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『Flora』

2008年04月04日 09:11

Flora(初回限定盤)(DVD付)

Flora(初回限定盤)(DVD付)

1. Beautiful Monster

大変ポップで前向きな感じでアルバムが始まるのは新鮮。ベースの「圧倒的(笑)」な音(なんか異様にでかい)を中心にしたキラキラギターポップ。サビで流れる程良いコーラスとディレイのかかったギターの渦はまさに益子サウンド!そしてこの曲は最後のサビ前のCメロが絶妙。歌詞のハマり具合とせり上がっていくような雰囲気が眩しくなりそうな高揚感を演出する。この際サビの英語の発音とかは気にしたら駄目です。「嘯く」とか言いながらもちょっとだけ前向きで現実的な歌詞が、少しばかり成長した木下を表していて清々しくもあるし寂しくもある。

2. テュペロ・ハニー(Album Mix)

先行シングル。まあこの位置か。一曲目の方がキャッチーな気がする……。前曲での高揚感の後いきなり「フォーリンダーン、フォーリンダーン」で落とすところはもしかしたらギャグなのかもしれない。最後のサビ前のブレイクが唐突だなあとか、最後あっけないなあとか思うけど、まあ悪い曲じゃない。

3. Nowhere Land

ファンク系の曲。いやらしいギターとシンセの絡みのAメロから浮かび上がるサビへ。このサビのシンセ音が澄んでいて良い。しかしサビの英語はこればっかりはいかんともしがたい。というかお歌が全体的に不安定。奇麗なアレンジにこれが乗るというアンバランスな感じが楽しめるかどうかがポイントか。サビのサウンドの陶酔感は素敵。

4. 影待ち

冷めた感じのイントロからAメロ、そして珍しいBメロを挟んで一気にサビで高揚するミドルテンポの曲。こういう曲構成すると途端にGRAPEVINEっぽくなるなあと思う。ABメロが重たいだけにサビでの上昇に伴う重力感は気持ち良い。ギターの音やフレーズが本当にバインっぽい。つまり良いのです。あの冷めて奇麗な感じ。アウトロが奇麗なままフェードアウト。

5. アダージョ

子供たちの声からイントロへ。バンジョーが後ろで鳴ってるがカントリー感は皆無w水っぽいクリーンなギターが全編で流れる。ずっと浮いているような感じの曲。たゆたう音。サビの英語は(ry

6. Close your eyes

淡々とした感じのミディアムテンポの曲。正直M4.5.6は似てる。世界観が統一されているとも言えるけど。既聴感に溢れている。益子マジックもあまりかかっていない。それでもサビの轟音は奇麗。歌詞の外の歌(おおーとかイエーとか)が多い。ギターソロっぽいものがアウトロにある。

7. LUNA

重たい感じのスローナンバー。スマパンのマシーナに入ってそうな類の。サビのメロは『Love/ Hate』の『イノセンス』から流用。でも「うわあ……」って感じは少ない。夜の海を思わせるような音世界は見事。眠くなるかもだけど。デスキャブっぽくもある。益子マジックを感じる。しかしなんでこのアルバムの木下はやたら歌が下手に聞こえるんだろう。ただそれがかえっていい意味でのダメダメ感(歌詞にもそれが出ている)に合ってて意外といい。

8. Mary Barker

ここで重い雰囲気を変える爽やかな可愛らしいナンバー。戸高作詞作曲ボーカル。ちょっとビートルズっぽいポップソング。しかし音づくりはポストロックからの流れのまま。鐘やら木琴やらの音が楽しげでいい。コーラスも可愛らしく、リズムもハネていて新鮮。まあ木下は書かないタイプの曲。こうやってアルバムを補えるのは第二期ARTの強みだなあ。

9. SWAN DIVE

木下ソロ時代の曲のリメイク。ボーカルの声がソロのころと全然違う。それにギターのフレーズも全然違う。二本のギターによるアルペジオが水中を行くような感覚を呼び起こす。初期ART以前の曲であるため、歌詞の雰囲気がこのアルバムの他の曲と違ってひたすら耽美的で美しい。後ろで鳴るシンセの音といい淡々としたドラムといい、非常に奇麗なアンサンブルは第二期ARTの一つの到達点と言ってもいい。ここからB面というか、このアルバムの美味しい部分が始まる。

10. SAD SONG

前曲から打って変って、切迫した感じの疾走感溢れる曲。アルバム中もっとも身も蓋もない歌詞で面白い。「もう少しで28になる」知るかよ!こんな曲でもクリーンなギターのまま疾走する。サビの英語は(ry最後のAメロの歌詞良い。「『苦しんだ分だけ強くなる』/ そうじゃねえ 弱くなったんだ」。

11. Piano

まさかの三拍子ワルツナンバー。前作の『Waltz』よりもよっぽどワルツしてて笑った。ピアノのシンプルなリフを中心にしたそのメロディは「え、木下こんなのも書けたの!?」という驚きに満ちている。ギターの音が本当に耽美的で良い。ふらふらとしたリズムが儚さを助長する。珍しく英語のサビが上手く歌えている気がする。裏声の使い方といい、RADIOHEAD的な魅力がある曲。というかむしろElliott Smithへのオマージュか。

