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曽我部恵一BAND『キラキラ』

2008年04月29日 00:05

キラキラ!

キラキラ!

以下の文はアマゾンに私が投稿した(はず)のレビューのコピペ。みんなが「このレビューは参考になる」と思ってクリックしてくれると私にアマゾンポイントが溜まります。だから「おかざき」さんのレビューを見かけたらぜひ「参考になる」をクリックしてくださいね。


うわ、なんか嫌な人だな、私。以下レビュー。


近作の『LOVE CITY』や『BLUE』で旧サニーデイのファンまで呼び戻した曽我部恵一。彼のここ数年の充実っぷりは、単純に多作なことに加え、自分の表現の範囲を貪欲に広げていく行為だった。今や彼が曲を書き歌っていればそれはもう「曽我部作品」として成立してしまうのだ。なんとズルい!

そんな絶好調の曽我部が、ここ数年で最も力を入れていた活動こそ、曽我部恵一BANDに他ならない。『Strawberry』で発現した「ロックンロールな初期衝動」の方向性を、彼は壮絶な回数のライヴを経て鍛えていく。どんどん修練していくのに色褪せない初期衝動。この作品はその方向性のとりあえずの一つの答えであり、収束点だ。


『キラキラ』と題されたこのアルバムは、まさにその名の通りの出来となった。小細工を一切用いない曲作りや演奏によって、遂に曲は平均2分台という恐ろしいことになっている。この辺りは曽我部が近年のUKロックの風潮を考慮したとも考えられる。それこそThe Libertinesから連なるUK新世代ガレージを引き合いに出してもいいほどの粗く、ぐちゃぐちゃで、なのにキラキラした演奏は清々しい。曽我部も声を荒げて歌うのに、もはや性ともいえる美メロに乗ったそれは実に爽やかだ。

爽やかと言っても、これは純朴と無知を勘違いした若造がヘラヘラ歌うそれとは根本的に異なる。そもそもバンドの平均年齢が30を超えているのだ。新人(笑)。いやしかしそれだけに、ある意味勢い任せのポップソングにも絶妙な哀愁や憂鬱が漂っている。それでも「キラキラ」したものを追いかけようとがむしゃら(という風に計算された)に駆けだしていくその音は、歌は、このCDの裏ジャケの写真のように眩しい。


大体『青春狂走曲』のセルフカバーとか、反則だろっ……。本当にズルいアルバム。曽我部がそういうスタンスを突き詰めるとこうなるということ。多分に打算的で、しかし初期衝動的で純粋な、不思議なアルバム。

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3ピースバンド・その音・傾向について

2008年04月12日 01:44

前からずっと書きたかった。どのくらい前かというと、去年の学祭時期位から。


日本において、いや、世界のどこでも「歌」というものは大事にされて、名ボーカリストというのは周囲の尊敬を集めるものだ。マイクの前に向かい、身振りなどで感情を表現しながら、自分の歌に心を込める。全神経を歌に集中させ、素晴しい歌のために全力を尽くす。その立ち振る舞いは凛とした者から暴れまわる者まで様々で、まあそれはそれで大事です。


しかし、世の中には歌を歌う癖に、歌だけに全精神を注ぐことが出来ない連中がいる。彼らは何故か歌いながら他の楽器を演奏してしまうのだ。「そんなの、歌に集中できないじゃないか!歌に対する冒涜だ!」とかそういう意見はまあ無視して。まあブルースとかの時代から当たり前のようにあったことだから、別に変でも何でもないんですけど。ビートルズだって楽器持って歌うだろう?


あまり大声で言ったら怒られそうだけど、よくある「ロックバンドの華と言えばボーカルとギター!熱いフィーリングをどうのこうのするぜ!」みたいなのは、まあそりゃあ認めざるを得ないくらい素晴らしいものもありますよそりゃあ、でも、少なくとも学生レベルとなると結構「なんだかなあ」って思ってしまうようなものも正直ある訳で云々。ああ、この話は本筋ではないからこの辺にしておこう。どうせ歌下手いならせめて楽器持ってごまかせばいいやん。


それで、そういった、演奏しながら歌う人というのは、割とその演奏している楽器がギターであることが多い。「いやいやベースボーカルこそ至高だろう!」という意見もまあ分ります。後述で詳しく語ります。それで、四人編成のバンドだったりしたら、そのうち二人はギターであるということがままあります。それか一人ギター、一人ボーカルみたいな。前者の場合、ギターボーカルの人はギターを弾くと言っても、それはリードギターだけだと音が薄くなっちゃうところを補強する役割が大きい訳で、コードやパワーコードによるバッキングがその主たる目的となります。所謂「リズムギター」ってやつで、まあこれはこれで大変なんですけど、サウンド的にはリードギターが自由が利くので、ある程度は負担が少ないと言うか、まあ正直音に厚みが無くていいところ(アルペジオを静かに聴かせるところとか)なんかは歌い手はギターを弾かずともいいわけです。


しかし、そうもいかないのが3ピースバンドの辛いところ。大抵のロックにおける3ピースバンドは、ドラム・ベース・そしてギターの三者から成り、歌ものの曲をするのであればそのうち一人が歌う訳です。KEANEのボーカル・ピアノ・ドラムとか言う3ピース編成は反則だろ……。だとしたら、どこかのパートが何かしら演奏をしながら歌う必要が生じるわけです。これには技術の他にも様々な要素が関連し、いろんな制約とか何とかがあって、考えるといろいろと面白いです。


なお、私は単なるギターロックをちょっとかじっただけの人間なので、ブルースがどうとか、ジャズがどうとかそういうことは言えません。


・ベースボーカルの場合

ベースはなんだかんだ言って結構曲中ずっと演奏しないといけないので、それプラス歌うと言うのはしんどそうです。増してや、複雑なリフを弾きながら歌うのは凄いと思います。

ただ、大きな利点としては、ギターが自由になるためサウンドの自由度がギターボーカルに比べて飛躍的に増すと言うことです。誤解を覚悟の上で言えば、ベースはあくまで曲の裏方的な仕事で、例えばずっとルート弾きでも、それほど曲のサウンド上のキャラクターを左右しない(うわもの的な意味で)のではないでしょうか。確かにベースを大事にして聴く人は多いですが、やはり曲のキャラクターに占めるうわものの役割というのは大きいもので、そういう意味でギターが自由に振舞えると言うのは大きいです。この場合、コーラスなどをドラムが担当すればさらにギターは自由に弾けるので、曲の世界観はもう彼の思うがままです(もちろんバランスは大事ですが)。

