『LOST IN THE AIR』
- アーティスト: ART-SCHOOL
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2006/09/06
- メディア: CD
『LOST IN THE AIR』はタワレコ限定ミニアルバムで今は絶版。これと前の『スカーレット』をコンパイルし新曲二曲を加えた編集盤『Missing』が販売されているのでそのアマゾンリンクを張る。悪い音源じゃないと思うんだけどなあ。
1.LOST IN THE AIR
複雑化していく後期ARTの中でもとりわけ異色な名曲。シンプルなピアノのリフと8ビートをかなりポストロック的に分解したドラムを主体として、そこにゆったりとしたギター・木琴が乗るAメロからキラキラと高揚するサビへ。強制的なブレイクが強引にこの二つの展開を繋ぐ。5分40秒というARTの全曲中『汚れた血』に次いで最も長い曲中をひたすらこの二つの展開が単調に繰り返されるが、サビのさらに単調で愚直なまでの繰り返しが切実さを表現していて良い。インプロ勝負の『汚れた血』みたいな長尺さとは異なる、曲全体の細やかなアレンジを大切にした長尺曲が増えるのは第二期ARTの特徴。しかしえらくサウンド的に凝った曲である。彼らの他の曲でここまで凝っているのは他には『フリージア』くらいしか思いつかない。
2.FLOWERS
前期ARTのポップさを彷彿とさせる(『レモン』とか『ジェニファー'88』とか)ポップナンバー。とりわけベースの音や揺らすギターの音が初期っぽいというか『レモン』っぽいというか。そんな中でドラムは第二期っぽいいい仕事をしている。こういういい意味でのシンプルさは好き。可愛らしくもあるポップさが光る。コーラスもいい感じ。ギターの音が適度に直球でオルタナしていて良い。
3.羽根
アルバム中で一番重たい、攻撃的疾走ナンバー。引っかかるような演奏からキラキラなサビに帰結する。単純な構成に重厚さを感じるか下らないと取るかは聴く人次第。もう一つ捻りが欲しかったかも。「小3で終わった」とかいう、いつも中二な木下の詞の中でもとりわけ中二なワードが出てくる。「25歳で花が散った」(『Love/ Hate』)んじゃなかったのかよ、と。
4.刺青
深いコーラスのかかったギターのリフが水的なものを想起させるミドルテンポナンバー。ポストロック的な頑張りを見せるドラムは本当に後期ARTのサウンドの要だと思います。もっと評価されていい。淡々としたベースの動きがARTらしい。多分『プールサイド』とかと同系統の曲。この系統の曲は本当に外れが無いです。浮いているのか沈んでいるのか分らないギターの洪水。この曲の聴きどころは間奏からのU2チックなギターとハイハットを利かせたドラムのからみ。ここからサビの絶望的な高揚感へ向かう展開はこのアルバム中でも一番の聴きどころ。
5.I CAN'T TOUCH YOU
ベースの音でかい。初期っぽいというか、どうも彼らの『OUT OF THE BLUE』と酷似しているような気がする。悪い曲じゃないが、焼き直しだしねえ。あまりに自己模倣すぎるかも。嫌いじゃないんだけど……。アウトロも長すぎるんじゃなかろうか。
6.PERFECT
ピアノがまた登場。そして『Love/ Hate』の最後で登場した変なおしゃべりのサンプリングがまた登場。これは逆再生してあるのか?サウンド自体はアルバムの締めらしい緩やかなスローテンポの歌。途中から入るドラムがシンプルながらかっこいい。こういう感じの曲(例えば前作の『君は僕の物だった』とか)の中でもとりわけ静と動がはっきりしていてかっこいい。淡々と刻むブリッジミュートのギターが効果的。後期ARTらしさも良く出た、いい締め曲だと思う。
新生ARTの二作目もまたミニアルバム。本当にミニアルバム好きだなこいつら。前作に引き続き、初期っぽい部分と新しい部分が綯い交ぜになったアルバム。このアルバムの方が前作よりも初期っぽいか。とりわけ『Love/ Hate』期っぽいサウンドが頻出する。しかしM1とM4では進化したサウンドをしっかり聞かせていて、この後に続く流れを掴みかけている。全体的に前作よりもバンドサウンドが良く纏まっていると思う。新ギターも初期と微妙に異なったキャラを出してきたかもしれない。あと、ドラムの曲の世界観への貢献度がどんどん増している。
歌詞とかはよくわかんない。サウンドの曲に占める比重が上がってきた気がする。あと、このアルバムの曲の主人公はやたら失ってばかりいる気はする。まあ歌詞を気にして聴くことはそんなにないけど。








