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『Thirty-Three』 Smashing Pumpkins

2009年05月31日 21:51

なんかよく分からんが、どことなくアメリカっぽいジャケット。
Thirty ThreeThirty Three
(1996/12/16)
Smashing Pumpkins

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1. Thirty-three
ビリーがサイアミーズドリームのツアーの後最初に書いたとされる、幻想的でフォーキーな曲。アコギの他にピアノやベース、そして単調で不思議な音を出すリズムマシーンなどが、リバーブの強烈に効いた磁場の中を漂い、まどろむ。地味と言えば地味だが音に奥行きがあって大変美しい。ベスト盤から外されたのはやはり地味だから?でも、イントロの吸い込まれるような感じからずっと、童話の世界に行ったみたいで心地よい良曲。ただ歌詞は幻想的な部分など全く無く、ひたすら孤独。当時のバンドの状況を歌ったのか?PVはビリーと噂の彼女Yelena Yemchukの監修。幻想的な映像と現実的な絵が無数に広がる。最後のオチは笑えばいいのかよく分からん。
2. The Last Song
ピアノとアコギを中心とした演奏に優しいビリーの歌が乗る。そしてドラムとストリングスが入って一気に世界が広がる。前曲に続いてどこか幻想的な曲調。絞り出すような切なさがとてもいい。ドラムが地味にばたばたと動き回りいい具合。途中に入るギターのラインも奇麗で大人っぽい、と思ったら弾いてるのはビリーの父親だった(笑)地元シカゴでのラストライブでも父親が出てきて弾いたらしい。
3. The Aeroplane Flies High
ボックスタイトルにもなった、8分37秒に渡る大曲。重く鈍く歪んだエレキギターと、単調な重厚さに賭けたリズムが曲全体を強力な重圧として機能させている。何かのアナウンスも挿入される。こういうのっていいですよね元ネタ分からないけど。テンポが変わったり変な仕掛けがあったりすることは無いので、その強烈な重力感を存分に味わうことが出来る。この重力感が、タイトル的な巨大飛行物のそれを思わせる。スマパンのハード志向が最も硬派的に露出した曲の一つなのでは。最後に静かに、しかし歪にギターと歌だけが残る部分が不穏さを残して曲は終わる。閉塞感の中広がっていった世界観が奇妙に閉じる。
4. Transformer
タイトでストイックなリズムの上に一定のリフが反復と停止を繰り返す、後の『The Everlasting Gaze』を思わせるハードな曲。ビリーのボーカルも一定の熱量を超えない程度に自由でいい具合にひねくれている。二回目のヴァースの繰り返しで効果音的なノイズギターが被さるところが好き。突然変な電子音残して止まったかと思ったらノイズ被ったまま普通に再開してそのまま呪文唱えながら終わる展開もクール。いい具合にシャープに纏まっていて好き。
5. The Bells
リバーブの効いた世界でアコギとストリングスとピアノが優しく鳴るイハ曲。フワフワとした感じ。三つの楽器の住み分けがとても良く、心地よい浮遊感に包まれる。いい奥行き、いいメロディ。ハミングとストリングスがユニゾンするところとかいい感じ。ピアノはFountains Of Wayneのリーダーでイハの盟友、今も一緒にTinted Windowsとして活動しているAdam Schlesinger。2分19秒しか無いのが勿体無いけど、その辺の謙虚さはイハっぽくもある。これを『Tonight, Tonight』に収録しなかったのはビリーの意地か?
6. My Blue Heaven
1927年に書かれ、多くのカバーを生み出した名曲を、ビリーがピアノやストリングスを引き連れてカバー。往年のアメリカンポップス的な感じとは異なり、ヨーロッパの宮廷音楽(それがどんなもんか知らんが)みたいなイメージでカバーしている。大変優美で、ビリーの歌もスマパンの数ある曲の中でも最も優しく美しい。
まあ、私はこのカバーを聴いてこの曲を知ったので、あまり詳しくは語れませんが。

スマパンのメランコリー期の5thシングル。メランコリー期では最後に出たシングルで、小野シングルが発売される前にジミーがドラッグ問題でバンドから脱退している。その後オリジナルメンバーが揃うことはほぼ無かった。カップリング曲にも「最後の蔵出し」感が出ていて統一感が無い、というか、それぞれのシングルの個性から外された曲の中から選曲されたのではなかろうか。そのためか、物凄くクオリティが高く、またバリエーションも六曲にしては広い。幻想的で優美な四曲とハードな二曲だが、収録時間的には結構バランスが取れている。このシングルを『短縮版メランコリー』と呼称しても過言ではなかろう。あのアルバムの「本当に夢みたいに曖昧な美しさ」と「どうしようもない激しさ」の両端がここには収められている(後者に関してはアルバムのハード曲とはちょっと趣が違う気もするが)。

ただ、アマゾンでは四曲入りバージョンと三曲入りバージョンしか買えない。私がボックスを買う前に持っていた日本盤には六曲全部入っていたのだが。


今回も事情により動画はニコニコから。

全体的にどこか切なげ。特にバンドメンバーが「三人で」歩くところとか。
切ない。

あと『My Blue Heaven』をいくつか。これはようつべから。

1927年当時バージョン。あああああ。古い素敵な映画みたあああい!素敵!


ロックンロール黎明期(まだR&RとR&Bが分かれていなかった時代)
の巨匠Fats Dominoによるカバーバージョン。
ブギウギ!ジャズっぽくもある。これも凄くいいなあ!


