメロディが乗る。それだけ。他にはジョンのコーラスとかすかに聞こえるパーカッションくらいしかない。それでけで、いやもう何とも印象深い。僅か2分足らずのこの何てことの無い曲がアルバム中最高の傑作なんて。無理なくすらっと伸びたメロディが優しい。ポールはコテコテのロックンロールやバラード大好き人間だけど、個人的にはこれや『For No One』『I Will』みたいな、「素」っぽい小品にいい曲が多いと思う。それは最近のソロ作『Chaos and Creation in the Backyard』で本人が強く再認識するところとなった。
6.Mr. Moonlight
いきなりジョンの絶唱で始まるが、その後は可愛らしいこじんまりとした演奏が続く。ミュージカルっぽい感じのするタイトルだからか、メロディもいい具合にそれっぽい。リンゴはこれ、ボンゴでも叩いているのか?オルガンの籠った感じの音といい、なんか内的な広がりを感じさせる出来。その中をジョンやコーラスの声が優雅に舞う。穏やかな演奏とジョンの暴力的な声のミスマッチさを楽しめるかどうかが評価の分かれ目。
7.Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!
はいはいロックンロールロックンロール。ポールのこういうソウルフルなボーカルは結構評価が高いが、M5的なポール原理主義の私からするとかなりどうでもいい。まあ曲もいかにもなロックンロールだから、「さすがビートルズ!」的な面白みには欠ける。ジョンのコーラスがやる気なさげでかっこいいのと比べると、本当にポールのこういう頑張ってる系のボーカルはなんだか可哀想になってくる。
8.Eight Days A Week
なぜかフェードインから始まるポップナンバー。このアルバム中では(『Rock And Roll Music』を除けば)一番以前のビートルズ的なポップさと力強さを持ってるかなあ。事実アメリカではシングルカットされたわけだし。ハンドクラップが一番の聴きどころ。一週間が八日でもどうせ仕事の日が一日増えるだけだろ。可哀想に。
9.Words Of Love
え、こんな曲あった?って感じのする曲。でも調べたらバディ・ホリーのカバーだった。あれ、じゃあ曲自体は聴いたことがあるのか?まあ地味。地味ながらも、抑制しまくったジョンのボーカルと後ろでずっとパチパチいってるパーカッションっぽいものが聴きどころか?
10.Honey Don't
前作で一回休みを食らったリンゴたんのターン。曲が足りずに急に歌うことになったというエピソードがあるらしく、そのためが全体的にかなり投げやりな感じが流れていて、で、アコギの存在感がやたらでかいし、スッカスカである。リンゴのボーカルも綱渡りできていない感じがある。しかし、この適当さが~このアルバムの魅力なの~誰が何と言おうと。やる気なさげでダルダルで、意外と良い。 11.Every Little Thing
きっちりとしたメロディがあって、しっかりアレンジすれば良かったのかもしれないが、まあこのアルバムのカラーで、割と大ざっぱなアレンジしかされていないので、名曲にはなれず。もっとコーラスとか入れても良かったと思うんだ。なんか、曲自体は結構いい気がするだけに勿体無い曲。
12.I Don't Want To Spoil The Party
カントリーチックなジョンの曲。前作ならもっと音が分厚いところがやたらスッカスカなんで、アコースティックギターとジョンとポールのハモリ、コーラスのハモリが前面に出ていて、個人的には前作のカントリーソングよりも好き。だから何でポールの声はこういう枯れたカントリーソングにぴったりくるんだろう。
13.What You're Doing
曲が足りずに焦ってポールが書きなぐったとか。そのためコーラスが適当ぎみだったり、演奏が寂しかったり、展開がこじんまりしてたり、ギターソロがミスっぽく聞こえたりする。今の視点で聴けば、こういった適当な要素がちょっと魅力的にも聞こえたりして。執拗に登場するメインのリフのペラッペラでファニーな感じが意外といい。
14.Everybody's Trying To Be My Baby
ジョージだってロックンロールするぜ!と、ブレイク連発ないかにもロックンロールをカバーする。この時代の香りの強い、ペラッペラなギターの音がやたらキラキラしていて良い。ジョージのボーカルはこういう曲でも荒々しく「なれない」ことが欠点でもあり魅力でもある。


ビートルズの4枚目。この頃のミュージシャンって一年に2枚もアルバム出して、しかも大量にシングル出して、凄いよねえって、しかもビートルズは世界中をドサ回りしていて、そりゃあ疲れもしますよ。こんなジャケットにもなるよ。そしてそんな疲れてやる気も減退中の彼らにとって何とも皮肉なアルバムタイトル。ネガティブ要素多すぎ。

しかし、文量を見てもらえば分かるかもしれないが、実は私はこのアルバム、初期の傑作・ロックンロールの一つの完成系とまで言われる前作よりも好きなのだ。それは単純に、音の志向がアコースティックになって、曲の繊細さが増したのが気に入っただけのことなのだが。なんかツアーばっかりのせいか、ロックンロールやエレキギターに疲れた奴等はアコースティックなカントリーに逃避。しかし、もともとハーモニーに定評のある奴等が軽快な曲をやると、自然とそこにはいいメロディといいハーモニーが生まれる訳で、声以外の装飾が少ないこのアルバムではそれらが前面に押し出され、とても味わい深い。私はビートルズの力強さが好きなのではなく、ヘロヘロな感じが好きなので、そんな私にとってこのアルバムは、いい具合に気の抜けた、ある種の(オルタナ以降とは違う意味での)ローファイポップとして映るのだ。確かに出来の悪い曲や、何となくなカバーが多いので、クオリティは高くない方。でもむしろ、「クオリティが高くない」ことを楽しむのがこのアルバムではなかろうか。それか、掃き溜めの中のツルを愛でるような、そんな聴き方もありかも。サウンドの方向性は結構違うけど、そういう意味ではリバティーンズの2ndに近いかも、楽しみ方が。
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