ベースボーカルの代表的な3ピースバンドとして、The Policeが挙げられます。この場合ベースも結構歌いながらよくうごくので凄いもんだなあとは思いますが、エフェクトを駆使した、本来のギターテクとは少し異なった意味でテクニカルなギターで空間を塗りつぶすギターサウンドはベースボーカルによるギターの自由さが効果的に発揮された例だと思う。多分。最近まともに聴き始めたからよく分らん。あとスティングのボーカルはそんなに好きじゃない。

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The Policeの、PVとかジャケットとかの妙な「ダサさ」はどうしても気になってしまう……。

ファンの人ごめんなさいダサいなんて言って。


・ドラムボーカルの場合

あんまり知らないんですけど……。多分ベースも自由になって、音階のある楽器は自由になります。しかしリズム的に制約が大きくなるから、激しい変拍子なんかは無理になるのか。あと何といっても、ドラムボーカルが敬遠される大きな理由は、歌ってる人がドラム叩いてるから、ステージの後ろ側に行ってしまって見えにくいことなんじゃなかろうか。

ドラムボーカルの3ピースバンド……聞いたことないなあ。


・ギターボーカルの場合

本題。このジャンルこそが私にとって一番興味深い問題なわけで、それはまあ私がそうだからだったんですけど。正直言って、世間のすべての3ピースバンドのおよそ6,7割はたぶんギターボーカルなんじゃないでしょうか。それくらいやけにメジャーなジャンルです。何であんなにメジャーなんだろ。やっぱりカートのせいか?NIRVANAのコピーで、ボーカルが手ぶらで歌ったりしているのを見るとやたらガッカリします。

3ピースのギターボーカルの何が大変って、それはやはりうわものを全部同時にしないといけないことでしょう。演奏の例えとして、リズムを「骨組み」、メロディ関係、所謂うわものを「肉付け」とする場合がありますが、ギター以外がボーカルなら、この肉付けは「自由の利くギター+ギター以外の歌う人」となるので、役割が分散するわけです。しかし、ギターボーカルだと、肉付けはすべてギターボーカルの肩にのしかかってきます(ベースラインもうわもの的なことするやんって意見は置いておくとして)。つまり、曲のメロディ的なキャラクターはすべてギターボーカルの表現力に掛っている訳です。

しかし、問題があります。歌を歌っているときはいいんですけど、歌っているときのギターってどうするんですか?という問題。とりわけ歌ものバンドならそこが大事な訳です。だって歌いながら複雑なギターソロなんて弾けないでしょう?えっ、弾ける?……まあ確かに、時々歌いながら異常にギターを弾き倒せる人はいます。それは確かに凄い、凄いことなんだけれど、それは私の考える3ピースバンドの面白さとはちょっと違う。

つまり、歌いながら何を弾くかというのが問題な訳です。しかし、歌っているからギターにあまり自由が利かない。これが3ピースバンドのギターボーカルが抱える、致命的な「制約」なんです。これをどういう方法で克服、もとい誤魔化すか、というのが、私がずっと考えていたテーマでした。


1・え、別にギター二本でも一本でも変わらないやろパターン

つまり、ずっとリズムギター的にコード・パワーコードカッティングを続ける、「単にリードギターが無いだけ」パターンです。これはあくまでもリフ的なカッティングと言うよりは、バッキング的性格の強いものをいいます。誤解を恐れずに言えば、こういうのはいわゆるメロコア勢のバンドなんかで目立つ気がします。パワーコードでバッキングするんです。あとブリッジミュートでサビとそれ以外の部分との緩急をつけたり。それはまあ、初期グリーンデイ的なイメージなんですけど。

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この曲がまあ、3ピースギターボーカルの一つの大きな答えであることは認めざるを得ません。まあぶっちゃけNIRVANAもここに入りそうな気がするけど、何か一緒にしたくないので分けます。

あと、個人的にはこれはちょっと面白みを感じないというのが正直なところです。このパターンの場合、歌のメロディの重要性があまりに大きすぎるからなんですが。だって私歌下手クソだし。演奏で誤魔化したい……。


2・アルペジオを駆使して世界観を作るパターン

これはよくあるパターン。アルペジオでも、コードを単にアルペジオで弾くのではなく、ある一定のアルペジオを反復するというやり方です。これの良いところは弾くラインによっては幻想的で奥深い世界観が「歌いながら」表現できる点です。ディレイやコーラスを駆使する訳ですね。どうでもいいですが、ART-SCHOOLはしょっちゅう単純なアルペジオを反復させますが、時々それ+サビでパワーコードっていう「ギター一本でも問題無いよねえ?」って曲があって、4人バンドなのに3ピースの音を考える際に参考になります。

例としてMO'SOME TONEBEBDER『GREEN AND GOLD』を挙げようとしたら、動画が見つからない……。ゆら帝の『美しい』も見つからない……。まあその辺。


3・リフを弾きながら歌う

やはりこれは熱いですね。複雑なリフじゃなく、単調なリフの繰り返し。乗せる歌で単調さを緩和します。このパターンの代表曲と言えばやはりNIRVANAのあれ。まあ上手い人はリフ弾きながらでも何無く歌うし。ただここでリフが自由すぎても面白くない。やはり、何かストイックな感じのリフの方が3ピースっぽくて良い。ゆら帝とかその辺を良く分ってるなあと思います。

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まあ、おおざっぱに分けてこの3つが主なギターボーカルが歌いながら弾くことの内訳だと思います。ギターソロ弾きながら歌うとかドン引きですわ。この三つの点を踏まえて曲を作る訳です。学祭で3ピースバンド組んだ時は、私は趣味的にとりわけ2ばかりを重視しました。でもサビは1。単純野郎です。


ギターによる空間の埋め方というものは面白く、Sonic Youthなんかを聴いてるとギター二本のバランスの良さに感動したりしますが、3ピースではそれは望めないので、しかしそういう雰囲気を出したいがために努力するのです。一本のギターと歌だけで、どれほど空間を立体的に埋めることが出来るのか。それが3ピースのギターボーカルの面白みだと思います。ディレイは偉大です。


まあ、結局は曲の構成の段階で3ピースの中途半端なスカスカ感が出ないように工夫することが大事なんですけど。そのためには、ベースとドラムの絡ませ方・ブレイクの取り方・轟音の使い方などが大切になってきます。


そういう点で考えていくと、ギター一本で曲をする際に勉強になるなあと感じるいくつかのバンドが浮かんできます。大体この辺のバンドを参考にすると3ピースでギターボーカルがどんなことをすればいいか分かる、的なリストが以下のものです。


・ACIDMAN

なんかちょっとカッコつけ過ぎな感じが鼻につきますが、3ピース的バランス感は認めざるを得ません。

・Blankey Jet City

もうここまで弾けて歌えたら他に何も要らん。『SKUNK』とかよくあんなの弾きながら歌えるもんです。リフにしてもアルペジオにしても、その空間の埋め方には一定の美学を感じるし素晴らしいです。

・bloodthirsty butchers

『未完成』を聴きましょう。オルタナロックを3ピースでやる人にとっての答えの一つが堂々と記されています。吉村秀樹はNeil Young的でありながらも器用に、そして時に豪快に空間を轟音で埋め尽くすことに秀でています。またブッチャーズについては詳しく書きたいです。

・Dinosaur Jr.