ビリーのにかなり近いと思う、Gene Austinのバージョン。美しい……。
ラジオノイズが曲をセピア色に染め上げる。誰かのおもいでに沈みたくなる。


日本音楽界の超巨頭、Eichi Otakiもこの曲をカバーしていた!
間奏のマンドリンか何かがいいムード。日本語詞もいい感じ!
大人っぽいけど、どこかユーモラスな感じもあっていい。
『ロンバケ』前みたいな余裕と諧謔精神を感じる。

他にもぱっと見ただけで、Frank SinatraからNorah Jonesまで、年代を超えた数々のミュージシャンがこの曲をカバーしているらしい。アメリカのポピュラーミュージック界の層の厚さを知る。どれも素敵です。


最後に割と最近のスマパンのライブから。現在こんな感じになってます。
年を取って深みが出たのかどうなのかよく分からん声。これぞビリー(笑)
またいいアルバム作って欲しいです。頑張ってください!
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『Tonight, Tonight』 Smashing Pumpkins

2009年05月30日 14:23

それにしても、あの大名曲のシングルとは思えないデザインだなあ。
Tonight TonightTonight Tonight
(1998/11/17)
Smashing Pumpkins

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1. Tonight, Tonight
ポップやロックのシンガーには若者の声を代弁するような役割がある。10代の声。精神的ティーンエイジャーの声。ビリーもまた時折そういった面を見せるが、この曲はその中でも『1979』と並んで最大のものであろう。むしろ曲が派手な分こっちの方が凄い。多少説教めいた歌詞だが、それもサウンドの勢いに掻き消されてしまう。よくこんな曲書いたな。
アコースティックギターで作られたもとの曲から、よくここまで世界観を広げたなあと。祝福し、鼓舞し、舞い狂うストリングスの嵐。ビリーのヨーロッパ・クラシック趣味の一つの頂点。凄くシンプルすぎてびっくりするアルペジオから溜めを(繰り返される「Believe in me」)置いてそして舞い上がる!一体どこを飛行しているのだ。圧倒的なドラムの連打。どこまでも高揚していって、高揚の度にどこからともなく沸き出す「勇気」的な何か。特に物凄いのは最後の六回に渡る繰り返し。当時のスマパンの限界を超えていこうとするスタンス、もう非常に青臭いとしかいえないようなそれが、世界の普遍として鳴り渡る瞬間。ここまでの歌詞のメッセージと曲調の幸福な一体化はなかなか無いだろう。スマパンの名曲群の中でもとりわけ孤高の位置にある、恐ろしいまでの名曲。PVがまた物凄くいいんだよなあ。どんだけヨーロッパ好きなのかと。お前アメリカ人じゃないのかと。ビリーの妄想力・青春性が最大級に爆発している。
2. Meladori Magpie
『White Album』期のジョンレノンのアコースティックなそれを思わせるアルペジオを主体とした曲。気品と誇りに溢れ、乾いていて、でもちょっと優しい。ずっと同じテンポをキープするバスドラムと鈴が可愛らしい。また左右のチャンネルから鳴るスライドギターもいい感じ。大々的な曲の後にささやかに流れる極めて小規模な曲。その小規模さが素敵。
3. Rotten Apples
Nick Drake調の室内楽的ストリングスが優しいアコースティック曲。アコギとストリングスと多分ウッドベース、それと歌だけである。優美なメロディと併せてヨーロピアンな香りの強い曲。ビリーの声の汚さがいい具合にアクセントになっている。歌詞はビリー節全開。不完全でか弱い君。神聖なもの。腐った林檎。しかしなんでこんな地味めな曲のタイトルをベスト盤のタイトルにしたんだろう。しかもこの曲は収録されないし。
4. Jupiter's Lament
純粋なアコギの弾き語り。ビリーの歌は終始優しく響く。牧歌的に駆け上がって駆け下りるメロディが可愛らしい。終盤のとっておきのメロディがふわっと舞い上げる感じがしてとても良い。しかし、こういうシンプルな曲を語るのは難しい(笑)
5. Medellia Of The Gray Skies
リバーブが深く掛かった空間で(なんかおかしな表現だ(笑))クラシカルなアコギのアルペジオとピアノと歌が流れていく曲。よく聴くとベースも鳴ってる。アルペジオがとてもヨーロピアン。ビリーの声も噓みたいに甘く儚い。スマパン一めめしい曲なのでは。好きだけど。やっぱり地味だ。
6. Blank
またもや弾き語り。アルペジオでコードを弾いて進行する曲。一定の繰り返しから、ゆったりと落ちていくような優しいメロディに帰結する。ひたすら「I wish○○」を繰り返すビリー。「僕が空白ならいいのに」ってどういうことだ?
7. Tonite Reprise
『Tonight, Tonight』のアコースティック短縮版。最初のサビの後にいきなり最後の六連が四連になって入る。しかし、アコースティックでも最後の繰り返すメッセージは強い。原曲の良さがよく伝わってくるが、またこの原曲をよくあのスケールでやろうと思いついたなとも思う。


スマパンのメランコリー期の4thシングル。コンセプトとしては「アコースティックで優しいメロディの曲」を集めてある。そのため非常に眠いとても美しいメロディが沢山詰まっている。そんな中でタイトル曲だけが非常にド派手である。他の曲はどれも地味なのでギャップが超激しい。事実、ドラムが入っている曲は『Tonight, Tonight』と『Meladori Magpie』だけである。ジミー……。

ただ、ビリーは実はハードな曲よりもメランコリックな曲の方がより素質があると、彼のファンのうちの少なくない人が思っている(私も割とそう思う)。そういう人達は、このシングルでビリーの根本的なメロディセンス、ソングライティングの骨組みを存分に味わうことが出来る。このシングルの時点で既にスキンだったくせに、やたら奇麗で優しいメロディを書きます。このギャップもまたスマパン、ということで。イハの曲がないのが寂しいか。アコースティックは彼のフィールドだろうに。
(ただ、イハのアコースティックソングはアメリカ的な色が強く、で、このシングルはヨーロッパ的色彩感覚を強く感じるので、その辺の兼ね合いで収録されなかったのかも。)

