『あと10秒で』

 2008-03-31
あと10秒で

あと10秒で

1.あと10秒で

第二期ARTの代表曲、なのかなあ。ライブではほぼ必ずやる曲だったはず。まさかのダンスソングっぽい打ち込みを導入した、しかしどう考えてもダンスソングっぽくないシューゲイザーな曲。単調を極めんとするその曲構成は、サビの「なんもねーへ!」の連呼に帰結する。このひたすら愚直でヘタレな連呼が、かっこいいというよりも可愛らしい。ギターはエフェクトを駆使した空間的な作りをしていて、全体的にいい浮遊感を醸し出している。凄いキラキラした、大変キャッチーな曲。

2.汚されたい

ギターのリフが中心となった穏やかな曲。サビのところは以前ならディストーションギターで塗り潰されていたところが、コーラス主体になっているのは第二期ARTの変化を象徴する。適度にメロディアスでいいんだけど、アレンジが薄すぎて地味だ。コーラス大事な曲だな。最後のエフェクトは良い。

3.イディオット

いきなり攻撃的で変態な空間系サウンドと叩きつけるドラムが鳴るアップテンポナンバー。攻撃的なAメロの曲は静かなサビに帰結するのが彼らのお約束。サビ後のトレモロ奏法にほのかに初期の香りはするが、サウンド的進化を感じる良曲。ハイハットが裏拍を刻む、Base Ball Bearなんかが得意とするアレだが、ARTもこのリズムを上手に使うと思う。

4.LITTLE HELL IN BOY

抑制されたサウンドの中を叫ぶように歌うボーカルが印象的な疾走曲。といってもやはりサビでの全開ディストーションギターは避けられ、もっとクリーンで鋭い音が聞こえる。何かよく分らないおしゃべりがまた挿入されている。全体的に薄めのアレンジだけど、それがこの曲では成功している。ドラムの細やかな頑張りに思わずひっそりと拍手したくなる。

5.カノン

メインのアルペジオがThe Cure『High』のパクリであることはファンの間では有名。アルバム中でもとりわけメロディアスでポップなナンバー。この、街中を少しだけ浮遊するような雰囲気が好きです。アコギの音とかコーラスとかがいい具合に入っている。ギターのメロディも歌メロもひたすらポップで美しい。不安定なサビの歌もかえって儚さを感じて良い。爽やかギターポップ路線な曲。歌詞も情景描写に重きを置いていて良い。

6.僕のビビの為に

まさかのインスト。彼らの曲に他にインストナンバーなんてあっただろうか。しょっぼい打ち込みのリズムと、やっぱりしょぼいけどいい味出しているクリーンなギター二本の音が絡む。途中突っかかったりしながらも淡々と曲は進む。特に盛り上がったりもせずに終わる。……何だったんだ?おふざけなのか?

隠しトラック.あと10秒で(別MIX)

ベースの音が大きめで、声に掛ったエフェクトも大きめ、ギターはずっとフェイザーかかってて少し引っこんでるみたいな、原曲よりもやや浮遊感が増したナンバー。しかしそれは違いを探そうと頑張って聴いて初めて分かる程度の違いで、別に収録しなくても良かったんじゃないかなあ。どうせならもろハウス調とかにしてくれた方が面白かったろうに。


新生ART、またミニアルバム。よっぽどだなあ。ちなみに前二作は自主レーベルからだったけど、この作品からはポニーキャニオンからのリリース。一応またメジャーシーンに返り咲いたわけです。

メジャーに行ったからなのかどうかは知らないしどうでもいいけど、全体的に優しい音が増えた作りになっている。以前のような全開ガリガリディストーションギターはこのアルバムでは遂に一曲も聞けない。儚げなアルペジオやコーラスを主体とした曲が多く、初期ARTファンにとってはクソつまんないアルバムか?でも、第二期ARTの方向性がはっきりと前に出たアルバムでもあると思う(と思ったら次作『PARADISE LOST』ではヘビィな曲も入っていたりする)。

最後のトラックは謎だ……。これのせいで収録時間以上に短く感じる、実質五曲に感じるミニアルバムである。

D

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