実はJマスキスは資質的に吉村秀樹と似ているところがあるように思うのです。こっちの方が元でしょうけど。要するにビッグマフ繋がりですね。マスキスの方が器用か。

・Galaxie 500

これ実は超大事なバンドですね。ぼんやりしたアレンジに関しては天才的です。とりわけドラムの押さえ方、シンバルを重視してあまりスネアとかを叩かないドラムは勉強になります。

・Joy Division

彼らは4人バンドですが、バーナードサムナーの単調で鋭角的(そして下手クソ)なギターによる空間の埋め方は大いに参考になります。

・MO'SOME TONEBENDER

オルタナからサイケまでを強烈に表現する百々和宏のギターはかっこいいし参考になります。ムスタングですしね。

・NIRVANA

これはなんというか、むしろ「被らないように気をつける」的な部分で参考になるかも。それっぽくグランジしようと安易に考えて曲を作るとどうしても彼らっぽくなってしまいます。よく勉強して特性を学ぶべきかも。あとあれだけシンプルなギターでクソかっこいいのはカートの歌が素晴らしいからであることを忘れてはなりません。

・SPORTS

わりと最近聴き始めたんですけど良いです。ポップで時々シューゲな3ピースギターロック。今一つ売れなかったのはその検索しにくすぎるバンドの名前のせいじゃないでしょうか。

・Syrup16g

五十嵐がThe PoliceやU2が好きなこともあって、コーラス・ディレイを使った空間的なギターが結構多いことがポイントです。空間系を使いこなすNIRVANA的な見方が出来ます。歌のウエイトがやや大きいか?

・The Who

ロックンロールと言えばThe Whoです。彼らも四人バンドですが、ピートのギターはシンプルかつ感情的なので3ピースに適しています。まあババオライリィはシンセなしギター一本じゃあ厳しいけれど。でもループさせればいけるよねえ。

・Yo La Tengo

Galaxie 500の進化系(笑)。ギター一本でマイブラしてしまうそのギターワークは凄く頼もしいです。そしてヘロヘロの歌はなぜあんなに美しいのだろう。


今回は半分以上が自分用の「頭の中整理メモ」的なものです。訳がわからなくてごめんなさい。

『左ききのキキ』

2008年04月05日 11:15

myspaceの方頑張ってしまって、結局日付が変わるまでやれなかった。反省。

まあ最後まで需要は無いんだろうけど。

左ききのキキ

左ききのキキ

1.SHEILA

いきなりのハードコア(気味)ナンバー。不穏なアルペジオからナンバガの『I don't know』のパクリを彷彿とさせるつんのめった攻撃的リズムに展開する。重心の低いラウドな音と鋭いギターの音、そしてシンバルが飛び交うややカオスな曲想。そこをポップに歌いきる木下の歌もどこか吹っ切れ気味で良し。ブレイクの使い方がかなり上手くなったなあというか、緩急のつけ方・間奏の展開のさせ方が個人的にツボ。やけくそなワーミープレイも聴ける。

2.左ききのキキ

前曲の勢いを引き継いでのタイトルトラック。もう既聴感とかそういうレベルじゃねえ(笑)。『Miss World』の焼き直しじゃね?良くも悪くも清々しい開き直りというか。しかしタイトルトラックとしては意外と地味目だ。それを気にしなければ、淡々と空間を埋めるブリッヂミュートのギターが中心のAメロから疾走にスイッチが入る、ちょっと懐かしいあの展開を楽しめる。あと、絶対語感が良かったから付けただけだよなこのタイトル。歌詞、左利き関係ねえwww

3.Ghost of a beautiful view

いきなり歌から始まるミドルテンポの曲。初期ARTのミディアムテンポ的な淡々とした展開だが、第二期を経て音の乗せ方がかなり上手くなった。アコギの音も交えた繊細な轟音は聴いていて心地よい。その上に乗る木下の声もいい具合に音に埋もれていて良い。いつもとは違った意味でサビの英語はアルェーってなる。情景描写をふんだんに使った歌詞の手法は大いに初期っぽい。コーラスも乗っかってかなり爽やかに過ぎていく。相変わらずいいメロディ書くなあ。

4.Candles

今回の戸高曲に与えられた役割はグランジ。ということでやっちゃいました。負けだぞ!「『Smells~』のパクリだよね」って突っ込んだら負けだぞ!ちゃんとサビ後のYEARまで再現するあたり完全に確信犯ですどうもありがとうございました。退廃感の滲む歌詞に、如何にもを通り越して掛け過ぎなコーラスが必要以上にそれっぽい。笑うしかない。

5.real love / slow dawn

タイトルでスマパンか!?と思ったらBloc Partyでした~!って曲。いやしかし、これこのアルバムで一番好き!ファンキーでかつ攻撃的な鋭角ギターはまあやっぱりあれなんだけど、でもかっこいい。シンプルなフレーズの積み重ねが利いてる。サビはちょっぴりスマパンか?いやでもこのヘビィな感じもアリ。しかしやはりこの曲の軸はドラム。裏打ちダンスリズムをここまで攻撃的にこなされたら、Base Ball Bearのあれは何なの?って気持ちになる。歌詞も退廃的にぶっ飛んで「ゴムくらいちゃんとしろよ」木下自画自賛のギャグが飛び出す。まあともかく、バンドが緊張感を楽しんでる感じがして嬉しい。多分次のアルバムにこのミニアルバムから入る曲はこの曲なんじゃないかなあと思ってる。

6.雨の日の為に

二分ほどの小曲。締めのための曲であってそれ以上の役割を持たない。クリーンのコーラス掛ったエレキとアコギが一本ずつ、そして木下の歌だけの構成。歌詞は今更また中二すぎて、むしろもう狙ってやってるんじゃないかと疑ってしまうほど。声の劣化を少し感じる。しかし他の曲ではあまり感じなかった。間奏のアコギのフレーズが良いかな。