あまりに画質が奇麗だったのでまたニコニコから。ただ、エコノミーの時はあまり奇麗に映りません。まあそれでも、世界最高のPVの一つだけど。元ネタは映画黎明期の作品にして世界初のSF映画『月世界旅行』。ポンキッキーズで合成した映像なんかもありました。あの歌和田アキ子だったんだって。最近知った。

今夜、誠実さを踏みにじる連中を僕達で十字架に掛けてしまおう!
今夜、全てを正しくしよう 僕達はそれを全て感じ取るんだ!
今夜、夜を捧げる方法を見つけ出すんだ!
今夜、君の人生に言葉にもできない瞬間が訪れる!
今夜、不可能が可能になる!
僕が君を信じるから、僕を信じておくれ!今夜!


今夜今夜うるせえ。もう凄い好き。
最後の一文はあえてちょっと違う訳してます。

『1979』 Smashing Pumpkins

2009年05月30日 11:21

ボックスセットも来たので勢いに乗るっ!

19791979
(2000/06/02)
Smashing Pumpkins

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1. 1979
もう素晴らしい。けどなんか説明が難しい曲。ギターポップとニューウェーブの間の子?って言ってもなんかしっくり来ない。不思議な透明感。とても澄んだ、奇麗で均一で感情の薄いクリーンギターの刻み。この曲以前には世界のどこにも存在しなかったんじゃないかと思うようなタイプの抒情。以後、この曲のフォローワーが多く現れる。中村一義の『セブンスター』とか。何でビリーはこんな曲を書けたんだろう。
この曲が明らかに後の『Perfect』や『Try, Try, Try』に繋がっていくのだけれど、それらと大きく違うところは、この曲のリズムが「打ち込み」でも「打ち込みっぽい生ドラム」でもなく、「抑制された均一な生ドラム」だということ。こういうタイプのドラムの持つ魅力、シンバルの艶などが凄く生きている。そして無駄な装飾を一切省いた素晴らしいメロディ。青春を過不足無く感じさせる絶妙なリリックと、所々おバカでそして切ないPV。そしてそして最高にクールなミドルエイト。世界中でもとりわけ完全なポップソングの一つに違いない。
2. Ugly
ギターの陰鬱なブリッジミュートを淡々と続けていき、後ろでやはり闇を感じさせるシンセを鳴らす、ひっそりとしたダークな曲。歌も若干ヒステリックさを小出しにしながらも、決して一線は越えない。そして最後はぷつりと終わる。リズムも最小限。このこじんまりとした憂鬱が何とももどかしくもあり、また魅力でもある。露骨に『Adore』に繋がっていくタイプの曲かと。
3. The Boy
陰鬱だった前曲から打って変わって、タンバリン、可愛いドラム、そして爽やかで舞い上がるようなギターのカッティングが鳴り始める。切ない疾走感。ヘタと隣り合わせの素朴さがあるイハの歌うメロディがとても爽やかで素晴らしい。これはギターポップだ。しっかりじわじわと盛り上げるドラム、途中の畳み掛けるような歌、最後にちょっとだけ入ってくる、非常に青臭い歪み方をしたギター、「I can't stop, I can't breathe, I can't think I'm in love again」なんていう非常に青臭い歌詞。なんかもう、この曲全体がジェイムス・イハであるかのような、そんな、混じりっけ無しの青臭い爽やかさ。これを外してしまう四曲入りバージョンは最悪だ!ソロに繋がるアコースティック路線とはまた違った系統の、イハによる最高の名曲。……イハの曲だよね?それにしても『1979』にしろ『Pennies』にしろこの曲にしろ、こういうスマパンの爽やかギターロック曲のギターの音は本当に素晴らしい。
4. Cherry
また陰鬱で単調ななアルペジオ的リフ(ニルバーナっぽい)が曲中ずっと続くダークな曲。シンセが不気味なリズムで鳴るかと思ったら急に別のチャンネルで電子音をささやかに鳴らす。そしてこの曲は一応陰鬱の出口が設けられている。だがそこまで昂らず、またどっしりとした陰鬱に落ち着いていく。そしてコーラスが重なり、フェードアウト。ビリーの、次第にダークな美しさを追求していく志向が強く出た曲。
5. Believe
またイハによる名曲!こればベスト盤の2枚目にも収録されている。アコースティックギター中心なのはイハ曲の常だが、これはそれでもマイナーコードを利用したしっとりした曲。室内楽的な寂しいストリングスも入ってなんだか神妙な雰囲気。『Disarm』をもっと小規模にそして切なくしたような趣がある。ドラムもささやかな感じで凄く良い。そして二回目のサビ以降の畳み掛け、ちょっとだけ出てくるエレキターに導かれて高揚する歌。青臭いってよりもひたすら美しい、いい曲。詞もイハらしいストレートで真摯な感じなもの。イハが歌うと丁寧にメロディを追いかけている感じがして(余裕がなさそうな感じともいえるけど(笑))ビリーとはまた違った趣がある。いい具合のヘボさ・可愛らしさ・実直さ。
6. Set The Ray to Jerry
エフェクトに凝った輪郭な曖昧なギターをバックに知的にうねるベースとドラムが交錯し、上にビリーのささやかなメロディが乗る、不思議にサイケな奥行きのある曲。これもベスト盤の二枚目に収録。ドラムはどこか機械的(ハットのタイミングとか)な感じだが、やっぱり生ドラムでこういうのするのはいいなあ、素敵。曲自体は大した盛り上がりもなく延々と続いていく。オープンハイハットと一回だけのビリーのシャウトでアクセントを付ける。そして曲の最後でちょっとだけギターの音が大きくなる。不思議と陰鬱さはあまり感じない。形容しがたい夢を見ているような、そんな感覚。それにしてもビリーのメロディは不思議だ。短いメロディなのに凄く絶妙に思える。


