--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか/ フィリップ・K・ディック

2007年12月31日 11:15

そんなバイトの合間にどうにか一冊本を読む気が起きた。ただでさえ休みは脳を駄目にしちゃうのに、バイトはきつかった。三日で30時間働いたんだもの。でもマネーは手に入る。

そんなバイトの合間に読んだ本。SFものと言いますか、映画『ブレードランナー』の原作らしいですが、映画は門外漢なので全然分りません。まあそんなの関係なしに楽しめたのだけど。

どうでもいいけど「○○は●●の夢を見るか」というフレーズは「◎◎でつかまえて」と同じくらい汎用性が高いらしく、しばしばパロディやら引用やらが見られます。そういう小ネタでニヤリとするためにもこの本は読む価値があるんじゃないでしょうか。

もちろん内容は面白い。バイトに疲れた頭でも一気に読みとおすことができたほど。ストーリーを簡単に説明すれば、第三次世界大戦後の荒廃した地球で、脱走したアンドロイドとそれを狩る賞金稼ぎとの戦いみたいなもの。ただしこの時代アンドロイド技術は相当に進化し、細かい検査をしない限りは人間と区別がつかないほどで、また人間は感情をコントロールするのに「情調オルガン」なるものを使うっていう状況だけど。

まず、まあ大抵のアメリカのSF小説はそういうものらしいんですけど、とりあえず善悪の価値観は作中で激しく揺れている。ここでのアンドロイドはあくまでも人間の生活のサポートのために隷属されている(だから脱走したりする)、つまり「人間の道具」な訳で、だからアンドロイドと生物の間には大きな隔たりがある。また、多くの動物は核戦争とその後の放射能やら何やらでかなり死滅している。そこでアンドロイドを殺したり殺さなかったりという話なんだが、この両者について十二分に感情描写が割かれているおかげで、いいバランス感覚と緊張感が保たれている。アンドロイド側も自分たちの自由のために戦う、つまり人間を殺したりするので、お互いに出し抜き合いが始まり、それがまず熱い。

しかし、それよりももっと面白かったのはその世界感自体。「荒廃した地球」なんてもう相当使い古されているんだろうモチーフだけど、それでもこの作品が面白いのは、世界観が魅力的であるからに他ならない。ほぼ一日中同じテレビ番組が流れていたりするテレビとか、希少なため高価格で動物たちが取引されるとか、さっきの情調オルガンとか。そしてボロボロになって住む人の少ない住居。次第に滅びゆくさまざまな物質――これを作中では「キップル化」という。そして残った人々が救いを求めるのは「共感ボックス」と「マーサー教」。こういった様々な「終末的」な仕掛けがことごとく面白くて、なんというか退廃マニアとか廃墟マニアとかの心をぐっと掴むわけです。

そして憂鬱や当惑が人間にもアンドロイドにも降り注いで、事態は複雑(というほどでもないか…)になっていきまして…というお話。文章が読みやすいし面白いので本当にすいすい読めます。少なくとも今私が読んでいる『異邦人』よりかは。


『異邦人』、シュールか何だかわからないけど、「ここはこうだろう」的な感情のパターンを周到に回避し続けるから(というか深い感情描写が少なめ)、しっかり考えながら読まないと事態がよく分らない、またその事態も結構どうでも良さそうなのがあったりで、そういうのを楽しめる状況=精神的にゆとりがある状況じゃないと読みづらい。バイトで疲れてた私にはちょっと辛かったです。でもとりあえず近日中にはぜったい読み終わる。

スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://okazaki5.blog95.fc2.com/tb.php/219-8a869320
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。