ポストロック的ギターポップ路線を、日本のポストロックマエストロ益子氏をつかまえて作った『Flora』である程度極めたことに満足したのか、ここで急に方向転換、原点回帰してまたパワーコードゴリ押しのオルタナ路線に帰ってきた。ハハハ成長してるんだかよく分らん。ドラムとかは超進化してるんだけどね。

しかしこのアルバム、殺伐としていながらもどこか楽しげなのが良い。それは、このアルバムがあまりに突っ込みどころが多いことが挙げられる。そもそもタイトルからして「!?」だし(実は日本語タイトルのCDは何気にART初だったりするが)、そのタイトル曲『左ききのキキ』のPVがまた『木下監督、ネタに走る』だし(『家族ゲーム』のパロディを「ただ何となく、面白いかなあと思って」という理由で決行)、「お前それ分かってやってるだろう!?」って感じのパクリとか最後の曲のしょぼさとか色々。こういった突っ込みが決して悪口にならず、「しょうがねえなあ木下は…」と言いながらニヤニヤしつつ楽しんでしまうレベルで展開されてしまうのは、今のバンドの「最早なんでもあり」感のせいかもしれない。実際演奏や曲自体の質は十分に高いので、そういったユーモアも安心して聴ける。


その「何でもあり感」のせいなのか、このミニアルバムの後ARTは新曲のアレンジに苦しんでいるらしい。しかし、バンドとしての充実感は間違いなく右肩上がりな感じなので、この調子で更になんでもありになって、まさかの名盤を作ってほしいものです。そういえばドーパンの中の人が木下とのケンカ対談(笑)でアレンジについてもっと何でもありにするといいよって木下に言ってたけど、まさか真に受けて苦しんでいるのか?



という訳で、『SONIC DEAD KIDS』より前を除くART-SCHOOLの現状における全てのCD音源についての、全曲レビューをここに終了する。需要が全然無いのによくやったなあ自分と思ったが、まあ要するにこれって高度なオナニーみたいなものですよねー。そう思うとなんだか虚しくなってきた。


あ、『左ききのキキ』PVが見つからない。だから貼らない。

2008年04月04日 09:28

最近はもっぱらNeil Youngばっかり聴いている。メロウサイドも爆音サイドも両方ともかっこいいのがこの人の強み。サニーデイ・サービスとダイナソーJrの両方を聴けるみたいな。作品も40年分あるしストーンズみたいなとりあえず出しとく感が無くていつでも現役最前線な感じだから、いつのものを聴いてもいい具合に聴けるのがうれしい。この人のベスト盤作るのは難しいわ。曲順とか「神」だわあって思うのが何枚かあるし。『After The~』とか『Rust Never~』とか。曲も金太郎飴的だけど色々なタイプがあるし。流石ウッドストックとパンクとグランジをリアルタイムで通過してきただけのことはある。っていうかあり得ねえ、凄いキャリア……。

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2001年のフジロックの動画です。アホかと。レスポールでこういうプレイをする奴ってニール以外にいるの?

『Flora』

2008年04月04日 09:11

Flora(初回限定盤)(DVD付)

Flora(初回限定盤)(DVD付)

1. Beautiful Monster

大変ポップで前向きな感じでアルバムが始まるのは新鮮。ベースの「圧倒的(笑)」な音(なんか異様にでかい)を中心にしたキラキラギターポップ。サビで流れる程良いコーラスとディレイのかかったギターの渦はまさに益子サウンド!そしてこの曲は最後のサビ前のCメロが絶妙。歌詞のハマり具合とせり上がっていくような雰囲気が眩しくなりそうな高揚感を演出する。この際サビの英語の発音とかは気にしたら駄目です。「嘯く」とか言いながらもちょっとだけ前向きで現実的な歌詞が、少しばかり成長した木下を表していて清々しくもあるし寂しくもある。

2. テュペロ・ハニー(Album Mix)

先行シングル。まあこの位置か。一曲目の方がキャッチーな気がする……。前曲での高揚感の後いきなり「フォーリンダーン、フォーリンダーン」で落とすところはもしかしたらギャグなのかもしれない。最後のサビ前のブレイクが唐突だなあとか、最後あっけないなあとか思うけど、まあ悪い曲じゃない。

3. Nowhere Land

ファンク系の曲。いやらしいギターとシンセの絡みのAメロから浮かび上がるサビへ。このサビのシンセ音が澄んでいて良い。しかしサビの英語はこればっかりはいかんともしがたい。というかお歌が全体的に不安定。奇麗なアレンジにこれが乗るというアンバランスな感じが楽しめるかどうかがポイントか。サビのサウンドの陶酔感は素敵。

4. 影待ち

冷めた感じのイントロからAメロ、そして珍しいBメロを挟んで一気にサビで高揚するミドルテンポの曲。こういう曲構成すると途端にGRAPEVINEっぽくなるなあと思う。ABメロが重たいだけにサビでの上昇に伴う重力感は気持ち良い。ギターの音やフレーズが本当にバインっぽい。つまり良いのです。あの冷めて奇麗な感じ。アウトロが奇麗なままフェードアウト。

5. アダージョ

子供たちの声からイントロへ。バンジョーが後ろで鳴ってるがカントリー感は皆無w水っぽいクリーンなギターが全編で流れる。ずっと浮いているような感じの曲。たゆたう音。サビの英語は(ry

6. Close your eyes

淡々とした感じのミディアムテンポの曲。正直M4.5.6は似てる。世界観が統一されているとも言えるけど。既聴感に溢れている。益子マジックもあまりかかっていない。それでもサビの轟音は奇麗。歌詞の外の歌(おおーとかイエーとか)が多い。ギターソロっぽいものがアウトロにある。

7. LUNA

重たい感じのスローナンバー。スマパンのマシーナに入ってそうな類の。サビのメロは『Love/ Hate』の『イノセンス』から流用。でも「うわあ……」って感じは少ない。夜の海を思わせるような音世界は見事。眠くなるかもだけど。デスキャブっぽくもある。益子マジックを感じる。しかしなんでこのアルバムの木下はやたら歌が下手に聞こえるんだろう。ただそれがかえっていい意味でのダメダメ感(歌詞にもそれが出ている)に合ってて意外といい。

8. Mary Barker

ここで重い雰囲気を変える爽やかな可愛らしいナンバー。戸高作詞作曲ボーカル。ちょっとビートルズっぽいポップソング。しかし音づくりはポストロックからの流れのまま。鐘やら木琴やらの音が楽しげでいい。コーラスも可愛らしく、リズムもハネていて新鮮。まあ木下は書かないタイプの曲。こうやってアルバムを補えるのは第二期ARTの強みだなあ。