スマパンのメランコリー期の2ndシングル。これ、スマパン史上最高のシングルなんじゃないだろうか。まあただ私の趣向が合致しただけだろうが。

このシングルのコンセプトとしては「抑制の利いたエレキギター曲」が収録されている(『Believe』はちょっと例外かも)。よってこのシングルではジミーのあの跳ねまくる鬼のようなドラムは聴けない。その代わり、淡々と曲を進行させ盛り上げたり、やたらリムを叩いたりするジミーを満喫できる。ビリーのギターポップや、特にニューウェーブの趣向が強く出ていると言ってもいい。

しかしこのシングル、本当にメロディが奇麗な曲が多い。ビリーは勿論だが、イハがここで自身のキャリアでも最高の、そしてソロアルバムとはまた違った趣向の曲を二曲も発表しているところは注目に値する。スマパンにギターポップを求める人にとっては、このシングルは間違いなく名盤になるだろう。適度に淡々としていて、歯切れのいい、独特のスマパンポップソングが並ぶ。

四曲入りはやめろ。四曲入りとか初めから出すなよ。最高の六曲なんだから。
あと、スマパンで唯一全米一位を獲得したシングルらしい。英語ウィキより。

何故かようつべの『1979』の動画は全部埋め込み無効だったので、ニコニコから。

「僕達は落ち着くことを知らなくて、それを気にも掛けない
 千の罪の国に引き寄せられるのを感じて、セメントを注ぎ、嘆き、確信して
 下方に見える光や街へ、音速より速く、向かう意志より速く、希望の音の元へ」


すごく青春な歌じゃないですか。
しかしなんかペイヴメントみたいな連中だな。この映像。あとイハwwwwwww

どうでもいいけど、『Range Life』でスマパンをこき下ろしたマルクマスは、スマパンの取り澄ました感じが嫌いなだけで、曲自体は結構好きなものもあるとどこかでコメントしていた。特にこの『1979』は割とお気に入りらしく、いいソングライティングだとか言ってた気がする。

『Aeroplane Flies High』 Smashing Pumpkins

2009年05月28日 18:55

『Zero』のレビュー書いた一時間後に、来たあ!
写真をアップしようとしたらファイルのサイズオーバー。iPhoto重すぎ。
20090528114725.jpg
すっげーえ!かっけーえ!
開封するとこんな感じ。
20090528183330.jpg
うわあああああ。ああああああ。
ちなみにブックレットがかなり丁寧。ファンに対する誠意と愛が伝わってくる。
満喫します。あと家宝にします。


『Zero』 Smashing pumpkins

2009年05月28日 11:46

ジャケットのデザインは当時のビリーの恋人Yelena Yemchuk。この後活動休止まで続くビリーのビジュアル的ゴス趣味の根本はこの人から来ているらしい。
ZeroZero
(1996/04/23)
Smashing Pumpkins

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1. Zero
この曲以前も以後もリフ中心のハードロックな曲はスマパンには沢山あるけど、これはそれらとはなんか違う感じがする。PVのせいもあるのかもしれないけど、物凄く「ゴス」ってる。どっちかと言えば他のリフ曲よりも『Ava Adore』とかの方がイメージが近い気がする。詞の世界観なんかもどことなく「ゴスな恋人」感に溢れてるし。多分この曲から、スマパンのゴス化が始まるんだと思う(『Bullet With~』はその一歩手前の段階かなあと)。
それにしても、こんな簡単なリフからしっかりさらっと盛り上がりもつけて、簡単な構成の曲なのにきちっとシングルらしいキャッチャーさを持ってるのが凄い。ブレイクの使い方といいギターソロの完結かつ異質さといいシンプルにどっしりとしたドラムといい、抑制の利いた、引き算の美学を強く感じる曲。そして最後はアウトロ無しで歌でぴしっと止まる。クール。2分41秒。クール。
2. God
このシングルのハードロック曲の中ではまだ全然いい方。でも『メランコリー』の他の憧憬等の曲と比べるとちょっと弱いかなって曲。でもその小規模さがこの曲の魅力かも。不穏なドラムとボーカルだけのセクションから一気に爆発する、スマパン的グランジな曲。単調で沈静なところから、曲全体が短いリフの畳掛けみたいになる展開は鬼気迫る感じがして良い。サビのドラムの感じはいかにもジミー・チェンバレン。アメリカ人~って感じが凄くする。マッチョさとクールさが割と上手くハマってると思う。
でもアルバムのリフ曲の方がいい。
3. Mouths Of Babes
ビリーが大した抑制のアイディアも展開も考えずにリフ主体の曲を作るとまあこんな感じ?って曲。サビのメロディはそれでもちょっとビリー的美メロを感じるけど、リフがくど過ぎる。曲を通しての倦怠感・停滞感も苦手。スマパンのこういうノリの曲はわたし苦手。緩い出来だと思っちゃうと同時に、アルバム収録のリフ曲はアイディアや突破力に秀でているなあと思わせられる。
4. Tribute To Johnny
イントロから典型的ハードロッキンなリフが鳴り始める、まさかのインスト曲。スマパンっぽさは皆無。タイトルの通り、ギタリストのJohnny Winterに捧げられている。リフもドラムもマッチョ過ぎる。とても苦手な世界。
5. Marquis In Spades
「ファッカー」と呟いて、また重く鈍いリフが鳴り始める。リフの合間にビリーの金切り声が聞こえる。個人的には、大体この辺でもうすっかりウンザリしてくる(笑)ミックスのせいかビリーの声が埋もれて聞こえる。これといった強烈なフックが無いのが辛い。ドラムが無駄に動き回るのもまた、なんか重たいっす。最後のシャウトはカッコいいはずなんだが、後ろのリフがちょっとダサい。
6. Pennies
ここで急に雰囲気が変わる。確かにこの曲もメインのリフを伴った曲だけど、曲調は明らかに『1979』とかのささやかなギターロック。こういうビリーの微妙なメロディの抑揚の付け方は非常に好み。そしてその微妙な抑揚を曲展開とともに最大限に盛り上げるドラムは流石だと思う。歯切れよく小気味よいドラム。さっきまでのハードロッキンが?のように軽い。気持ちのよいシンコペーション。たった二分半によくこんだけ突っ込めるなあという、かといって濃過ぎることも無い、絶妙のギターポップ。これはホント名曲。
7. Pastichio Medley
いきなり重たいリフが始まり、何かと思うが、そしたら急に変わってノイジーな中期ビートルと思ったらあれっ、あれっ、あれれー。収録時間23分の、要するにボツになったリフの集合体。ボツの怨念。大体はハードなリフばっかりなのだが時折入ってくるギターロック調や『Today』の焼き直しの残骸や『1979』路線なリフが気になる。使えばいいのにと思う。ハードなリフの中にも幾つか気になるのがある。使えばいいのに。
要するに、そういう「ああ、このリフいいね」っていう、そういう展覧会。一個のリフは長くても30秒くらいなので、死ぬ程リフを楽しめる。ただ、気に入ったリフが出てきてもすぐ次に切り替わってしまうが。っていうかこんなのを見せびらかすって、ビリーったら本当に自意識過剰。
ちなみに、以下のような曲から成っているらしい。英語版ウィキより引用。

