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人間昆虫記/ 手塚治虫

2007年12月16日 11:20

あと、三つ首の陽気な犬野郎の一番サブカルな人に勧められた漫画を読み終えた。

人間昆虫記 (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)

人間昆虫記 (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)

また手塚治虫。現在手塚治虫強化月間実施中で、いろいろと勉強せねばなるまい私的に。正直なところ手塚治虫で卒論が書けるのなら幾らでも読みつくすのに。

この話もやはり「大人向け手塚治虫」的な作品で、社会的な部分や狂気的な部分が散見される。この作品の特徴は、主人公が誰なのかよくわからない点である。やっぱりあの女なのかなあ。この女、十村十枝子は模倣に長けていて、人の長けている部分をなんでも見よう見まねで吸収してしまう。役者としての才能からデザイナー、作家、そして会社の重役としての能力まで盗んでしまう。そういった盗んだ能力で外面を固めた彼女はいくつもの社会的名誉を獲得するがしかし内面は…というのが大体のあらすじか。

彼女のその性質上、大体彼女に近づくキャラはいい目に合わないので、その辺が見どころ。彼女がまたなかなかにひどい女で、ありとあらゆる手段を使って脅迫から人殺しまでやってしまう。その素晴らしいアンチヒーローぶりを見せる彼女も常にある苦悩を抱えているが、その部分がやれ現代社会においてはどうだとかああだとか、人間における外壁と内側がどうのとかいってファンの間では議論されたりするらしい。漫画から社会問題の話につながるのが手塚漫画らしさを出している。

登場人物が嫌な奴ばっかりなのも見逃せない。読んでいるとだんだん腹が立ってくる。何せ中心の彼女が相当に嫌なキャラだから、それを取り巻く環境も大いにブラックなものだった。とりあえずこういう漫画にハッピーエンドはまずあり得ないわけで、この漫画もそれに漏れず何とも言い難い終わり方をする。

『奇子』ほどグロテスクではないが、しかし別の方向で後味の悪い作品。後味の悪い作品は好きだ。彼女は結局いつも一人で、その徹底ぶりはかっこよくもある。正義の概念はへし折られゴミ箱に捨てられる。そして悪い奴はその醜い中身を、時にはちらつかせ時には全開にする。そういった描写をどうとらえるか。手塚治虫は本当に邪悪な漫画家だなあと思う。それでいて、いやむしろだからこそ、ものすごく純粋なものも描けるのかもしれない。




やっぱり思うのは、奇麗なものを作れる人は汚い部分を持っているし、逆もまた然りということだ。いい作品を作りたかったら、やっぱり汚れる必要があるのだろう。不健康万歳!泥でも塗りたくってやる。

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