9. SWAN DIVE

木下ソロ時代の曲のリメイク。ボーカルの声がソロのころと全然違う。それにギターのフレーズも全然違う。二本のギターによるアルペジオが水中を行くような感覚を呼び起こす。初期ART以前の曲であるため、歌詞の雰囲気がこのアルバムの他の曲と違ってひたすら耽美的で美しい。後ろで鳴るシンセの音といい淡々としたドラムといい、非常に奇麗なアンサンブルは第二期ARTの一つの到達点と言ってもいい。ここからB面というか、このアルバムの美味しい部分が始まる。

10. SAD SONG

前曲から打って変って、切迫した感じの疾走感溢れる曲。アルバム中もっとも身も蓋もない歌詞で面白い。「もう少しで28になる」知るかよ!こんな曲でもクリーンなギターのまま疾走する。サビの英語は(ry最後のAメロの歌詞良い。「『苦しんだ分だけ強くなる』/ そうじゃねえ 弱くなったんだ」。

11. Piano

まさかの三拍子ワルツナンバー。前作の『Waltz』よりもよっぽどワルツしてて笑った。ピアノのシンプルなリフを中心にしたそのメロディは「え、木下こんなのも書けたの!?」という驚きに満ちている。ギターの音が本当に耽美的で良い。ふらふらとしたリズムが儚さを助長する。珍しく英語のサビが上手く歌えている気がする。裏声の使い方といい、RADIOHEAD的な魅力がある曲。というかむしろElliott Smithへのオマージュか。

12. IN THE BLUE

第二期最強曲。もう素晴らしい。『シャーロット』『プールサイド』系統の、シューゲイザーな曲群、そのひとつの極み。Aメロの抑制の利いた民族的リズムから一旦静かになり、そこから怒涛の轟音の渦に突入する様は物凄く豪快で美しい。ベースの音がえぐり込む様で良い。シンセも最大限の貢献で曲の儚さ・脆さを表現する。ギターの音は言うまでもない。冷たく、瑞々しく、美しい。サビの執拗なワンフレーズの繰り返しが轟音に埋もれていくのが非常に鳥肌ものでかっこいい。というか歌ってない歌詞があったなんて。まあいつもの「汚れたらどうのこうの」みたいな。別に無くても(ryその他の歌詞は情景描写が美しく、初期ARTに近い耽美的で退廃的な世界観。圧倒的に映像的な曲。このアルバムのツアーのDVDではさらにパワーアップして最早何のバンドなのか分らないほど素晴らしい。ニコニコから動画が消えてしまったのは痛い。もう、ドラムがエモーショナルでエモーショナルでかっこいいんです。

13. THIS IS YOUR MUSIC

久々にフィードバックなイントロから始まる、爽やか疾走シューゲイザーポップ。RIDEの『Taste』的な圧倒的なポップセンスを見せつける。アルバムの流れを切っていると一部のファンからは不評だが、むしろ前曲からそのまま『光と身体』に突入したら重すぎるだろうという配慮からの収録だろう。歌詞通り「どこまでも飛べるような」メロディが気持ちいい。木下の歌も絶好調でいい。清々しい気持ちになる。

14. 光と身体(Album Mix)

木下版『望みの彼方』(笑)。MIXによってアルペジオの音が透明感を増し、名曲度がアップしている。M9からの流れがこの曲で最高潮に達する。サビの希望と絶望の混じり合った浮遊感はもう何とも言い難い。脆さと力強さが背中合わせになった名曲。

15. Low heaven

ラストはまさかの戸高曲!しかしこれがまた素晴らしい。理想的な締め曲。冒頭のラジオから曲が流れ始め、そこから一気に優しい世界観が広がる。この音づくりはまさに益子マジックの極北!メロディも可愛くも美しく、夢見心地なサウンドがちょっぴり幸福な気持ちを残して夢のように消えていく。ともかく益子さんが圧倒的すぎる。それに上手く乗っかったドラムも大変気持ち良い。浮き沈みする音が最後の歌詞で途切れて曲が終わると、まるで映画をエンドロールまで観終わったときのような感動と寂しさの入り乱れたあの淡い感覚が浮かび上がってくる。戸高GJ!


最初タワレコで聴いた時は「なんじゃこりゃ!?ついに行くところまで行ってしまったなあ」と思い、クソかもと思っていたが、聴きこむごとにその世界観に没入してしまって、今では第二期ARTの一つの到達点とさえ思います。

彼らにとって4枚目のフルアルバム。キャリアの割に意外とアルバムのリリースペースは遅いですが、これは活動休止や、ミニアルバムなどの発売が多いせい。実際リリースペース自体はかなりのものだと思う。Syrup16gといいMO'SOME TONEBENDERといいACIDMANといい、この辺の世代は皆リリースペースが速めで、頑張ってるなあとかファン思いだなあとか思う。バンプはどうかしとる。


前作で試みた『ポストロック的な魅力を注入したギターポップ』路線を、前作以上にポップ寄りに、そして高度に作り上げた快作。ART自身もシングル『フリージア』でその路線の完成度を高めていたが、この作品の音づくりが素晴らしいのにはやはり、益子樹氏の貢献を語らずにはいられない。スーパーカーの『HIGHVISION』のあのキラキラ感をそのままARTに置き換えた(もちろんバンドに合わせてはいるんだけど)その仕事はもう、見事としか言いようがない。瑞々しくも鋭さを決して失わないギターの音から、後ろで楽曲にもう一つ花を添えるシンセまで、アルバム中での氏の活躍は驚く他ない。正直前半の何曲かは結構凡策なのを益子マジックが救っている感さえある。

しかし、それでもART自身もこの世界観に相応しい曲をしっかりと作っている。とりわけ木下の作曲スタイルの変化と戸高曲を入れるようになったことは大きい。『PARADISE LOST』のちょっと背伸びした感じのアレンジよりもずっと自然で聴きやすい曲が並んでいて、まあグランジ大好き少年や「ARTは初期!」みたいな人からすればクソなのかもしれないけど、後期スマパンやデスキャブ、あとペイヴメントのラストアルバムなんかにも通じるよるなメロウでどこか現実的な世界観は大いに魅力的だと思う。そう、一枚としての纏まりがすごく良い。プロデュースのおかげか、世界観がしっかりと一本通っていて、浸るに十分な音が広がっていて良い。蔦屋でデスキャブに「大人のエモ」ってポップがついてたけど、このアルバムもそういった類の魅力がある気がする。まあそれでも情けなくて、青臭くて、そして木下はなぜかキャリア中でもとりわけ歌が下手なんだけれど。中二病を抱えたまま28歳を迎えた木下の姿は痛ましくも結構かっこいいんじゃないかなあ。