It features: "The Demon", "Thunderbolt", "Dearth", "Knuckles", "Star Song", "Firepower", "New Waver", "Space Jam", "Zoom", "So Very Sad About Us", "Phang", "Speed Racer", "The Eternal E", "Hairy Eyeball", "The Groover", "Hell Bent for Hell", "Rachel", "A Dog's Prayer", "Blast", "The Black Rider", "Slurpee", "Flipper", "The Viper", "Bitch", "Fried", "Harmonia", "U.S.A.", "The Tracer", "Envelope Woman", "Plastic Guy", "Glasgow 3am", "The Road Is Long", "Funkified", "Rigamarole", "Depresso", "The Streets Are Hot Tonite", "Dawn At 16", "Spazmatazz", "Fucker", "In the Arms of Sheep", "Speed", "77", "Me Rock You Snow", "Feelium", "Is Alex Milton", "Rubberman", "Spacer", "Rock Me", "Weeping Willowly", "Rings", "So So Pretty", "Lucky Lad", "Jackboot", "Milieu", "Disconnected", "Let Your Lazer Love Light Shine Down", "Phreak", "Porkbelly", "Robot Lover", "Jimmy James", "America", "Slinkeepie", "Dummy Tum Tummy", "Fakir", "Jake", "Camaro", "Moonkids", "Make It Fungus", "V-8", "Die".



Smashing Pumpkinsのアルバム『Mellon Collie~』からの3rdシングル。って言っても7曲収録でしかも収録時間41分(まあ半分以上Pastichio Medleyだけど)、圧倒的すぎる物量。
で、このシングルは「ハードなリフ曲」のコンセプトで曲を集めている。どの曲もリフから出来たっぽい曲ばかり。ただ、表題曲と他の曲はなんかカラーが違う上に、大抵の曲は「まあアルバムのアウトテイクかなあ」的なクオリティだと思う。一曲一曲もそんなに長くないし。何せ最後にアウトテイクの最たるものがどしんと構えているから。ただ『Pennies』は名曲。これも明らかにカラーが違うけど、バランスをとったのかなあ。

ジャケットと同じく、Yelena Yemchukの監修。ゴス!って感じ。

スマパンのメランコリー期のシングル群

2009年05月25日 23:18

遂にこれを購入してしまった!まだアマゾンでクリックしただけなんだけど。

既にメランコリーの時期のシングルは三枚持ってるのに。
今持ってるのは『Tonight, Tonight』『1979』『Thirty Three』の三枚。
あとレンタルで『Zero』も持ってる。
あと一枚『Bullet With Butterfly Wings』で全部。

で、最初にリンク貼った『Aeroplane Flies High』というのは、この五枚のシングルを集めたボックスセットなんです。「なら既に四枚持ってるのに勿体無いじゃんこのマニアうんこ!」と言われたいところですが、実はちょっとこの辺微妙な問題があって。

まず、スマパンのシングルは時にバージョン違いが存在して、収録曲が異なったりします(シングルの各バージョンや収録曲についてはこのページが詳しい)。で、僕が持っている『1979』については2パターンあって、四曲入りのやつと六曲入りのやつがあって、四曲入りのやつの曲は全部六曲入りに入っています(何でこんなことするんだ!)。僕が持っているのが残念ながら前者なんです。で、四曲入りに入っていない『The Boy』という曲、これが名曲で。悔しい。欲しい。

あと、もう一つ大事なポイント、っていうかいちばん大事なポイントが、『Bullet With~』のシングルで、上のリンクから分かるように、シングルのこれは二曲入りなんですが、『Aeroplane~』に入っている『Bullet~』はなんと七曲入り!様々なカバー曲が5曲も増えているのです!初めっから入れろよ!ボックス買わせたいだけだろ!嫌がらせだろ!ってかどんだけ曲あるんだよ!と。

なので、ボックスが欲しいなあと。一応、iTunes Store(USかUK)でもこういうカップリング曲とかは買えるんですが、やっぱりファンとしてシングル持っておきたいなと。あとボックスのデザインも中々洒落てるし。
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かっこいい!この頃のビリーホントセンスいい!

