『僕の小規模な失敗』福満しげゆき
最近のサブカル関連の漫画家ではかなり目立ってきている作者。モーニングでの『僕の小規模な生活』連載終了後もSnoozerやジャンプSQで「小規模な」連載を続けている彼だけど、この作品はその彼の出世作らしい。
この人の漫画の主人公はいつも同じ人だ。それは「作者自身」である。そしてこの作品はまさに作者自身の経験、何とも日陰者でしかし過激な方には走れないチキンな、そして人と触れ合うことに関して極度に不器用な人間の青春である。こんなこと言っていいのか分らないが(笑)、確かになかなか一般的な成功ラインから外れた人生を送っているようだ。しかも妙に自我がしっかりとあるため何も考えないバカにもなれない。そんなもがき苦しむ様(といってもひたすら悶々とするだけだけど)が何とも(ああ、こんな書き方したくないんだけどなあ…)「私にも当てはまる、当て嵌まり過ぎる」感じで胸を打った。
工業高校を辞め、自分の拠り所であるはずの漫画も良く分らなくなって途方に暮れる作者。
どうしよう…
恋愛ゲームにも参加できず…
漫画コンクールで相手にされず…
学歴コースからも脱落しちゃって…
ずっとこんな感じで苦しむ彼の様子が、面白くもあり、だけど恐ろしくもある。作者が特に悶々とするのが実は漫画よりも女の子のことであるのがなんか生々しい。
しかし、そんな無気力な生活の中で作者は一人の女の子と出会う。その女の子は結構頭がいいとは言えない感じの女の子だけど、作者はそう思いながらもどんどん惹かれていく。この本は作者の情けなくも清々しい恋愛話としての側面も持つ。ストーカーまがいにもなりつつ、何と最後はその女の子と結ばれてしまうところは、なんか素敵。というか、読んでいて妙に希望がわいてきたりして。そしてこの女の子が後に「妻」というキャラで、彼の後の作品の重要なキャラというか、「漫画家としての一番の武器」となる。確かにこの人は可愛い。この本でも十分に可愛いけど、『僕の小規模な生活』(この本のあと、漫画家としての作者とその妻の生活やら、あと編集部の話とかの漫画)における妻の可愛さは凄い(いいなあこんな夫婦)。というかこの人の極端なデフォルメの中で、女の子が妙に可愛いのはやはり彼の武器だったのだろう。
作者の作品、または彼の日記とかからはやはりその人の良さがよく表れている。だからか、そんなに派手な話ではないのに、「妙に」面白い。この感情を説明できないのが残念だけど、説明できてしまったらもうこの作品を楽しめなくなりそう。そんなある意味「危うい」作品。いやでも普通に面白いですって。あと「アックス版まんが道」とは言うけれどそんなに漫画の比率は高くないのが笑える。
いきなり「僕はそもそも何が書きたいとかそーゆうのが無い」だもんなあ。








