--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

異邦人/ カミュ

2008年01月02日 00:19

読みにくいとか言ってたけど、途中からやたらすいすい読めた。マリイが出て来たあたりからか?

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

  • 作者: カミュ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/09
  • メディア: 文庫

これ、キリスト教とかからバッシング喰らわなかったのかなあ。

簡単に言うことなんかできない話だけど、簡単に言っちゃうと、非常に合理的な思考をする、そして人とは全く異なる観点で物事を眺める男の話。その特異性が時に人をひきつけ、しかし結局それが原因で裁判に敗北し死刑になるという話。この主人公ムルソーがやたらかっこいい。これが本当のクールというもの。本当のクールは自分のことを何とも思わない。彼は自分の意思を誤魔化すこともあまりしないし、周りから「普通こうだろ」と言われても動じない。むしろその意見にいらいらしだす始末。わざとではないとはいえ人を殺めてしまって、その理由を説明する際に彼が言い放ったのが「太陽のせいだ」。夏の日差しや海に細やかな目を向け、しかし刑務所に入ってからは、そこで諦めに至るというよりはむしろ、その場に順応しささやかな喜びを見出していく。最後の彼の彼なりの哲学の吐露も非常に格好いい。しかし、その彼の価値観は確かに不条理だ。母の死の次の日に海水浴、コメディ映画、女性との情事をこなして、いろいろあって人を殺しても、自分は助かりたいんだと思う気持よりも、弁護士や検事の微妙な様子に納得したり腹を立てたりと、相当の変わり者のように見える。

ただ、彼の行動は別に理解できないものではない。それは最後まで読み進めていくと、彼という人間がわかってくると、不思議と解決する。説明は面倒だから省くが、彼はしっかりと自分の考えを持っている、そしてそれを疑わない。その合理的な発想は、人間の時に下らない情を省いたもののようでもある。

また彼は情景に非常に敏感であり、その描写も読んでいて面白い。若者たちが海を楽しむ場面などは、ごくありふれているような場面のようだが実際読むとそんな感じは全くなく、その光景の美しさに時がその場面を永遠に繰り返してくれればなあと思うほどである。主人公が彼の彼女と海で組み合って二人で泳ぐところなどは青春のきらめきとエロスと真夏の太陽とがいい具合に混ざりあい、嫉妬の気持ちなど全くなく、ただ美しい。これはまあ筆者(それと訳者)の文才のなせる技でもあろうが。

彼の考え方を真似してみたいし、自分との共通点なんかも考えたりするけれど、きっと現実に彼がいたら、彼はなかなか他人から理解されないだろうなあと思うと妙に辛い。翻って、彼と重ね合わせようとした自分が痛々しい。

傍から見たら彼は空虚な人間のように思われるが、それを彼自身は否定しているところも興味深い。彼の哲学を理解するのは難しそうだが、なかなか楽しそうでもある。まあ現実へのフィードバックはほどほどに。

スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://okazaki5.blog95.fc2.com/tb.php/224-b1eed437
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。