しかし、メランコリー期のビリーは曲書き過ぎ。以下、シングル収録曲を羅列。
1st single 『Bullet With Butterfly Wings』

1. bullet with butterfly wings
2. ...said sadly
+ボックスセットに収録分
3. you're all i've got tonight (original: The Cars)
4. clones (we're all.) (original: Alice Cooper)
5. a night like this (original: The Cure)
6. destination unknown (original: Missing Persons)
7. dreaming (original: Blondie)



2nd single 『1979』(六曲バージョン)

1. 1979
2. Ugly
3. The Boy
4. Cherry
5. Believe
6. Set The Ray to Jerry
(四曲バージョンは以上から『The Boy』『Set The~』を除く)



3rd single 『Zero』

1. zero
2. god
3. mouths of babes
4. tribute to johnny
5. marquis in spades
6. pennies
7. pastichio medley



4th single 『Tonight, Tonight』

1. tonight, tonight
2. meladori magpie
3. rotten apples
4. jupiter's lament
5. medellia of the gray skies
6. blank
7. tonite reprise
(このシングルも四曲バージョンが存在し、以上から6,7を除く)



5th single 『Thirty-Three』

1. Thirty-three
2. The Last Song
3. The Aeroplane Flies High
4. Transformer
5. The Bells
6. My Blue Heaven [Writing/Donaldson]
(これは四曲バージョン、三曲バージョンが存在する。めんどい)



おまけ 『1979 remix』

1. vocal mix
2. instrumental mix
3. moby mix
4. cement mix
(これはボックスには入ってないようです。要らん。)



各シングルの表題曲はアルバムに収録されているので除くとして、アルバム未収録曲は実に22曲(カバーとリミックス、及び『pastichio medley』を含まず)にも及びます。多分もっとボツとかあるんだろうなあ(ボツの固まりが『pastichio medley』)。もうひとつ二枚組アルバムが作れてしまう。

『サイアミーズ~』から『メランコリー~』までのブランクは二年。しかも間に『Pisces Iscariot』を挟んでいる。この期間のスマパンはもう本当にリリース大杉。アルバム出てからのシングルカットを含めると二年半くらいかもうちょっとか。この辺りがいわゆるスマパンの「全盛期」でしょう。今や一人でスマパンしているビリーは、この全盛期に並ぶ作品を作ることが出来るんでしょうか?ユーチューブとか見てると、曲自体はまだ全然書けそうなんですが。アレンジとか……。

ちなみに、このようなアルバム未収録曲ですが、大体はYoutubeで聴けます。流石アメリカの国民的バンド!歌の内容考えたら、全然「国民的」に相応しくなさそうなバンドなのに。

スマパン期のイハ曲で一番いいんじゃね?

この曲も大好き!ビリーは細かいところでネタが多い。
いいリフにいいメロディ載せるなあ。
投稿者の持ってきた映像もスマパンっぽくていい。愛されてるなあ。

トドメがこれ。ボックスのタイトルにもなった大曲。8:33。圧巻。
なぜか映像が『青い春』。よく分からん。

スマパンのこれらのシングル五枚のレビューします。
持ってるものからするので順番は順不同。

まだ五月終わってないけど五月まとめ

2009年05月25日 01:53

なんか、この五月は物凄く激動な月だったなあと。
痛いニュースを定期的に見てるだけでも、なんか濃い。

五月始まってすぐに、ここ数年でも最大級の衝撃。
5月2日:忌野清志郎死去

で、そうこうしてるうちにも世界的なインフルエンザの波が広がり、
ここ日本でも開花しましたね(笑)福岡も時間の問題?
5月9日:ついに日本でも3人の感染者
5月16日:渡航歴ない神戸の高校生、新型インフル確定
       関西で一気に拡大か
5月20日:東京都で初感染確認

政変も。しかし良くなったかと聞かれたら、とてもそうは思えないのがなんとも。
あの画像は笑ってしまうと同時に恐怖も感じる。友愛(笑)
5月11日:民主・小沢代表、辞任の意向
5月17日:小沢氏が代表代行に、岡田氏が幹事長に内定

で、まさかの松っちゃん結婚。個人的には素直に応援したいです。
5月17日:ダウンタウン・松本人志が結婚…お相手は一般人、現在妊娠中

で、とどめはやはりこれなのか。
家で見たとき、何回も「えーっ!?」って繰り返してしまった。本当に驚いた。
ある意味、一つの時代の終わり。妙な呑気さの漂う大統領だった。
彼はおよそ理想主義者過ぎた。
5月23日:韓国の盧武鉉前大統領が死亡

もしかしたら残りの日のうちに何かまた大きなことが起こるかも。
なんか本当にとんでもない月だな。
時代のうねり・軋みを感じる。What's Going On!?