しかし何で『フリージア』入れなかったんだ!?アルバムのカラーに十分合ってると思うんだけどなあ。


とりあえずこの路線に満足したのか、この後彼らは方向転換、このアルバムの経験を生かしながらも初期のような獰猛なサウンドを大きく取り上げた『左利きのキキ』(これタイプするとkばっかり打ってて変な感じ)をリリース。それのライブが終ったあとは新しい音源のためにセッションを繰り返すも、最近は苦しんでいるようです。日記でやたら苦しい苦しい書いてるから不安になりますが、またいいフルアルバムを作ってほしいなあ。

D

『フリージア』

2008年04月03日 11:03

フリージア

フリージア

1.フリージア

ARTの全楽曲の中でも、その神々しさは一番か。優しさあふれるミドルテンポ曲。ボーカルのメロディが既聴感があったりするけど、ギターや木琴が絡むアレンジが大変美しく、ギターのフレーズがメロウで、そしてドラムのブロークンな8ビートが頼もしすぎる。遂に音で天使の行きかう光景を絵にできたなあという感じ。静と動がはっきりしながらも、両方が同じ方を向いて奇麗な世界観を構築する。そしてA-B-A-B-C(!)-B-Aという曲構成。多分こういうラスト前に個別のメロディを置く曲構成をする曲は彼らの作品では初のはず。このCメロの高揚の後の静寂から優しく、だんだん盛り上がっていくところが素晴らしい。あと木琴の活躍とかも。本当に絵になる曲だなあ。第二期のこういう大曲系の中では一、二を争う出来だと思う。あとPVが秀逸wwwリズム隊の二人演技上手すぎるwwwナチュラルすぎるwww

2.光と身体

上の曲と一、二を争ってるのがこの曲wいやあこれまた凄い。イントロのギターの感じが凄くGRAPEVINEしてる。タイトルなんかも凄くそれっぽい感じ。バイン初期の『スロウ』『望みの彼方』とかに近い世界観。つまり名曲。どっしりとした憂鬱めなメロディがサビで一気に飛翔する部分がかっこいい。飛んでるんだか落ちてるんだか分らないこの高揚感!一、二弦の開放弦を使ったギターの響きが切なく美しい。そしてサビの前にブリッヂが入る曲構成。なんだこういうのも書けるんじゃん!と嬉しくなる。多分M1とM2どっちでもシングルのA面にできたと思う。冷え冷えとしている場所で光を探すような。後ろ向きながら前向きでちょっと頼もしい歌詞も良い。

3.キカ

前曲から繋がったまま始まる、ARTにおいて初の「戸高」作詞作曲ボーカルの曲。世界観はARTに合わせてあるが、やはり木下とは違った趣がある。まあ木下曲はメロディ的にクセが強いからなあ。この曲自体はシガーロス的なゆったりポップ。透明で瑞々しいギターの音とアコギ、そしてキーボードの音が良く絡まっている。そして歌が木下より上手い!?まあ木下の方が味はあるし戸高はライブでの安定感に欠けるらしいんだけど。しっかりと曲を支える機械的なドラムがかっこいい。しかし長いなあ。こういう曲調なら仕方がないか。

4.LOVERS LOVER

ラストはシングル中で最も以前の木下らしい曲構成のミディアムテンポ曲。何かミディアムテンポばっかりだなあ。イントロの深いコーラスがかかったギターのフレーズからドラムが炸裂して一気に世界が広がっていくのが美しい。これも『光と身体』にも通じるいい感じに冷めたコード進行が美しい。ドラムのハイハット連打がやたらかっこいい。そしてギターのフレーズがいちいち切れ味があって良い。ディストーションに頼らずに、浮遊感のある「奇麗な」轟音を作るのが本当にうまくなったと思う。あっさりとしたサビもそのまま間奏やアウトロの演奏にスムーズに繋がっていいと思う。頑張りまくっているドラムが途切れてコードストロークと歌だけ残るところが、定番といえども否応無しにかっこいい。


第二期最初のフルアルバムを作った後結構すぐに出たシングル。頭から三曲が5分台で、最後の曲も4分台の曲なため、シングルの癖にトータルタイムはミニアルバム並。平均演奏時間が最も長い彼らの音源は間違いなくこれ。前作までが「アレンジによる」既存のARTの世界観の見直し作業だったとしたら、このシングルはさらに根本的に彼らの曲のあり方を見直すものだった。木下作曲の不文律だったA-B繰り返しの構成を冒頭の二曲で崩していき、更には木下以外の楽曲を投入して、ここに来て初期ARTっぽさはほぼ消滅した。ギターの音はより水っぽさを増し、ドラムは緊張感の演出をさらに推し進め、楽曲は良く練り込まれ、アレンジの仕方が大きく変わった。ここから間は空くけれど、次のアルバム『Flora』の世界観に早くも急接近している。

四曲とも妙に質が高いので、第二期の路線が気に入らない人でもある程度認めてしまわざるを得ないクオリティだと思う。あと、エロと美しさが極端だった『PARADISE LOST』期に比べて、歌詞がより現実志向というか、エロと美しさを駄目な現実でとかしたような歌詞は結構好き。曲が美しくなるのと比例して、いい感じにやさぐれてきていた。大好きなシングルで、完成度は彼らの作品中でも相当高いと思います。まあジャケットで損している気はする。なんぞこれええええ!?

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『テュペロ・ハニー』

2008年04月03日 00:57

テュペロハニー

テュペロハニー

1.テュペロ・ハニー

ギターのカッティングといきなりのサビから始まるアップテンポの曲。さっそく益子プロデュースの象徴ビヨビヨシンセが入る。『スカーレット』と似た始まり方ながら、カッティングの音が全然違うことがバンドの音楽性の変遷を思わせる。あと間奏でギターがきっちりとソロを弾いているのは珍しい。しかしこれ、曲自体が「シングル?」って感じの地味な曲な気がする。歌も調子良くてまあキャッチーな方ではあると思うけど。ドラムのハイハットが気持ち良い。

2.その指で

名曲!だからこういうところに名曲しのばせるなと。『クロエ』路線をさらに推し進めたような曲。音自体がさらにファンク的な空間の広がりを感じさせるものになっている。そして益子氏のシンセがいやらしい。いいなあこのシンセ。ベタにならないギリギリのところでいやらしい。最後のサビのまさかのヒートアップが面白い。ギターも『クロエ』の可愛らしいリフから進化し、それっぽい妖艶さがあると思う。抑制の利いたボーカルも効果的。歌詞はもう身も蓋もないほどセックスセックス。それでも駄目さ・情けなさが抜け切らないところが流石としか言いようがない。