12. IN THE BLUE

第二期最強曲。もう素晴らしい。『シャーロット』『プールサイド』系統の、シューゲイザーな曲群、そのひとつの極み。Aメロの抑制の利いた民族的リズムから一旦静かになり、そこから怒涛の轟音の渦に突入する様は物凄く豪快で美しい。ベースの音がえぐり込む様で良い。シンセも最大限の貢献で曲の儚さ・脆さを表現する。ギターの音は言うまでもない。冷たく、瑞々しく、美しい。サビの執拗なワンフレーズの繰り返しが轟音に埋もれていくのが非常に鳥肌ものでかっこいい。というか歌ってない歌詞があったなんて。まあいつもの「汚れたらどうのこうの」みたいな。別に無くても(ryその他の歌詞は情景描写が美しく、初期ARTに近い耽美的で退廃的な世界観。圧倒的に映像的な曲。このアルバムのツアーのDVDではさらにパワーアップして最早何のバンドなのか分らないほど素晴らしい。ニコニコから動画が消えてしまったのは痛い。もう、ドラムがエモーショナルでエモーショナルでかっこいいんです。

13. THIS IS YOUR MUSIC

久々にフィードバックなイントロから始まる、爽やか疾走シューゲイザーポップ。RIDEの『Taste』的な圧倒的なポップセンスを見せつける。アルバムの流れを切っていると一部のファンからは不評だが、むしろ前曲からそのまま『光と身体』に突入したら重すぎるだろうという配慮からの収録だろう。歌詞通り「どこまでも飛べるような」メロディが気持ちいい。木下の歌も絶好調でいい。清々しい気持ちになる。

14. 光と身体(Album Mix)

木下版『望みの彼方』(笑)。MIXによってアルペジオの音が透明感を増し、名曲度がアップしている。M9からの流れがこの曲で最高潮に達する。サビの希望と絶望の混じり合った浮遊感はもう何とも言い難い。脆さと力強さが背中合わせになった名曲。

15. Low heaven

ラストはまさかの戸高曲!しかしこれがまた素晴らしい。理想的な締め曲。冒頭のラジオから曲が流れ始め、そこから一気に優しい世界観が広がる。この音づくりはまさに益子マジックの極北!メロディも可愛くも美しく、夢見心地なサウンドがちょっぴり幸福な気持ちを残して夢のように消えていく。ともかく益子さんが圧倒的すぎる。それに上手く乗っかったドラムも大変気持ち良い。浮き沈みする音が最後の歌詞で途切れて曲が終わると、まるで映画をエンドロールまで観終わったときのような感動と寂しさの入り乱れたあの淡い感覚が浮かび上がってくる。戸高GJ!


最初タワレコで聴いた時は「なんじゃこりゃ!?ついに行くところまで行ってしまったなあ」と思い、クソかもと思っていたが、聴きこむごとにその世界観に没入してしまって、今では第二期ARTの一つの到達点とさえ思います。

彼らにとって4枚目のフルアルバム。キャリアの割に意外とアルバムのリリースペースは遅いですが、これは活動休止や、ミニアルバムなどの発売が多いせい。実際リリースペース自体はかなりのものだと思う。Syrup16gといいMO'SOME TONEBENDERといいACIDMANといい、この辺の世代は皆リリースペースが速めで、頑張ってるなあとかファン思いだなあとか思う。バンプはどうかしとる。


前作で試みた『ポストロック的な魅力を注入したギターポップ』路線を、前作以上にポップ寄りに、そして高度に作り上げた快作。ART自身もシングル『フリージア』でその路線の完成度を高めていたが、この作品の音づくりが素晴らしいのにはやはり、益子樹氏の貢献を語らずにはいられない。スーパーカーの『HIGHVISION』のあのキラキラ感をそのままARTに置き換えた(もちろんバンドに合わせてはいるんだけど)その仕事はもう、見事としか言いようがない。瑞々しくも鋭さを決して失わないギターの音から、後ろで楽曲にもう一つ花を添えるシンセまで、アルバム中での氏の活躍は驚く他ない。正直前半の何曲かは結構凡策なのを益子マジックが救っている感さえある。

しかし、それでもART自身もこの世界観に相応しい曲をしっかりと作っている。とりわけ木下の作曲スタイルの変化と戸高曲を入れるようになったことは大きい。『PARADISE LOST』のちょっと背伸びした感じのアレンジよりもずっと自然で聴きやすい曲が並んでいて、まあグランジ大好き少年や「ARTは初期!」みたいな人からすればクソなのかもしれないけど、後期スマパンやデスキャブ、あとペイヴメントのラストアルバムなんかにも通じるよるなメロウでどこか現実的な世界観は大いに魅力的だと思う。そう、一枚としての纏まりがすごく良い。プロデュースのおかげか、世界観がしっかりと一本通っていて、浸るに十分な音が広がっていて良い。蔦屋でデスキャブに「大人のエモ」ってポップがついてたけど、このアルバムもそういった類の魅力がある気がする。まあそれでも情けなくて、青臭くて、そして木下はなぜかキャリア中でもとりわけ歌が下手なんだけれど。中二病を抱えたまま28歳を迎えた木下の姿は痛ましくも結構かっこいいんじゃないかなあ。


しかし何で『フリージア』入れなかったんだ!?アルバムのカラーに十分合ってると思うんだけどなあ。


とりあえずこの路線に満足したのか、この後彼らは方向転換、このアルバムの経験を生かしながらも初期のような獰猛なサウンドを大きく取り上げた『左利きのキキ』(これタイプするとkばっかり打ってて変な感じ)をリリース。それのライブが終ったあとは新しい音源のためにセッションを繰り返すも、最近は苦しんでいるようです。日記でやたら苦しい苦しい書いてるから不安になりますが、またいいフルアルバムを作ってほしいなあ。

D

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