アート、リリース予定・新メンバー加入など

2009年05月20日 01:48

ここで見れます。右の人だよね。
良く知らないけど、ビジュアル的にやっぱりギャップがあるなあ。
まあそんなことよりも、その横にいる木下が何かシュール。
オッサン化している。

新曲は爽やかポップ。『1995』とか『エミール』とかみたいな爽やかメロディ。
あっさりしとるが悪くない。ちょっとフック弱いけど。コーラスも爽やか。
「良く晴れた夏の日に海の見える道を車で」系な曲。ギタポですねえ。

ライブはまた秋か。一年おきに地方に来るなあ。

あと、どうでもいいけどアートの公式サイトのあの不穏な雲の感じって、
ガス・ヴァン・サント?『エレファント』な感じのアレ?今更気づいた。
『ミルク』はまだ観てません。
っていうか『グッドウィル~』と『ラストデイズ』と『エレファント』しか観てないです。
時間が出来たらぼつぼつ観よう。

『Primary Colours』 The Horrors

2009年05月13日 17:26

しししししし死ぬ程素晴らしいいいいいいい!!
Primary ColoursPrimary Colours
(2009/05/05)
The Horrors

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一応座って正面を向いているという部分で1stと共通するが、しかしその雰囲気が全然違う、しかししかし「セルアウトッ!」って感じは皆無、むしろこの歪み具合ってキュアーのあれだろー、と、もうそういうモノ好きをニヤつかせるこのジャケットからしてすでに強力だが、それはまあ中身あってのものだし。

素晴らしい、多分ここ十年のUKインディロックでも最も理想的な2ndでは?
っていうか00'sでUKで完全に絶賛できる2ndの方が少ないし。
(ちなみに私はBloc PartyとNine Black Alpsの2ndは大変素晴らしいと思う。
 ぱっと思いつくのはこれくらい。リバの2ndも好きだけどあれはアレだし。)
ポストパンクリバイバルは決定打を提示できずに収束した感があったけど、もうとっくに終わったと思ったこんな時期に、こんな理想的な形で、しかもこんな予想外のイロモノ(と思われていたであろう)から出てくるなんて。
(大体あのブームはXTCとG4とJDのパクリばっかりだったし。 いや、好きなバンドも結構あるんだけど。)

全体の雰囲気はまさにJDかキュアーにマイブラが乗り移った感じ。
もしくは最初期マイブラ(ゴスっぽい)が今のUSインディシーンに目配りした感じ。
そしてそこに、00's的な折衷具合と、アートロック最前線の技術やノウハウ、
そしてあの雰囲気(ゴス!)をそのままに増幅させ最新系にする気概。
そう、遂にゴスはリバイバルの対象から最新型インディミュージックに返り咲いた!

興奮してなんかよく分からん感じになっとる。

具体的にサウンドについて書く。
まず、1stにあった「なんかゴスにしてはやけっぱちなガレージ的疾走感」は消滅!はせずに、何曲か(特にM2とか)のリズムの中に、または曲の骨組みの中に適度に保存され、そしてそんな楽曲の上をギターとシンセが埋め尽くす。もう凄い埋め尽くしっぷり。

ギターは前作のメスの様な感じではなく、それこそマイブラ的な、ディストーションと深いリバーブで激しい「ノイズの筆」となって、怪しく蠢いたり、蠢きながら疾走したりする。この辺は最近のUSインディのネオサイケ事情(ディアハンターとか)と共振するものを感じるが、その使われ方は激しくUK的(「color」じゃなくて「colour」なのです!)で、もっと言えばキュアーやJDみたいな雰囲気にこのギターを突っ込めたことが今作最大の発明だったのかもしれん(既にそういうのあったのかもしれないがそんなの知らん)。NW的不穏さとマイブラ的陶酔感・疾走感が絶妙にマッチしている。

キーボードもまた、強力な音の壁発生装置となっている。メロディも勿論弾くが、それよりもやはりギターと同じく、鮮やかで膨大なノイズの上昇や下降を繰り返し、音の壁を作り出す。

しかし、この二つの音の壁を用いながらも、NW的空虚感は維持されている!アルバム全体のサウンドはカラフルでなく、ちゃんと一定の「らしい」トーンで統一されている。これはアレンジ・プロデュースの成功と、作曲のコンセプト段階での成功両方によるものだろう。

そして、前作ではゴスのくせに物凄く情け無い感じだったボーカル(そこがウリでもあったのだけど)は、それはもうイアン・カーティスやロバート・スミスが生き返った(後者はバリバリ現役だが(笑))かの様な、的確なNWゴスボイスを響かせる。低い声がある程度メロディアスな旋律でも一定の抑制を保ち、そしてそれを突き破りそうで突き破らない感じのあのシャウトが聴ける。

そして何よりこのレコード全体の雰囲気が、アーティストの「こういう雰囲気だ!」という目標(と言ってもそんなにシンプルなものでもなく、曖昧な「妄想」に近い様な)に向かってのみ機能していることが素晴らしい。安易なエンターテイメントも、ダンスフロア向けのチップサービスもここには一切無い。「あの」雰囲気目指して全楽器が暴れ回っている。もう本当に素晴らしい。

そしてそんな荒れ狂ったりゴスったりしまくった後、最後にたどり着くのがアルバム中いちばん穏やかで美しい『Sea Within A Sea』という。あの絶妙にアナログさとデジタルさが、穏やかさとマイナーコードが行き来する素晴らしいリフレインに行き着くという。もう出来過ぎだろう。そう、全体的に曲の並びもなんかいい具合。

また世界に一枚、どこかのインディロック好きの「ぼくの考えた世界最強の名盤」が生まれた、そんな感じの、ちょっと憎たらしいくらいに羨ましくなるような、そんな素敵なレコード。沢山のインディミュージックに対する愛が強烈に感じられてニヤニヤする。1stからの飛躍加減といい、多くの人がレディへを引き合いに出してしまうのも仕方が無いと思う。そのくらい、バンドストーリー的にも強烈で美しい飛躍だと思う。



しかしこれ、次はどうするんだろう。まさかそこまでレディへ見たいに、なるのか?
期待して、いいのか?