3.クオークの庭

また戸高曲を収録。こちらは割と普通目のシンプルなギターロック。しかしこの頃のギターの音は良いな。益子さんすげえなあと思っちゃう圧倒的な音づくりがこの曲のクオリティを相当底上げしている。サビの静かな高揚感が奇麗で良い。歌も相変わらず木下より安定しているwww


『Flora』の先行シングル。まさに『Flora』レコーディングからの三曲であるため、プロデュースはスーパーカーのプロデュースやROVOでお馴染みの益子大先生が行っている。しかし凄いなこの音づくりは。正直強力タッグだった『PARADISE LOST』の音よりもずっと好きだ。空間を感じさせるアレンジとギターのコーラスの掛け具合が素晴らしい。

曲数といい、二曲目が名曲であることといい、表題曲が弱めだということといい、『Love/ Hate』前の『UNDER MY SKIN』の再来のようなシングル。三曲で10分ちょっとと、前シングル『フリージア』と比べると圧倒的に小規模。

そういえば初回生産限定シングルだった。ヤフオクで高値がついてたりするけど、あんまり売れないのはきっとiTunes Storeにこのシングルがあるからだろうなあ。これはいいやり方だと思う。『SWAN SONG』配信してあげてよ元東芝EMI……。


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サクッと三つやりました。次はアルバム『Flora』。あと『左利きのキキ』でお終いか。以外と早く終わりそう。

『Missing』

2008年04月03日 00:25

Missing(初回限定盤)(DVD付)

Missing(初回限定盤)(DVD付)

1.Missing

雑踏の音で始まり、ポップなギターカッティングから曲が始まる。サビの時が淀んでキラキラしている感じがこの曲の肝。やはり音自体が『Flora』期っぽいポップで瑞々しい感じになっている。間奏の光の反射みたいなアルペジオの海は奇麗。ポップでキャッチーな作り。4分丁度とは潔い。何故かPVは木下が監督をしている。どこまで監督として頑張ったのか怪しい。

2.それは愛じゃない

Aメロが『FIONA APPLE GIRL』とほぼ同じなのは残念。ただこっちの方がポップで優しい感じはする。曲自体は3分を切る潔さの中に牧羊的なギターフレーズや奇麗なファルセットが乗るなかなかいい曲だと思う。ギターの音が本当にクリエイションレーベルのアーティストみたいな繊細さをもっていて。その世界観が3分弱をサラッと流れるので、そういうの好きな人は好きになれる曲。歌が多少ヘタっているのは何かこの時期の特徴。なんで『Flora』期は歌が下手く聞こえるんだろう?声の劣化なのか歌い方を変えたのか果たして。最近のライブは歌上手かったしなあ。良く分らん。

3.スカーレット

以下M9までがミニアルバム『スカーレット』収録曲。レビューもそっちのほうにあります。

4.RAIN SONG

5.クロエ

6.TARANTULA

7.1995

8.APART

9.君は僕の物だった

10.LOST IN THE AIR

以下M15までがミニアルバム『LOST IN THE AIR』収録曲。レビューもそっちの方で。

11.FLOWERS

12.羽根

13.刺青

14.I CAN'T TOUCH YOU

15.PERFECT


タワレコ限定・生産限定盤だったため、過去の『SWAN SONG』みたいに「missing」しかけていた二枚のミニアルバムをサルベージするために出されたコンピレーション。新曲二曲追加するのはサービス精神の表れか商売主義か果たして?でもこれは後追いファンや近くにタワレコが無いファンなんかには凄く助かることだから、私個人としては普通に嬉しい。アマゾンのレビューの酷評さはちょっと理解しかねる。

新曲二曲は、まあまずまずの出来。どっちもここでしか聴けないので、ミニアルバム持っている人はそれ売ってこれを買うか、これだけレンタルしてもいいと思う。

2曲目までと3曲目以降の音のギャップが多少あるものの、意外と一枚のアルバムとして纏まっていたりする。本人も『スカーレット』と『LOST~』は双子のようなものと発言していたし、その辺も狙って発売されたのかも。

D

だからメンバー頑張りすぎだってwwwwwドラムの人wwwww

『PARADISE LOST』

2008年04月02日 02:11

PARADISE LOST

PARADISE LOST

1.Waltz

いきなりグランジっぽさ皆無のモグワイ・シガーロス的ポストロックから始まることで、バンドの変化を雄弁に語った曲。豊かな海を想起させる音づくりはさすがモグワイスタッフが関わっているだけのことはある作り。ボーカルが不安定なのはまあいいかって感じになる。キーボードや女性コーラスなど、ライブ再現不可能要素満載で、ライブで見てみたいけどおそらく無理でしょう。

2.BLACK SUNSHINE

前曲から続けて始まるのは、コードカッティングを軸にしたポップなミディアムナンバー。堅実な作りをしていて、それだけに既聴感もままあり、ちょっと面白みに欠ける気がしないでもないが、きっちりとしたリズムは聴いてて気持ちいい。こういうシンプルな曲でもよく聞くと細かいSEっぽいのが入ってたりする。何故かPVがある。

3.ダニー・ボーイ

アコギと透明感のあるギターが優しいゆったりとした曲。サビの盛り上げもギターの轟音ではなくシンセとコーラスを使用。奇麗で少し洒落た音世界。Aメロをサビの後にもう一回歌う構成はやっぱり好き。透き通っている感じの曲。

4.Forget the swan

これだよこれ!M2なんかよりもこっちのPV作ってよ!個人的にアルバム中一番の出来だと思います。USインディの元気いっぱいでキラキラしてて、ジャリジャリした音で疾走するあの感じそのまま。流石ダイナソーJrの曲名をそのままパクるだけのことはある。ピクシーズチックなベース、ヤケクソ気味で前のめりなドラム。可愛らしいノイズやしょっぼいリフを弾くギター、その中を基本いい感じに抜けの悪い音でしかもFMフィルターがかかったりしながらも突き抜けていく、セックスばっかり歌う情けないボーカル。向こうの国の太陽の下、Tシャツ野郎どもがプールサイドで狂ったように演奏しているかのような勢い。3分10秒!すべてがそれっぽ過ぎて笑えるほど。

5.クロエ

前曲から続けて始まります。こういう演出別に要らないけどなあと思うのは、曲単位でしっかり分けとくとプレイリストを作りやすいからです。しかしこの曲と次の曲の繋ぎ方は多分初めから意図されてたものじゃないよなあ。上手いこと繋いだもんだ。いい曲です。そしていい流れ。MIXが変わって音がややくっきりしている気がします。

