『Sister』Sonic Youth
Sonic Youthの作品群の中で、最高傑作はどれだろうと考えると、いろいろとその時の体調とか趣向の違いとかで答えが変わってしまうけど、「圧倒的に聴きやすい」作品はどれだろうと考えると、何も悩むことなく『Sister』となる。
- アーティスト: Sonic Youth
- 出版社/メーカー: SST
- 発売日: 1994/10/11
- メディア: CD
全十一曲で43分弱というボリュームは、その後の彼らの作品ではめったに見られない。アルバム中一番長い曲が五分台というのも、彼らの作品群の中でもまれだと思う。「じゃあ展開の少ない単純な曲が多いのか」と思えば、一曲目『Schizophrenia』においては四分半という時間の中でやや性急だが様々な展開を見せる。何よりもサーストンとキムが交互に歌うのが素敵(いいなあこんな夫婦)。で、この一曲目が終わって聞こえてくるのはハイハットの尖った音。ここからは「鋭い」ポップソング連発で、三分間の中に疾走感とインディーらしさ全開だが完璧に近いギターオーケストレーションが聴ける。このアルバムはサーストンが歌う曲が多いけど、そのボーカルがいい感じにキレキレながらも程よく歌心を感じさせるもので、ポップになったとはいえ十分にハードな曲をすんなり聴かせてしまう。
オルタナ派ギター弾き諸兄にはまるで聖典みたいなアルバムだと思う。このアルバムにおいて、激しいギターは短いフレーズを繰り返しながら細く鋭く疾走し、水みたいな音のギターも穏やかさの中に緊張感が溢れている。しっかりとギターの音が空間に奥行きを与えている。この音はまさにその後『Dirty』あたりもしくは『Washing Machine』まで続いていく音のように思われる。
しかし、このアルバムのもっと大きな聴きどころはドラムだと思う。スティーブ・シェリー加入後二作目だけど、疾走する曲の多い今作において彼は短い曲時間中で曲展開を上手に表現している。タイトでかつ平凡に陥らない工夫が随所で見られるドラムは、前作『Evol』から急激に効果的に働くようになっている。
インディーズハードコアなバンドのドラムとして完全に完成していると思う。大いに勉強になる。
とりあえずSonic Youth初心者にはこれを薦めるようにしている。ただ『Sonic Youth初心者』というのはあまり見たことが無いけど。聴く気が無いかやたら知ってるかのどっちか。何で?