『911 FANTASIA』 七尾旅人

2009年05月09日 20:54

人から借りて聴いた。ありがとうございます。凄く今更かもしれない。
911FANTASIA911FANTASIA
(2007/09/11)
七尾旅人

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七尾旅人が描くFS巨編。映像の無い壮大なSF大作。
この解説がたとえ本人の本当の意図からしたら的外れだとしても。

多くのSF作品が、広大な宇宙のロマンを描く一方で、
また、数知れぬ「世界の終わり」を描いてきた。
それぞれの手法で、趣向で、それぞれの思い描く「荒野」を作り上げた。
『電気羊』『渚にて』などの有名なSF小説。
日本が誇る漫画の神様・手塚治虫なら『火の鳥』の幾つかの話などなど。
(特に『未来編』なんかは、このレコードと関連してそう)
それこそこのレコードにも名前が登場するキューブリックだってそうだ。
あと、ゲームだけど『MOTHER2』なんかも、そうだった。

これらの連なりの中に、この作品も加えることが出来るだろう。

まあ、実際にわたしが一通り聴いて思い浮かべたのが、
物語的には『火の鳥未来編』、音楽的には『MOTHER2』だったっていう。

ネタバレ?

1969年の月面着陸(旅人は「うそ」と言い切っちゃうけど)から始まり、
そして世紀末の不安の増大が、遂に911で溢れ出し、
世界中に「幻」が満ち、そして世界中に「グラウンド・ゼロ」が訪れる。
素晴らしいソウル・ミュージック、そして「ぼくのお嫁さん」、
全ては失われてしまう。幻の下には荒野が残る。
わあ、わあ、わあ(驚きに満ちた小さな悲鳴)
語り部の夢と錯乱と孤独。そして絶望。

ネタバレ?おわり。

本当はネタバレしまくって感想を書き放題書きたいけど、
どうせ本人の意図からは外れてしまうだろう。
というか本人の意図に到達など、誰が出来ようか。
だが、受け手は精一杯努力して、話し手の意図を読み取る。

旅人はしかし、これを単なるB級SF作品にはしなかった。
多くの優れたSF作品がそうであったように、旅人もまた、そこに込めた。
主張。趣味。個人的感情。願望。悲観。
映像の無いことをいいことに、旅人はこの映像の無いサウンドトラックに、
何でもかんでも詰め込んだ。
従来からもそういったものを作品に詰め込んできたと本人は言うが。
(詳しくはここ参照。どんどん話が脱線。多分本人的にはそうじゃないんだろうが。)
沢山言いたいことがある人なんでしょう。圧倒的な情報量は昔からだが、
今作はその主張を物語になぞらえながら端的に、うたと演出で表している。
旅人の考えを知るためには、ある意味「いちばん分かり易い作品」が、
もしかしたらこれなんじゃなかろうか。
(かと言って本当の旅人初心者にこれを薦めるのは鬼畜だが)

音楽と「生命」に関する主張は、よく考えれば
『およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明』
の延長線上にある。ある意味、先行シングル的なものなのかもしれない。
およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明およそこの宇宙に存在する万物全てが【うた】であることの最初の証明
(2004/09/15)
七尾旅人

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わたしはまだこれ聴いてない。

楽曲面的には、前作『ひきがたり・ものがたり』の延長線上にあるともいえる。
前作に引き続き、空気公団の山崎ゆかりも複数の曲で参加。
楽曲やアレンジの洗練よりも、「ことば」「うた」を伝えることに腐心した感じ。
っていっても、あくまで「語り」が中心であって、うたものはその合間に、
それも物語の備考的に登場するのだが。
そして、語りの後ろで流れる音楽、演出は風景を描く。
宇宙的だったり精神的だったりするそれに、わたしはマザーっぽさを感じた。
そして旅人はこの時期、国府達矢という音楽家に強い影響を受けたようで、
引用したりもしている。
その音楽、精神的で宇宙的な音楽と、
旅人の愛する数々のソウルミュージック(清志郎も登場)を、
旅人は自分なりの解釈で繋ぎ合わせ、そして主張する。
過剰で、興奮気味で、常軌を逸した、しかし本当に真摯な「主張」。

ひきがたりバージョン。旅人なりのソウルミュージック。
形式としての「ソウルミュージック」とは定義を異にする音楽。

これも弾き語り。しかも途中で切れちゃう。

ぐだぐだ長くなるので(ロッキンオンジャパンの巻末のたったあれだけのレビューで
語れるレコードじゃないんだ。別に情報量が多ければいいって訳でもないんだけど)
最後に本人のブログから、最もこの作品について深く言及している、
ような気がする記事を引用して終わる。これ。
「……なので、911FANTASIAは「過去の自分への戒め」として作った部分が大きい。
罰ゲーム。ペナルティのようなもの。」
こう言い切ってしまう程、彼は常に混乱していて、しかも真摯だ。
この作品を思想的に、または音楽的に批判することはできる。
しかし、そうではなく、この作品に溶けた音楽家七尾旅人の、
その魂の苦悩する様(実際凄く長い期間をかけて、苦しみながら作ったらしい)
を眺め、想うことが大切なんだと思った。
安易な「共有」ではない。それぞれが「自分なり」に「真摯」に「考える」こと。
その発端にこの三枚組の面倒臭いレコードがなったならば、
きっと彼は心からそれを祝福してくれるだろう。


なんか最高に中二で、しかも傲慢な結論になっちった。


どうでもいいけど、これ。
裸だったら何が悪い(旅人ブログ『人生おかわり』より)
なんか笑った。こんなことも意外と書くんだよなこの人。
基本この人もアホだ。真摯なアホだ。真摯な人は常にアホだ。
勢いで言ってしまった。

もうひとつ、旅人ブログから引用。
これ。
聴いてみたい。

そして七尾旅人本人は現在レコーディング中。
人生初のバンド録音だとか。凄く楽しそう。
よい作品が出来るといいですね。



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