6.あと10秒で

前曲のバックで鳴ってた音が鳴ったままこの曲のイントロが始まるところはアルバムの一つのハイライトか。これも多分MIX加減でミニアルバムよりパワーアップしてたはず。飽きやすい感じもするけど、流石にかっこいいなあ。歌詞のヤケクソ加減が好き。この曲までの流れのバランスの良さは評価すべきところ。

7.欲望

ここで急に勢いが途絶えて重苦しいイントロへ。アコギが鳴る荒涼としたAメロから重いサビにという、静と動を強調したナンバー。静のパートの音が奇麗なだけに、動のパートはもっと激しくやってほしかったかなあ。個人的には、別に無くても困らないタイプの曲。『羽根』とかと被るイメージ。

8.刺青

漢字二文字の曲が連続すると少し見栄えが悪いですね。いい曲です。やはり再MIXによって音がくっきりはっきりしてますが、前verと比べるとベースが引っ込んでしまった感じ。こればっかりは趣味ですが、前verの「圧倒的(笑)」なベースの方が好きかも。

9.LOVE LETTER BOX

可愛らしいアルペジオから、ポップなエモ的展開をする曲。トレモロがかったギターが入ってくるのが良い。あとコーラスとか。あと間奏のギターとシンセだけのところとかも可愛い。タイトルとかちょっと前向きな歌詞とかも含めて「可愛らしい」って感じの元気のいい曲。もうちょっと演奏的に毒があったら大好きだったかも。

10.PERFECT KISS

奇妙でファンキーなリフのギターとワウのギター二本の絡みが中心となった、『クロエ』系統の曲。こっちの方が幻想性を剥ぎ棄てて大人的で猥雑な感じを強調している。ドラムのオープンハイハットのタイミングが好き。あとコーラス。コーラス大事だなあこのアルバム。

11.PALADISE LOST

一気に緊張感のある雰囲気になだれ込む、『羽根』やM7的なナンバー。そういうのの中だと一番キレがある気がする。とりわけドラム。こういうドラムをいかにもポストロック~って曲で聴いても何とも思わないけど、こういうポップソングと絡むとかっこいいなあ。クールに駆けるAメロからやたら神々しいBメロ(サビというほどは盛り上がらない)に入るのがかっこいい。やたらいろいろな音が入っていて面白い。あと終わり方がクール。「盛り上がらない」感じが新鮮で良いが、こんな地味な曲をよくタイトル曲にしたなあとも思う。好きだけど。

12.僕が君だったら

歌やギターのメロディも良く、サビの音の世界観も奇麗なスローバラードだけど、正直かなり印象薄い。奇麗なんだが地味。なんかアルバムの最後に入ってそうな雰囲気、『君は僕の物だった』『PERFECT』とかの系統の曲みたいに思う。これの後に曲が続くから違和感。曲順が悪かったか。神々しい感じのアレンジはいいんだけどなあ。

13.影

イントロが好き。ひょろいシンセにギターが重なり、ベタなメロディになる。Aメロのリズムギターもいかにもすぎるブリッヂミュートで、そこに可愛らしくも飛翔するメロディが乗って、なんだかGet Up Kidsとかに通じる微笑ましい感じの世界観がある。あと間奏のアレンジがいい。後ろのひょろひょろした音がいいんだよなあ。うーんポップだ。ただラスト前の曲としては荷が重いか。やはり曲順が……。

14.天使が見た夢

ああ、こういうもろシガーロス的な子守唄ポップソングはちょっと趣味じゃないです。ドラムに掛ったエコーが奇麗だけど、メロディはいいんだけど、ちょっと眠たすぎる。コーラスとシンセが活躍する。このアルバム、曲によってはギターの目立たなさが凄いんだよなあ。やっぱりギターのかっこいいARTであってほしいものです。しかしだるい。アルバムの最後は爽やかにすっきり終わる方が好きです。


第二期ARTになって作った最初のフルアルバム。前のアルバム『Love/ Hate』からは二年ほど経っている。

レコーディングスタッフが異様に豪華で、モグワイやベルセバのプロデューサーであるトニー・ドゥーガンのスタジオで彼の協力と助言を受け録音し、MIXは彼とそしてあのデイブ・フリッドマンによって行われたという徹底っぷり。さらに一部レコーディングにモグワイのメンバーまで参加していたりしてなんか物凄い。これまでの「下北鬱屈系」の世界観が吹き飛んでしまいそうな布陣である(まあ吹き飛ばなかったのだが。流石木下というべきかハハハ)。

ただ、そうした急激な環境の変化のせいか、色々なサウンド的挑戦を試みて、その結果内容がやや散漫になった感じはある。そもそも一曲目の世界観がなんかそれ以降に上手く繋がっていない感じがする。もう一曲ああいう壮大な曲があったらバランス取れてたかも。あと、前半は緩急の付いた曲順でいい感じに進むけど、後半はちょっと緊張感の足りない感じがする。最後が弱いというか、山場にならず終っていく感じが寂しい。ポップな曲とまどろむ曲とM7.8.11の順番を変えたらマシになるかなあ。あと、名曲『LOST IN THE AIR』をアルバムに収録しなかったり(その代り『刺青』が入ってるけど)。ちなみに彼は次のアルバムでも『フリージア』において全く同じことをします)。折角トニーにMIXまでしてもらっていたのに(初回盤はボーナスディスクとしてトニーMIXの『LOST~』とデイブMIXの『Waltz』が付いてきます)ああ勿体無い。収録すれば後半に山場が作れたろうに。


という訳で、実はこのアルバム、彼らの4枚のフルアルバムのうちで一番聴きこんでないですし一番好き度が低いです(まあそれでも好きなんだけど)。でも要らない曲を何曲か外して、『LOST~』入れてプレイリスト作ったら結構いい感じでした。ただM4だけはひたすら誉めたたえたいです。This is Arternative!!!って感じで、本当に大好きです。まあ過渡期だったんでしょうね散漫なのは。個人的には色々なアレンジの曲が入ったカラフルなアルバムよりも、一色はっきりとしたものがあってそれについて展開していくアルバムの方が好きです。ARTだと『Love/ Hate』とこの次のアルバム『Flora』がそれかなあ。どっちも好きなアルバムです。


ちなみに肝心の音の質だけど、それも同じ路線なら次の『Flora』の方が好みです。というか益子氏は凄いな。

とりあえずレビュー終了まであと5枚か。DVDは書きません。持っていないからです。

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